「ねえ、お前。エアコンの故障に備えて、わざわざ保険に入る必要なんてないんだよ。何か保険に入るなら、破滅的な出来事――家を傾かせるような(自己破産を招くおそれのある)出来事――に備えるためだけに限るべきなんだよ。こう考えてみようじゃないか。 保険会社は儲けなくちゃいけない。諸々の経費を賄(まかな)わなくちゃいけない。そのためには、保険料収入が保険金支払額を期待値で測って上回らなくちゃいけないんだ。ということはつまり、保険会社が提供する商品(=保険)というのは、買い手(被保険者)に対して期待値で測ってマイナスの金額の支払いを約束する商品なんだよ。僕らはもちろん金持ちじゃないけど、エアコンの修理代なんて僕らの稼ぎに比べたら微々たるもんじゃないか。エアコンの修理代くらいの金額の範囲なら貨幣の限界効用は一定だろうから、期待値で測ってマイナスの金額の支払いを約束する商品を買うっていうのは損になるんだよ
![タイラー・コーエン 「妻に一笑に付されて:保険編」(2005年7月14日)/「家電の延長保証には加入するなかれ」(2006年10月4日)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/467894c1559f6aaef5a8f17a0873d8e49a70001b/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fi0.wp.com%2Fecon101.jp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2023%2F04%2F22463525_s.jpg%3Ffit%3D640%252C427%26ssl%3D1)