日銀や米連銀(FRB)、そして欧州中銀(ECB)といった主要中銀もデジタル通貨の調査研究に着手する方針を相次いで示している。そのうちECBは10月2日付のリポート(Report on a digital euro)で、2021年半ばまでに欧州連合(EU)版CBDC(デジタルユーロ)の発行に関する調査検討を本格化させるか結論を下すと表明した。 富裕層を中心に資産を海外逃避させる動きがやまない とはいえ、リポートでのECBの言い回しは「慎重」である。理由は簡単で、中国にはデジタル人民元の発行を急ぐ理由があるわけだが、ECBにはそれがないからに尽きる。ECBのスタンスは日銀やFRBにも通じるところがあるが、ここでは中国と欧州の比較から、開発が進むCBDCに関して簡単な整理を行ってみたい。 中国がデジタル人民元の発行を急ぐ目下の理由は、資本流出対策にある。この40年ほどで中国の経済は著しく発展、一