のっけから私事にわたることで恐縮だが、私は東日本震災直後の2011年3月19日に「官愚の国」(祥伝社)を出した。大震災前に校正や印刷も終わっていたので、もはや中止することもできなかったのだ。もし、校正などがすんでいなかったら出版できなかっただろう。しかし、大震災直後にあって出版してもいいのだろうかという気持ちもあった。大震災という未曾有の事態には政府の存在は不可欠だからだ。 実際震災直後、自衛隊や警察、消防、地方自治体の現場職員らは一生懸命に職務を遂行した。もっとも、私の官僚制分析は、いわゆるキャリア官僚を対象としており、現場職員を含んでいない。しかも現場職員の頑張りはわかっていたので、それは出版をためらった理由ではない。 復興構想会議ならぬ「増税」構想会議 実は、「官愚の国」では、財務省の増税指向はきわめて強いことを書くというのが、大きな理由だった。これだけの大震災になったのだから、さす