全仏4回戦は逆転勝利を収めた、錦織圭(写真:Getty Images)この記事の写真をすべて見る 「うーん……そうですね。まあ、まあ単純っちゃあ単純なんですが……」 約3時間前のコートに時間を巻き戻し、彼はその時の胸の内を探りながらも、最後は最もシンプルで、最も真実に近い答えを口にした。 「悔いを残して、コートを去りたくはなかった。今一番できる最大のテニスだったり、努力をコート上で残して終わろう……2セット目以降からはそう考えました」 全仏オープン会場で2番目に大きなスタジアム「コート・スザンヌ・ランラン」に組まれた、ファンも好ゲームを期待する、4回戦、錦織圭対フェルナンド・ベルダスコ。その第1セットがわずか26分、0-6のスコアで終わった時、観客たちは戸惑いと不安が入り交じるため息と、不満を示すブーイングすら吐き出した。 15本ものエラーを喫したこのセットの錦織の苦しみの訳はいくつかあっ