渋谷駅前の風景に溶け込んでいるハチ公。人々も特に意識している様子はない(1934年頃撮影、安藤士さん提供) 東京・渋谷駅前で亡き飼い主を待ち続けた「忠犬ハチ公」が、駅前で腹ばいになっている写真が見つかった。 これまで知られている記念撮影やアップの写真とは異なり、当時の駅の風景に溶けこんだ自然な姿をとらえたカットで、貴重な1枚と言えそうだ。 ハチ公の代表的な写真は3~5種類で、単独で写っている写真は周囲の様子がはっきりせず、人と一緒に納まったカットは記念撮影がほとんどだ。 撮影したのは、元銀行員で、東京都渋谷区猿楽町に住んでいた山本勇さん(故人)。ハチ公の銅像が建てられ、社会の注目を集めた1934年頃の写真とみられる。今春、都内の実家を整理していた遺族が見つけ、渋谷駅前にある現在のハチ公像の制作者で、渋谷区代々木の彫刻家安藤士(たけし)さん(92)に寄贈した。