だが、「患者が一番納得できる医療を施す」という医師の本分から外れているとも指摘する丸山氏は、余命宣告から4年が経過したが、この匿名の名医のおかげで今も健在だ。 最後に、今年9月に肺がんで亡くなった俳優・山内賢さん(享年67)が出会った名医を、紹介しよう。 主治医は東京女子医科大学病院の出雲雄大医師(呼吸器内科)。山内さんの肺がんは'03年に発症した。以後'06年と'08年に再発し、その都度摘出手術を受けてきたが、'10年、4度めの摘出手術は不可能という診断が下された。'11年には脳に転移。闘病中に容体が急変した。妻の藤瀬敦子さんが言う。 「入院した翌日、『明日なにが起こってもおかしくない状態』と、出雲先生に言われました。翌日からモルヒネの投与が始まり、2週間もちませんでした。亡くなったその日、突然『みんなに感謝』とつぶやいたのが、最期の言葉でした」 敦子さんの出雲医師に対する感謝の思いは強