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ブックマーク / ktmk.hatenablog.jp (6)

  • 違の血 - 金田んち

    【第7回】短編小説の集いのお知らせと募集要項 - 短編小説の集い「のべらっくす」 麻美と大将の夫婦生活は決して華やかではないが、当人達も側から見ても仲睦まじく幸せなものだった。ただひとつを除いては。 市役所に同期入社した二人は、入社間もなく意気投合し、3年の交際期間を経て結婚した。結婚後2年が過ぎたころから、二人の結婚を祝福してくれた先輩などから「子どもは早い方が良い」というアドバイスめいた言葉をかけられるようになった。 麻美への言葉は主に、既に子どもを自立させたおばちゃんの先輩職員からのものであって、「子育ては想像以上に気力も体力も消耗するもの」だという理由からだった。 大将への言葉も同じく子供を自立させたおっさんの先輩職員からのものであったが、こちらは、定年が近づくと子育てにかかるお金を稼ぐのに焦りを感じだすというものであって、体力面については、子育てはに任せっきりで分からないとのこ

    違の血 - 金田んち
    masarin-m
    masarin-m 2015/05/12
  • 神様のバカ - 金田んち

    【第6回】短編小説の集いのお知らせと募集要項 - 短編小説の集い「のべらっくす」への参加物です。 聞いてください! 「はじめまして。私、なるほど出版の住吉綾香と申します。」 「はじめまして。僕がお送りした情報の件ですよね。」 「ええ。早速ですが、鳥越さんからいただいた情報について、詳しくお話をお聞かせください。」 「もちろんです。」 なるほど出版で働く住吉は、宮崎県高千穂町にある小さな喫茶店で鳥越と面会していた。古い店内には焙煎されたコーヒー豆とタバコの臭いが染みついている。 ここのところ下降傾向の出版物の売り上げを何とかしようと、読者から募った不思議体験を載せる企画をしていて、その取材のため高千穂に訪れたのだ。 「あれは5日前のことでした。僕はその日傷心していて寝つけず、夜中なのにふらふらと散歩に出かけたんです。」 「傷心と言いますと?」 「それ言わなくちゃいけませんか?」 「いえ、すみ

    神様のバカ - 金田んち
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    masarin-m 2015/04/06
  • ルイスのチョコレート - 金田んち

    今回もなんとか書き終えました。小説らしきものです。 【第4回】短編小説の集いのお知らせと募集要項 - 短編小説の集い「のべらっくす」 10時すぎまで残業をしていたところ、同期の剛からの誘いで居酒屋に行くことになった。 最近の俺はプライベートで甚大なダメージを負い、ヤケクソ気味に仕事に打ち込んでいた。 居酒屋は職場近くの馴染みの小料理屋。席もお馴染みの端から一つ離れたカウンター席。一番端を空けるのは、その椅子に二人分のバッグを置くためだ。 「おつかれ」 いつもの如く「いつもの」と店主に伝えれば自動的に出される冷や奴と「とりあえず」の生ビールで乾杯する。 「お前流石にありゃないわ」 剛からの言葉に溜息をつきつつ、ムッとした視線で俺は答える。 「だから言ったじゃん。俺」 「天から授かった二物も、武器にならねぇことがあるんだな」 ニヤける剛の顔をぶん殴りたくなった。 俺は先週のバレンタイン、ガツン

    ルイスのチョコレート - 金田んち
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    masarin-m 2015/02/02
  • サンタの忘れもの - 金田んち

    【第3回】短編小説の集いのお知らせと募集要項 - 短編小説の集い「のべらっくす」 チーン 古びた3DKの県営住宅に住む三田輝作は、居間として使っている部屋の一角に置かれた仏壇の前で手をあわせるのが日課だ。 「おわよー」 ガタガタ、ツァー 襖を開けながら冷めやらぬ眠気をゴシゴシと擦りつつ朝の挨拶をしたのは、輝作の息子の優輝である。 優輝は今年7歳、未だたまにおねしょをしかぶってしまう小学1年生だ。 「とーちゃん、いっつもちーんしよーね」 「母ちゃんやからね、父ちゃんには大事なことなんよ」 輝作のは、優輝が1歳の頃に不慮の事故で亡くなってしまったため、優輝は母親と過ごした記憶というのがほとんどない。そのため、自分に母親がいる生活というものが想像できず、また何より母親を亡くしたことに対する喪失感のような感情がない。 なので、輝作はそんな息子に対し、自分がやっているように仏壇に手をあわせるよう強

    サンタの忘れもの - 金田んち
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    masarin-m 2015/01/07
  • 12月の温かな夜 - 金田んち

    【第2回】短編小説の集いのお知らせと募集要項 - 短編小説の集い「のべらっくす」 「はぁ、週の半ばってなんでこんなに辛いんだろう。毎週水曜日も休みで、週休3日になってもいいと思うんだけどなぁ」 そう呟きながら手帳のスケジュールを眺めているのは原口沙織。入社4年目になる23歳のOLである。 「来週、再来週はきっついなぁ」 朝いそいで詰めた弁当の傍ら、手帳のスケジュールには『忘年会』の文字ばかりが詰まっている。 今日は12月3日の水曜日。 来週から始まる怒涛の忘年会ラッシュを控えた休肝週刊である。来週からは会社全体の忘年会に部の忘年会、課の忘年会に係の忘年会、有志とは名ばかりの同調圧力の強い仲良しの同僚同士での忘年会。 今年で4年目になる忘年会の連続に、沙織は嫌気がさしてきていて「そんなに忘れたらみんな赤ちゃんにもどっちゃうよ」と可笑しな愚痴を呟いた。 「おい」 ぽんと肩を叩かれた沙織は気だる

    12月の温かな夜 - 金田んち
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    masarin-m 2014/12/14
  • 交わることのない学歴層 - 金田んち

    「ドラゴン桜」が書かない当の日の底辺 : 人類応援ブログ 読みました。 学力の二極化はずいぶん前から言われてた問題で聞いたことがあったけど、上記リンクの記事中に「当の底辺層は可視化されていない」という部分にはっとした。 でも良く考えると、底辺層の人からしても高学歴層の人の実態については見えていないんじゃないかと思う。 だって高学歴層の人たちの姿ってテレビなんかで取り上げられて見える化してるとはいっても、それはテレビの中の話であって日常生活の共通体験みたいなのが何一つとして存在しないから。 俺は生まれも育ちも田舎者なんですけど、そこに住むほとんどすべての人たちは教育環境に選択の余地がほとんどないと言っていい。 保育園や幼稚園を卒園すると、それぞれの校区の公立小学校に入学し、また既定の公立中学に進学する。 高校受験でやっと選択の余地が出てくるけど、ほとんどは地元の公立高校(5校くらい)か

    交わることのない学歴層 - 金田んち
    masarin-m
    masarin-m 2014/09/10
    もとのブログも読んだけど、学力の定義を「受験用技術」からもうすこし視野を広げる必要がある。「植物に水」の話は、環境が彼にそれを教えられなかったと考えると凄まじい。確かに田舎はその度合いが強くなる。
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