16日の東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=148円台後半に上昇。日本銀行の安達誠司審議委員が「金融政策が正常化プロセスに入る条件は既に満たしている」と述べたことを受けて円が買われている。 関連記事:金融政策が正常化プロセスに入る条件既に満たしている-安達日銀委員 安達委員は講演で、基調的な物価上昇率が目標値である2%を持続的・安定的に実現するまでは「基本的には緩和的な金融環境を維持しつつ、極めて緩慢なペースで政策金利を引き上げていく」と述べた。 東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは、安達委員の発言で一瞬、円が買われたが、日銀執行部の発言ではないので、円買いが加速する感じはないと指摘する。「投機筋は円買いポジションの巻き戻しでむしろ円を売っており、ここからドルは売り込みにくい」と話す。
政策・マーケットラボ 日々起きている政治・マクロ経済・マーケットの動きを、専門家の執筆陣が鋭く分析する。投資や事業運営の方針を立てる上で役立つ「深い知見」を身に付けよう。 バックナンバー一覧 8月5日の株価暴落の主因の一つである円高の急進行。円相場の動向は株価だけでなく日本銀行の金融政策にも実質的に影響する。円高はどこまで進むのか。1ドル=150円台復活はあるのか。4人の専門家にドル円相場の今後を徹底予想してもらった。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋) 円キャリートレード巻き戻しで 1ドル=141円台まで円高急進行 7月3日に1ドル=161円90銭台を付け、37年半ぶりの安値を付けた円相場。 その後、合計で5兆円を超える財務省による円買いドル売り介入が7月11日と12日にあったとみられ、150円台半ばに上昇した。 さらには7月31日の日本銀行のサプライズ利上げに端を発し、8月2日の米
意外に巧く行っている日銀正常化 早いものでもう9月になりました。激動の8月を駆け抜けて見て感じることは、まず日銀の正常化は意外と巧くいっているという印象です。というのも、当初大変な混乱を経たものの、結果だけを見れば日経平均株価は暴落水前の水準に戻り、円安の修正はかなり進みました。あくまで株・為替の水準について「結果だけを見れば」、政府・日銀が望んだ通りの結果になっているようにも読めます。 もっとも、高いボラティリティは様々な市場参加者のポートフォリオに傷痕を残しますので、それ自体は望ましいことであったとは言えませんが、それとて全て日銀に帰責する話とも言えず、追加利上げの初手としては相応に良い着地を果たし、10月以降の追加利上げもまだまだ排除されないでしょう。 購買力平価の現在地 ・・・という目先の話はさておき、今回は久しぶりに購買力平価(PPP)を取り上げてみたいと思います。過去のnote
日銀が大方の市場予測より早く7月に追加利上げした背景には、作戦の変更があったと考えている。日銀はこれまで、金融正常化を急ぎすぎるリスクを重く捉え、意図的な「ビハインド・ザ・カーブ(政策が後手に回る)」の状態を作ってきた。金融政策は通常、見通しに基づいて動くが、日銀はデータが出てから動いてきた。その結果、円安が想定以上に進んだ。消費者心理に悪影響を及ぼし、企業の値上げ姿勢に影響を及ぼす可能性す
先週末10月28日のアメリカ株式市場では、NY(ニューヨーク)ダウ工業株30種平均が前日比828.52ドル(2.6%)と急伸。結局6連騰となり、終値も3万2861.80ドルと2カ月ぶりの高値となった。 一方、ナスダック総合指数も同309.77ポイント(2.9%)高の1万1102.45ポイント、S&P500種指数も93.76ポイント(2.5%)高の3901.06ポイントと上昇して取引を終えた。 NYダウは一段の上昇へ向け「大きな関門」を突破 NYダウを押し上げたのはアップルだ。同社の2022年7~9月決算で売上高と1株当たり純利益が市場予想を上回ったことで、株価は前日比8%高となった。また、ほかのハイテク株にも買いが波及し、マイクロソフト(同4%高)、インテル(同11%高)、さらにはキャタピラーやマクドナルドもあらためて買われた。 NYダウは9月末の引け値ベースの安値2万8725.51ドルか
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■Q1. 日本銀行の金融政策運営についてどのようなシナリオが考えられるか? ―下記3シナリオが考えられる ① 0.5%まで政策金利を引き上げたところで利上げ停止【実現確率55%】 ②-(A) 1%程度まで政策金利を引き上げて利上げ停止【同30%】 ②-(B) 名目中立金利まで政策金利を引き上げ【同10%】 ―0.5%にも届かない可能性はかなり小さい【同5%】 ■Q2. 物価・賃金上昇の持続性をどうみるか? ―「5%賃上げ」もあって2024年度中のインフレ率(コアCPI)は2%超えがコンセンサス。ただし、賃上げが減速する2025年度にコアCPIは2%を割る可能性が高く、「2%完全達成とは言い難い」状況に落ち着く可能性が高い ―一方、インフレ予想が既に1%台半ばまで上昇しており、「達成が見通せる状況」がすぐに崩れる可能性も相当低下しているため、中立金利よりはある程度低い水準(1%前後)まで政策
「量的引き締め(QT)」観測が浮上 金融市場では、日本銀行が国債買い入れを削減し、国債保有残高の削減を本格的に進める「量的引き締め(QT)」が近いうちに実施されるのではないか、との観測が浮上している。そのきっかけとなったのは、日本銀行が13日実施した定例の国債買い入れオペで、長期債の購入を減らしたことだ。 残存期間「5年超10年以下」の長期国債の購入予定額を4,250億円とし、前回から500億円減らしたことだ。1回あたりの買い入れ額の減額は、昨年12月以来のことである。 3月19日にイールドカーブ・コントロール(YCC)を解除した後は「これまでとおおむね同程度」、つまり月間6兆円程度の買い入れを続ける方針を日本銀行は決めた。そして4月以降は、「5年超10年以下」の買い入れ額を4,000億〜5,500億円とレンジで示してきたが、実際には買い入れ額の据え置きを続けていた。 「5年超10年以下」
厚生労働省が9日公表した3月の毎月勤労統計調査で、物価変動を考慮した実質賃金は24カ月連続でマイナスとなり、過去最長を更新した。岸田文雄首相は「今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現する」と話す。賃上げや定額減税の効果で、実質賃金は夏ごろにプラス圏に浮上しそうだが、仮に1ドル=170円まで円安が進むと、秋には再びマイナス圏に沈む恐れがある。 賃上げと減税効果に期待3月の実質賃金は前年同月比2・5%減と、2カ月連続で減少幅が拡大した。現金給与総額は増え続けているものの、それ以上に物価上昇の勢いが強い。 実質賃金のマイナスは、労働者の生活の苦しさを表す。岸田政権は物価上昇を上回る所得の実現を最重要課題の一つに掲げ、大幅な賃上げの実現を後押しすると同時に、6月から1人当たり4万円の所得税と住民税の減税を行い、可処分所得の増加を図っている。 こうした政策の後押しも踏まえ、多くの民間シンクタンクでは夏
総務省は3月29日に、東京都区部の3月分CPI(消費者物価指数)を公表した。コアCPIは、1月に前年同月比+1.8%と2%を割り込んだが、2月には前年の物価高対策の効果が剥落したことで、同+2.5%まで上昇した。3月には同+2.4%と再び低下し、物価上昇率が低下傾向を辿っていることを改めて確認させた。 3月の東京都区部CPIの前年同月比を2月と比較した場合、都市ガス代、電気代など、エネルギー価格が+0.15%ポイントの押し上げ寄与となった。半面、生鮮食品を除く食品が-0.08%ポイント、宿泊料がー0.04%ポイント、家庭用耐久財が-0.02%ポイントと、それぞれ押し下げ寄与となった。 従来、CPIを顕著に押し上げていた生鮮食品を除く食料品価格は3月に前月比+0.3%と緩やかな上昇となり、前年同月比は+4.6%と昨年のピークの半分程度まで低下した。輸入原材料価格を製品に転嫁する動きが一巡して
実質賃金上昇率の下落率大幅縮小は一時的 厚生労働省が7日に発表した1月分毎月勤労統計で、実質賃金は前年同月比-0.6%と、22か月連続で下落となったものの、下落幅は12月の同-2.1%から大きく縮小した。しかしこれをもって、実質賃金がプラスに転じる時期が近付いたと考えるのは誤りだ。 1月の実質賃金上昇率の下落幅が大きく縮小したのは、主に2つの要因による。第1は、振れの大きいボーナスなど一時金の「特別に支払われた給与」が、前年同月比+16.9%と大きく上振れたことだ。しかし、より安定した動きをする基調部分の所定内賃金は、前年同月比+1.4%と前月と同水準だ。賃金の基調的な動きには変化は見られない。 第2は、実質賃金を算出するのに用いられる消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が、前年同月比+2.5%と前月の+3.0%から下振れたことだ。これは宿泊料の下振れなどによる一方、前年の政府の物
おおの・かずもと/1955年、兵庫県生まれ。東京外国語大学英米学科卒業。コーネル大学で化学、ニューヨーク医科大学で基礎医学を学ぶ。現在、医療問題から経済まで幅広い分野に関して世界中で取材を行う。『代理出産―生殖ビジネスと命の尊厳』(集英社新書)、『マイケル・ジャクソン死の真相』(双葉社)などの著書、『そして日本経済が世界の希望になる』(ポール・クルーグマン/PHP新書)などの訳書がある。 総予測2024 2024年、日本と世界は一体どう変わる? ダイヤモンド編集部が総力を挙げて新たな1年を見通す、人気の恒例企画「総予測」が、前年よりもさらにパワーアップ。総勢約300人の人物の名前が登場し、多数の専門家と編集部の記者が、経済はもちろん、国際関係と政治、そして社会、文化、スポーツまでを徹底予測。先の見えない時代を生き抜くための“羅針盤”となるはずだ。 バックナンバー一覧 中国経済が減速している
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