こんな偉いお坊さんがいたのかと感動した。反戦僧侶・竹中彰元だ。「戦争は罪悪である」と言い続け、警察に逮捕された人だ。宗教者として当然のことを言ったまでだ。それなのに逮捕だ。 宗教は政治を超える。国家を超える。殺伐とした世の中でも、人の命の尊さを説くのが宗教だ。たとえ国家が一丸となって戦争に突入しても、「人殺しはいけない」と諭すのが宗教者の使命だ。だから、竹中彰元が逮捕された時は、所属する教団が、弾圧に抗議したと思った。竹中を支持し、擁護したと思った。 ところが違った。竹中の所属する真宗大谷派は竹中を処分する。資格剥奪するのだ。「こんな男は本当の僧侶ではない」と追放したのだ。国家に協力し、戦争を支持する僧侶だけが本当の僧侶だと言ったのだ。極言すれば、「人殺し」を是認し、奨励する僧侶だけが本物だとしたのだ。こんな馬鹿な話はない。しかし、戦争という狂気の時代には、全てが狂気になる。せめて宗教者だ