経済学で使用される効用関数においては、個々人の消費は、他の人々からまったく独立であって、個々人の主観的判断に基づいて決定されると考えられてきた。しかし、われわれの日常的な行為からも明らかなように、消費を決定する際には、所得ばかりではなく、われわれを取り巻く社会環境によっても大きく影響される。たとえば、低所得の人々の間で生活すれば消費は小さくなる傾向があり、高所得の人々の間で生活すれば消費水準は高くなる傾向がある。これをJ・S・デューゼンベリーはデモンストレーション効果とよび、人々の消費水準は相互依存関係にあることを指摘した。 消費関数は、短期的にみるとC=aY+b(ここでCは消費、Yは可処分所得、a、bは定数を示す)となるが、長期的にみればC=cY(cは定数)となるといわれる。この短期と長期の消費行動の差異を統一的に説明するために、相対所得仮説、恒常所得仮説、流動資産仮説などの理論が生まれ