既存のコロナ治療薬には、ウイルスが体内のタンパク質に結合するのを阻害する抗体薬や、ウイルス増殖を防ぐ抗ウイルス薬がある。これに対し、今回の細胞製剤はウイルスに感染した細胞を殺傷する仕組みで、静脈に点滴投与する。特に免疫力の低下でコロナが重症化したがん患者らに効果が見込め、ウイルス株の変異にも強いという。 同研究所などは、ヒトES細胞からコロナ治療用の免疫細胞「キラーT細胞」を作製することに成功した。藤田医科大で血液がんの患者らを対象に3年後に臨床試験を行い、2029年度の実用化を目指す。
Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 米コロンビア大学とオランダ・デルフト工科大学の研究チームが開発した「Application of a sub–0.1-mm3 implantable mote for in vivo real-time wireless temperature sensing」は、超音波で電力供給と無線通信を行う超小型の温度センサー搭載シングルチップだ。総体積0.1立方mm以下という、塩つぶやダニに匹敵するサイズで、注射針で体内に移植し、生体信号のモニタリングを目指す。 体温、血圧、ブドウ糖、呼吸などの生理的状態を監視する体内埋め込み型医療機器は、何百万人もの人々の生活の質を向上させている。 これまでの埋
東芝が11月下旬に発表したのは、わずか1滴の血液から大腸がんなど13種類のがんを検出できる検査キット。2時間以内に99%の精度で初期の「ステージ0」(がん進行度:0からⅣまで5段階)からでも、がんにかかっているかどうかを判定できるのが特徴だ。 2020年から実証試験を開始し、数年内に人間ドックの血液検査などで実用化を目指す。2万円以下での検査費用に抑えたい考えで、幅広い利用を見込んでいる。 高精度かつ網羅的にがんを検出 東芝が注目したのが、細胞で作られて血液中に分泌されている「マイクロRNA」という物質。マイクロRNAは遺伝子やたんぱく質の働きに関わり、ヒトでは約2500種類ある。がん細胞が体内にある場合、マイクロRNAの一部の分泌量が増えることがわかっており、がん検診の診断マーカー(目印)として期待されている。 従来のがん検出技術は主に腫瘍マーカーやアミノインデックス、画像診断という方式
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