■骨太の方針2023では「三位一体の労働市場改革」として、リスキリングによる能力向上支援や、職務給の導入に加え、成長分野への労働移動の円滑化が盛り込まれた。 ■日本の企業間・産業間労働移動や、転職による賃金上昇の現状を見ると、一部で改善の兆しがうかがえるものの、全体として活発化しているとは言えない。日本では、専門性を活かしたキャリアアップ型の労働移動が少なく、転職が賃金上昇につながりにくい課題がある。 ■産業間労働移動を推進する政策の効果について簡易的なシミュレーションを行ったところ、現実的な労働移動数の想定のもとでは、産業間の労働移動そのものによる経済全体の賃金・生産性上昇効果は限定的なものにとどまるとの結果が得られた。 ■経済成長に資する労働移動を実現するには、産業間労働移動だけを目的化するのではなく、幅広い労働者を対象とするリスキリングの推進や、労働移動が企業業績の改善につながりやす