ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (26)

  • 2055年の未来の食事の風景はどうなっているのか?──『クック・トゥ・ザ・フューチャー 3Dフードプリンターが予測する24 の未来食』 - 基本読書

    クック・トゥ・ザ・フューチャー 3Dフードプリンターが予測する24 の未来 作者:石川 伸一,石川 繭子グラフィック社Amazon仮想世界やAIなど未来により発展していくとみられる技術はいくつもあるが、そのうちのひとつに「3Dプリンタ」がある。これは3DCGなどで作られた3次元のデータを元に、断面形状を積層していくことで(それ以外の方法もあるかもしれないが、わからん)立体造形することができる機器を総称したもので、難しいことを抜きにして言えば「複雑な構造体やパーツでもソフトウェアからすぐにできちゃう機械」である。 最近よく話題になるのは「家」の生成だ。通常一軒の家を建てるにはコンクリートを流し込んだり骨組みを組んだりと様々な手間と技術と時間がかかるが、3Dプリンタなら3次元の家のデータと素材を用意したらあとはそれを使ってぺっと出力するだけでいい。で、こうした3Dプリンタで生成できるのは家の

    2055年の未来の食事の風景はどうなっているのか?──『クック・トゥ・ザ・フューチャー 3Dフードプリンターが予測する24 の未来食』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2024/03/13
    おもしろそう
  • 『皆勤の徒』の著者最新作にして、今年いちばんおもしろかった傑作SF長篇──『奏で手のヌフレツン』 - 基本読書

    奏で手のヌフレツン 作者:酉島 伝法河出書房新社Amazon酉島伝法はデビュー作の連作短篇集『皆勤の徒』と第一長篇『宿借りの星』が共に日SF大賞を獲得と、寡作ながらもその作品は常に高い評価を受けてきた。 そんな酉島伝法による最新作『奏で手のヌフレツン』は2014年にSFアンソロジー『NOVA』に載った同名短篇の長篇版で、これが著者の現時点での最高傑作といっても過言ではないほど素晴らしい出来だ。酉島伝法の作風は造語を駆使しながら人ならざるものたちの世界、視点、文化を細かく描き出していく、一言でいえば「唯一無二」という他ないものだ。作でもその特徴は引き継ぎながらも、ストーリー、世界観はともに既作よりも壮大さを増し、読みながら「今までこんな感覚、文章を読んで味わったことがないな……」と思うほど特殊な感覚と興奮が呼び起こされた。 たとえば下記は作の一ページ目の文章で、奏で手と呼ばれる人たちが

    『皆勤の徒』の著者最新作にして、今年いちばんおもしろかった傑作SF長篇──『奏で手のヌフレツン』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2023/12/13
    この人の作品、完全に翻訳どころかコミカライズ、アニメ化、実写化も不可能すぎるんだよな。と思ったが、本人のHP見ると意外と翻訳されてるのね。フィネガンズウェイクみたいなものか
  • 竹書房文庫のSFで電子書籍セールが開催しているので、おすすめを紹介する - 基本読書

    竹書房文庫から刊行の《竜のグリオール》シリーズ全作刊行を記念して、竹書房文庫の中でもSFに絞った電子書籍セールが開催されているので(13日まで)、竹書房文庫の布教ついでに紹介しようかと。竹書房はSFのイメージは持たれていないかもしれないが、近年はSF好きの編集者ががんばったおかげで竹書房文庫からばんばんSFが(翻訳SFが多いが、日SFもある)出ていて、しかもどれもおもしろいAmazon.co.jp: 竹書房文庫 SF: Kindleストア 書評家や作家といった業界関係者による投票でランキングを決める年刊ムック「SFが読みたい!」でも竹書房文庫発の作品がいくつも名を連ねるなど、竹書房は今やSFを語る上では外せない出版社の一つになっている。特徴の一つと言えるのは竹書房文庫のSFのほとんどを坂野公一がデザインしており、作品によってはかなり攻めた文庫の装幀がみられること。鮮烈なイメージを残す

    竹書房文庫のSFで電子書籍セールが開催しているので、おすすめを紹介する - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2023/11/06
    竹書房文庫といえば、数年前までは実話怪談などのホラー文庫と質が低めな映画ノベライズが相場だったのだが、こういうSFの道を切り開いたのは興味深い
  • 歴史上の偉大な作家らが高等知的生命体によって蘇り、創作の、読むことの本質に迫る、第10回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作──『標本作家』 - 基本読書

    作家 作者:小川 楽喜早川書房Amazonこの『標作家』は、ハヤカワSFコンテスト、その第10回目の大賞受賞作である。著者の小川楽喜は元グループSNE所属で既刊も存在する作家だが、今回は新人賞であるSFコンテストに作品を応募し、一次選考からはじめて見事受賞まで至っている。 SFコンテスト受賞作としては珍しい単行形式での出版であり、期待値はもとから高かったが、読んでみればこれは確かに単行で出したいよなあ! と思わせてくれる創作と読むことについての重厚な小説であった。優れた幻想/終末SFであり、虚構に耽溺することで現実と虚構の情景が入り混じっていく、そんな感覚が見事に表現された作品だ。ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作の歴史の中でもまた異なるタイプの作品で、好みは分かれるだろうが、かなりおもしろかった。 あらすじや世界観など 物語の舞台は西暦80万年のはるかな未来。玲伎種(れいきしゅ)

    歴史上の偉大な作家らが高等知的生命体によって蘇り、創作の、読むことの本質に迫る、第10回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作──『標本作家』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2023/01/31
    このテーマ設定を読んで、思い出すものがFGOか青い脂か文豪ストレイドッグスかで嗜好が分かれる感あるな。俺は青い脂だった
  • リバタリアンが集まる町を作ったら、そこは熊の巣窟になった──『リバタリアンが社会実験してみた町の話:自由至上主義者のユートピアは実現できたのか』 - 基本読書

    リバタリアンが社会実験してみた町の話:自由至上主義者のユートピアは実現できたのか 作者:マシュー・ホンゴルツ・ヘトリング原書房Amazon はじめに どのように人々は集まってきたのか? 自由な町にヤバいやつらが集まってくる。 リバタリアンらは町を良い方向に変えたのか? おわりに はじめに 他者の身体や私的財産を侵害しない限り、各人が望むすべての行動は自由であると主張する、リバタリアンと呼ばれる人たちがいる。すべてを自由にすべきと考える原理的な人から、条件的に制約を認める人まで無数の思想的内実があるわけだが、そうした思想を持つ人々にとっては多くの国家・地域は制約だらけにみえるだろう。 自分たちの思想を社会に反映させるためには、民主主義の場合にはリバタリアン的思想を持つ候補者に票を投じたり、自分自身が立候補して国の方針を地道に変えていかなければいけないわけだが、それは当然ながらなかなかに大変な

    リバタリアンが集まる町を作ったら、そこは熊の巣窟になった──『リバタリアンが社会実験してみた町の話:自由至上主義者のユートピアは実現できたのか』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2022/02/27
    誰かのツイートで紹介されてて気になってた本だ。なるほど基本はくまの話なのか。
  • 誰もがテレポートを実施でき、距離が存在しなくなった世界をどこまでも追求する、エネルギーに満ち溢れた四年ぶりのSFコンテスト受賞作──『スター・シェイカー』 - 基本読書

    スター・シェイカー 作者:人間 六度早川書房Amazonこの『スター・シェイカー』は、三回に渡って大賞が出なかった(優秀賞は出てたけど)ハヤカワSFコンテスト久しぶりの大賞受賞作にして、いかにもデビュー作らしく、荒削りながらも圧倒的な才能を見せつけてくれる渾身のテレポートSF長篇だ。 テレポートといえばどれだけの距離であっても瞬時に移動することをさすが、それが出来たとしても、少し考えればそれってどんな仕組みなの? と疑問を持つはずだ。たとえば「瞬時に移動する」といっても、その間に地球は時速1600kmで自転しながら太陽の周りを時速10万kmで公転しているわけで、宇宙の絶対座標で移動しようとしたら地球に置き去りにされる。また、テレポートした時体はどこを通るのか、テレポートした先に何かがあったら──など疑問はつきないが、作はそうしたテレポートの疑問に答えを与えていくうちに、宇宙の真理にまで到

    誰もがテレポートを実施でき、距離が存在しなくなった世界をどこまでも追求する、エネルギーに満ち溢れた四年ぶりのSFコンテスト受賞作──『スター・シェイカー』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2022/02/11
    テレポートに攻撃能力にするという発想は、イメージを表出する力を攻撃力に変換していた三崎亜紀の日野原さんシリーズを思い起こさせる。こういう異能を応用する物語は割と好き。
  • 謎の信号によって人類のDNAがハッキングされ、「終局」に至る様をノンフィクションとして描き出す、ファーストコンタクトSF──『ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日』 - 基本読書

    ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日 (竹書房文庫) 作者:キース・トーマス竹書房Amazonこの『ダリア・ミッチェル博士の発見と異変』は、2023年に銀河系のはるか彼方から届いたパルスが人類にぶちあたり、そこから一部の人々が重力波を見ることができるようになったり、知的能力が向上したりといった、一種のアップデート、進化(誤用)が行われてしまった世界について描かれたファーストコンタクトSFである。 特徴的なのは、作はそうした状況を誰かの目を通してリアルタイムで体験していくのではなく、2023年からはじまった一連の騒動が終わり、「終局」を迎えたあとの2028年に刊行されたノンフィクションという体裁で進行していくところにある。このノンフィクションは、元大統領からジャーナリスト、研究者まで様々な立場の人間の証言を元に構成されていて、読み進めていくうちに、「終局」とは何を

    謎の信号によって人類のDNAがハッキングされ、「終局」に至る様をノンフィクションとして描き出す、ファーストコンタクトSF──『ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2021/11/09
    アセッションとか空中携挙あたりが、着想の基にあるんだろうかなあ。
  • 厳重に階層が固定されたミツバチの社会を蜂視点で描き出す、神話的なディストピア文学──『蜂の物語』 - 基本読書

    蜂の物語 作者:ラリーン・ポール早川書房Amazon週刊少年ジャンプにはこれまで様々な打ち切り漫画が生まれてきたが、僕がその中でも最も打ち切りがショックだったのが、マキバオーなどで知られるつの丸による『サバイビー』だった。ミツバチを主人公に、その生態やスズメバチなどの敵との戦いをしっかりと描き出していく異色作。登場蜂物が俺達は群れなのだから一匹死んでも全体が生き残ればいいんだ!! といってスズメバチに向かって腕や足などを欠損させながらも戦いをやめず、虐殺されていくさまは子供心にトラウマを負ったものだ。サバイビー 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) 作者:つの丸集英社Amazon結果的に打ち切りになってしまったわけだけれども、『サバイビー』を読んでいてミツバチって物語の主人公にするには格好の題材だな、と思わずにはいられなかった(『みなしごハッチ』の記憶も関係しているが)。というのも、虫

    厳重に階層が固定されたミツバチの社会を蜂視点で描き出す、神話的なディストピア文学──『蜂の物語』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2021/06/22
    このテーマの小説を語るのに、百田尚樹の「風の中のマリア」にふれないのか。まあ、あれはスズメバチの話だから違うっちゃ違うが、逆視点の物語としてかなり近いテーマなんだが、まあ、あいつには触れたくないよな。
  • 現実がSFになった世界を描き出す、芝村裕吏の統計SF──『統計外事態』 - 基本読書

    統計外事態 (ハヤカワ文庫JA) 作者:芝村 裕吏発売日: 2021/02/17メディア: Kindle版この『統計外事態』は、ガンパレや刀剣乱舞のゲームデザインやシナリオで有名な芝村裕吏の最新のSFである。芝村裕吏は近年ゲームデザイナー・シナリオライター以外にも多数の小説作品を出して名を馳せているが、ハヤカワ文庫からも定期的に単発のSF長篇を刊行している。特に前回早川から出していた仮想現実物の『セルフ・クラフト・ワールド』全3巻はその年のベストに近い傑作といっていい出来だった。 セルフ・クラフト〜が出たのは2016年のことだから、早川のSFの作品としては約5年ぶりの作品か。今回のテーマは、タイトルにも入っているように「統計」になる。統計をテーマにしたSFって何?? と思うし、僕も読み始める前はどんな話なのか(あらすじとか読んでも)なんにもわからんと思っていたのだが、読んでみたら統計とSF

    現実がSFになった世界を描き出す、芝村裕吏の統計SF──『統計外事態』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2021/03/08
    概要だけのせいか、なんか統計ってそういうもんだっけみたいな印象を持ってしまった。そもそも人口推測からして、2040年代で減少に転じてるのはちょっと早すぎる気がする。2061年くらいがよかったのでは。
  • イスラエルのSFを集めた、恐ろしく質の高い傑作アンソロジー──『シオンズ・フィクション』 - 基本読書

    シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選 (竹書房文庫) 発売日: 2020/09/30メディア: 文庫この『シオンズ・フィクション』は、イスラエルSFの傑作16篇を集めたアンソロジーである。訳者の一人である山岸真さんがの雑誌などで凄い凄いと書いていたので期待していたのだけれども、読み始めてみれば、たしかに恐ろしく質が高い作品が揃っている。それも、イスラエルの文化歴史を反映させた、あまり味わったことのない発想や表現が出てくるので、4篇ほど読んだところでイスラエルにこんなスゲーSFの書き手が存在していたとは……と幽遊白書の魔界トーナメントの気分を味わった。 しかし、それも不思議なことではないのかもしれない。編者二人による巻末に置かれた「イスラエルSF歴史」は、『イスラエルという国家は、質的にサイエンス・フィクション(SF)の国とみなしてもかまわない──地球上でただひとつ、一冊では

    イスラエルのSFを集めた、恐ろしく質の高い傑作アンソロジー──『シオンズ・フィクション』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2020/10/08
    最近の竹書房すごいな。
  • 地上で最後の一人となった女性による、美術と哲学と狂気の内面世界を描いた実験小説──『ウィトゲンシュタインの愛人』 - 基本読書

    ウィトゲンシュタインの愛人 作者:デイヴィッド・マークソン発売日: 2020/07/17メディア: Kindle版デイヴィッド・マークソンによるこの『ウィトゲンシュタインの愛人』は、何らかの理由で地球上で最後の一人になった女性が、淡々とその生活と過去のことを記していく自伝風小説だ。「人類最後の一人系」小説とか映画ってそう謳っておきながらも誰かが出てくるものだが、作の場合そういうことはなくずっと独り言である。 ただ、普通の自伝ではない。版元の紹介に〈アメリカ実験小説の最高到達点〉とあり*1、最高到達点かどうかは、実験小説界隈にスキーのジャンプのように明確な計測が(僕の知る限りでは)存在しているわけではないので不明なところもあるが、とにかく実験的小説であることは確かである。というのも、女性はかなりの教養と美術的素養のある人物であることがその語りからは伺えるのだけれども、何十年にも及ぶ孤独な放

    地上で最後の一人となった女性による、美術と哲学と狂気の内面世界を描いた実験小説──『ウィトゲンシュタインの愛人』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2020/07/22
    訳者は木原善彦だろうなと思ったら、その通りだった。非常に興味深い。
  • 「いま・ここ」にいる人たちに読んで欲しい、東京に核が持ち込まれた状況を描き出す、藤井太洋による緊迫の現代スリラー──『ワン・モア・ヌーク』 - 基本読書

    ワン・モア・ヌーク (新潮文庫) 作者:藤井 太洋出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2020/01/29メディア: 文庫この『ワン・モア・ヌーク』は、近未来サスペンス・SFの書き手として知られる藤井太洋の最新作。2020年の3月11日。日人にとっては忘れることのできない東日大震災が起こったその日に、核兵器を東京の中心部で爆発させるというテロを宣告したテロリスト側と、それを阻止しようとする日政府関係者らの視点を軸にした、核兵器をめぐる現代スリラーである。one more nukeとは、核をもう一度の意味だ。 僕は藤井さんの作品を統計的に正確な至近未来の日の描写、IT周りの描写の確かさなどいくつもの側面からとても好んでいるが、この『ワン・モア・ヌーク』はその中でもピカ一の出来だ。その理由はいくつかある。まずひとつめは、藤井さんは小説を書き始めるきっかけとして、東日大震災と原子力発電

    「いま・ここ」にいる人たちに読んで欲しい、東京に核が持ち込まれた状況を描き出す、藤井太洋による緊迫の現代スリラー──『ワン・モア・ヌーク』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2020/02/13
    面白そうだし文庫なので読んでみようかしら。
  • 存在しない書物についての書評集にして、レムの代表作の一つ──『完全な真空』 - 基本読書

    完全な真空 (河出文庫) 作者:スタニスワフ・レム出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2020/01/07メディア: 文庫この『完全な真空』は『ソラリス』のスタニスワフ・レムの代表作のひとつにして、存在しない書物についての書評集である。もともと単行として国書刊行会から1989年に出ていたのだが、今回それがはじめて(河出から)文庫化とあいなった。 僕は数あるレムの著作の中でも書と、存在しない書物への序文だけで構成されている『虚数』を最も愛している。だから、今回『完全な真空』が文庫になったと知った時は大変に嬉しかったものだ。もちろんすでに単行で読んでいるが、この広大な想像力を一冊の中に閉じ込めた、人生の中でも特別な位置を占めるこのような傑作が文庫の形で棚に鎮座している事実は、ひっそりと僕に勇気を与えてくれる。 レムの作品をたとえひとつも読んだことがなかったとしても、このを読めば

    存在しない書物についての書評集にして、レムの代表作の一つ──『完全な真空』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2020/01/21
    国書から出たとき、神保町の書泉の入り口に広告がでかでかとディスプレイされてて、こんな奇妙な小説があるのかとびっくりしたのを今でも思い出すし、あれが僕の奇書好きに大きく影響してる。
  • なぜ人類は国家を作り、発展させられたのか?──『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 - 基本読書

    反穀物の人類史――国家誕生のディープヒストリー 作者:ジェームズ・C・スコット出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/12/21メディア: 単行我々人類の大半は今は家畜を飼い、農耕を行い、足りない分を輸入することで定住生活を営んでいる。一般的に、そうやって定住して生活をすることは文明的であることの証である。なぜなら我々人類は、狩猟採集生活から、動植物の家畜化・作物化が発生し、そこから固定した畑での農業、定住に繋がったと思われているからだ。 だが、定住は動植物の家畜化・作物化よりもずっと早かったし、初期文明とされる農耕-牧畜文明の連合体が発生する4千年前には、飼いならしによる家畜化や作物化はすべて行われていたのである。つまり、人間は農耕の技術を得てから即、国家を作り始めたわけではない。その後長い年月をかけてようやく国家らしきものが成立しはじめたのである。国家を作り上げることで人間

    なぜ人類は国家を作り、発展させられたのか?──『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2020/01/14
    こないだ話題になってたやつか。おもしろいんだけど、ミクロに人ベースで考えると、そりゃそうなるよねって話にも見える。
  • すべての車が自動運転車になった時、社会の形は激変している──『ドライバーレスの衝撃—自動運転車が社会を支配する』 - 基本読書

    ドライバーレスの衝撃—自動運転車が社会を支配する 作者:サミュエル・I・シュウォルツ出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2019/12/07メディア: 単行この『ドライバーレスの衝撃』は、日々その支配を増しつつある自動運転車について語られた一冊である。自動運転車といっても、今まで人間が運転していた車が一部自動運転に変わるだけで、社会なんて変わらないでしょう、ましてや支配とは、と思うかもしれないが、書を読めばその意味するところはすぐ理解できるだろう。 実際、車の多くが自動運転者に置き換わっていく過程で、道路の形がかわり、人々の生活がかわり、文化もかわると想定され、さらにはその選択いかんによっては人命が失われたり環境破壊がより進展したりといった悪影響も想定されるのである。たとえば、米国の全雇用の七分の一が輸送に関わっているというが、もし仮にこれがすべて自動運転車に置き換わったら、その分の雇

    すべての車が自動運転車になった時、社会の形は激変している──『ドライバーレスの衝撃—自動運転車が社会を支配する』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2019/12/17
    おもしろそうなんだけど、土木まで影響するには自家用車がゼロにならない限り無理ではとか、この紹介読む限りでは論が極端なところがけっこうあるなあ。
  • 世界に対する認識そのものが問われる、SF密室ミステリィ──『世界樹の棺』 - 基本読書

    世界樹の棺 (星海社FICTIONS) 作者:筒城 灯士郎,淵゛出版社/メーカー: 講談社発売日: 2019/11/17メディア: 単行(ソフトカバー)この『世界樹の館』は、『ビアンカ・オーバーステップ』という作品で衝撃のデビューを飾った筒城灯士郎の最新作である。ビアンカの何が衝撃のデビューだったのかというと、もともと筒井康隆がはじめてライトノベルを書いたという触れ込みの『ビアンカ・オーバースタディ』という作品があった。筒城灯士郎はその続篇を勝手に書いて新人賞に応募してきて、権利面などの困難さはあるものの、それをはねのけるだけのパワーを持った作品であったためにデビューに至ったという経緯があるのである。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp で、実際『ビアンカ〜』って、コメディからシリアスまで縦横無尽にこなし、メタ・パラフィクションであり、能力バトルであり異世界物であり

    世界に対する認識そのものが問われる、SF密室ミステリィ──『世界樹の棺』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2019/12/01
    このブログでこんな無言ブクマ多いの相当珍しいんだが、何がおこってるん?
  • 我々は、いかにして生まれたのか──『我々は生命を創れるのか 合成生物学が生みだしつつあるもの』 - 基本読書

    我々は生命を創れるのか 合成生物学が生みだしつつあるもの (ブルーバックス) 作者: 藤崎慎吾出版社/メーカー: 講談社発売日: 2019/08/22メディア: 新書この商品を含むブログを見る作は、小説や科学系のノンフィクション作家である藤崎慎吾さんが講談社ブルーバックスのウェブサイトで連載していた「生命1.0への道」の書籍化したものになる。改題後の書名の通りに、「生命を創れるのか」を問い、各研究者らへのインタビューと仮説・手法の紹介が中心になっていくわけだが、生命を創るためには必然的に「我々は、いかにして生まれたのか」を欠かすことができないから、書では、「我々はどこで、どうやって生まれたのか」も必然的に追っていくことになる。 地球の生命はどこで生まれたのか問題 地球の生命は、どこで、どうやって生まれたのか。とりあえず海なのは確かじゃろ、で、熱噴出孔みたいなところでボコボコしてるところ

    我々は、いかにして生まれたのか──『我々は生命を創れるのか 合成生物学が生みだしつつあるもの』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2019/08/28
    この本、もう少し前に知ったら、自由研究につかえたのに。まあ、来年やらせてみるか。
  • 恐竜の始まりからその終わり、さらに「現代の恐竜」まで、一冊でみっしりまとまった快作──『恐竜の世界史──負け犬が覇者となり、絶滅するまで』 - 基本読書

    恐竜の世界史――負け犬が覇者となり、絶滅するまで 作者: スティーブ・ブルサッテ,土屋健,黒川耕大出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/08/09メディア: 単行この商品を含むブログを見るこの『恐竜の世界史』はいい! 実は恐竜は羽毛が生えてたんじゃね、実はティラノサウルスって走るのそんなに早くなかった説、実は鳥、恐竜であるとか、いわゆる恐竜学もこのうん十年で化石発掘、コンピュータでの解析が進みこれまでの定説と異なる意外な真実が明らかになってきた。書は、恐竜、その誕生から終わりを、現代最新の研究成果でアップデートし一冊でコンパクトに描き出す、非常な快作である。 それこそが、私がこので語りたい物語だ。恐竜はどこから来て、どうやって支配者に成り上がったのか。どのようにして巨大化し、あるいは羽毛と翼を発達させて鳥に進化したのか。そして、なぜ鳥以外の恐竜が滅び、その結果として現代の

    恐竜の始まりからその終わり、さらに「現代の恐竜」まで、一冊でみっしりまとまった快作──『恐竜の世界史──負け犬が覇者となり、絶滅するまで』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2019/08/16
    監修が土屋健だしよさそうね。
  • 終末の予感だけがただひたすらに蔓延する小説──『穴の町』 - 基本読書

    穴の町 作者: ショーン・プレスコット,北田絵里子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/07/04メディア: 単行この商品を含むブログを見る書『穴の町』はオーストラリアの作家ショーン・プレスコットの長篇小説のデビュー作である。「世界文学」としか言いようがない作なのだが、僕はそうした前情報を一切知らずに「なんとなくおもしろそうだな」ぐらいで買って読み始めた。 そしたらどうだ! あまりにも巧みな筆致──カフカやら村上春樹やらいろいろな作家の要素を思い起こさせるのだが、同時にその組み合わせや全体のトーン、突拍子もない話の展開、会話のリズムなどは完全にオリジナルな自分の言葉であり、まずその語り口にぞっこん惚れ込んでしまった。不条理小説であり、あるいは終末SF的であり、ファンタジィというか幻想小説的であり、理屈が通ったと思ったら通らず、異常に人々が気づいたと思ったら気づいてくれず、と

    終末の予感だけがただひたすらに蔓延する小説──『穴の町』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2019/07/20
    三崎亜紀っぽい感じだろうか。興味深い
  • 言葉によって綴られた幻想の架空都市──『方形の円 偽説・都市生成論』 - 基本読書

    方形の円 (偽説・都市生成論) (海外文学セレクション) 作者: ギョルゲ・ササルマン,住谷春也出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/06/20メディア: 単行この商品を含むブログを見る言葉によって綴られた幻想の架空都市──とお題が出されれば、幻想文学ファンは息もつかせず「(カルヴィーノの)見えない都市ー!」と轟をあげると思うがここに邦訳として新鋭が誕生した。ルーマニアの作家、ギョルゲ・ササルマンによる『方形の円 偽説・都市生成論』である。計36個の架空都市が一つ数ページの中におさめられており、ページをめくるたびに想像だにしなかった都市の姿が立ち現れてくる。 一つ一つの都市の記述が短いのでおお! おお! と驚きつつページをめくっていくうちにあっという間に読み終わってしまう(紙のの長さが213ページなのもあり)。ただ、その内実はストーリーの展開というよりかは都市のスケッチに近

    言葉によって綴られた幻想の架空都市──『方形の円 偽説・都市生成論』 - 基本読書
    mats3003
    mats3003 2019/07/02
    こういうのすきー!