※小説『やさしい猫』および映画『イエスタデイ』についてのネタバレが多少含まれています。 日本人は、入管のこと、在留資格のことを、なにも知らない。それらをすべて説明するのは困難だと思ったのです 。(中島京子『やさしい猫』中央公論新社、2021年、p.382) 中島京子の『やさしい猫』は、入管問題をテーマにした小説だ。舞台となっている多くの実在の場所、例えば、東京都港区の東京入国管理局(現在は東京出入国在留管理局)や、茨城県牛久市の東日本入国管理センターの、建物周辺、面会受付、面会室の様子、などは、克明に描写されているので、その場所を「知っている」人ならば、情景が即座に目に浮かぶだろう。もちろん、「知らない」人にはそうではないだろう。 ところで、「知っている人ならわかるけど、知らない人にはわからない」もの、といえば、これもそうだろう。 クマさんの困った顔は、『イエスタデイ』という映画の中でジャ
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