まるで20年前のマレーシア、シャーアラムスタジアムの光景である。日本代表が28年ぶりに世界への扉を開いたアトランタ五輪アジア最終予選準決勝のサウジアラビア戦は、壮絶な死闘となった。後半12分までに前園真聖が2ゴールを決めたが、その後は一方的にサウジアラビアの猛攻を浴びる。後半22分にはオバイド・アルドサリにゴールを許し、1点差に。以降もサウジアラビアのFKが何本も続いた。あの時間帯、前園と川口能活はどんな思いでボールを追っていたのか。 チームを引き締めた、キャプテン前園の“本気”。 前園 3年くらい前に、初めてサウジアラビア戦の映像をフルに見たんです。それまでは自分のゴールシーンや能活のスーパーセーブの場面ぐらいしか印象になかったんですけど、見返すと、本当に危ない展開でしたね(笑)。よく耐え切ったなって。でも、みんな気持ちを切らしていなかったし、相手に押し込まれていたけど、決められる気もし