アカデミー賞有力作品『スリー・ビルボード』との競り合いを制し、第90回アカデミー賞作品賞に選ばれたのは、一人の女性と半魚人との恋愛を描いた映画『シェイプ・オブ・ウォーター』だった。さらに本作は、監督賞、美術賞、音楽賞と、合わせて4部門でオスカーを獲得し、広く世にその存在が知らしめられる作品となった。 ホラー映画の受賞実績が少ないアカデミー賞において、半魚人が出てくる映画が、最も注目を浴びる作品賞に選ばれたというのは、驚くべきことである。なにせ、体中がウロコで覆われ、手には水かきがあり、不気味な顔をした、あの半魚人の恋愛を描いた作品なのだ。下手をすれば「ふざけてるのか」と思われかねない題材だ。ここでは、この作品がアカデミー賞作品に選ばれた理由を考えるとともに、その真価について深く考察していきたい。 映画の黎明期、「映画の発明者」と呼ばれるリュミエール兄弟の作品のなかに、言葉を失うようなショッ