そんなある日、俺たちのクラスに転校生が来た。四年生になったばかりの春のことだ。 なんでも父親が有名なインテリア・デザイナーとかで、かなりの金持ちらしかった。背も高くってな(そのころの俺はどちらかっていうと小柄だったんだよ)、勉強もよくできた。いつも散髪したてみたいな頭をしてた。広い額がみょうに大人っぽくって、まなじりの切れた一重瞼ひとえの目がいつも冷静沈着でさ。なんていうか──黒目があんまりあちこち動かないんだよ。あぁ、こいつとは仲良くしたほうがよさそうだ、ってみんな結論づけたみたいだった。子どもってのは計算高いところもあるからな。仲間に入れるのか苛めるのか──ちゃんと決めるんだよ。 だけど、仲間に入れるどころか──そいつはあっというまに俺たちのグループのボスになってた。いつも財布に一万円ぐらい持っててさ。小学四年生がだぜ。今ではおどろくほどのことじゃないのかもしれないけど、俺たちのころは
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