世界中に750 種もあるイチジクには,それぞれ送紛者となるイチジクコバチがいます。形態と生態の観察から,その見事な共生の仕組みが知られていますが,最近ではDNAでそれぞれの系統を調べることで,お互いに関係しながら多様化してきたことがわかってきました。……共進化です。生命誌研究館では,オサムシ・プロジェクトに続く第二弾として,外部の研究者やアマチュアの方たちとネットワークを作り,世界中からサンプルを集めて解析しています。DNAで探るとともに,形態的,生態的な研究を総合したこの研究から何がわかってくるのでしょうか? 期待が膨らみます。 イチジクの最大の特徴は,いつ花が咲いたのかわからないうちに熟している「果実」にある。本当は,その部分を「果実」と呼ぶのは適当ではない。イチジクの「果実」を半分に割ると,中にたくさんの小さな粒が詰まっていて,その一つ一つが内側に細長い柄でつながっている。じつはこの