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ブックマーク / crossacross.org (36)

  • 介護の賃金が上がらない理由

    先日日記を公開した際に「介護の賃金がなぜ低いのか」という意見をいくつかいただいた(統計を見ると若干上がっているようだが1、業界団体的には「従業員の確保が困難」な程度であるようだ2)。この問題は「高齢化問題(のうち特に年金財政の悪化)は少子化対策では解決しない」=「長寿化とは老いの苦しみが長引くことである」といった議論と並ぶ、長寿化議論の中核をなす問題の一つで、𝕏(ツイッター)ではよく解説しているので、この機会にブログに固定しておこうと思う。 介護の生産性を上げられない 介護の賃金が上がらない理由の一つは、介護は生産性を上げにくい――一人当たり、単位時間あたりの処理量を増やしにくいからである。 多くの労働集約産業では、機械化で生産性が大きく向上してきた。製造業ではかつて家内制手工業の時代は職人が鑿と金槌を振るって一つずつ作っていたものが、機械化により短時間でで何百という数を作るものに変わっ

    maturi
    maturi 2023/08/10
  • 引用符の使用法について

    maturi
    maturi 2023/02/05
    波括弧それでええんか
  • メモ - 「勝ち組を継がせる」という悲しき渇望

    たまたまのタイミングなのか必然なのか、最近「高収入な人でも子供の教育に際限なく金をつぎ込むので主観的には貧乏」という話が、国内の話としても、アメリカの新聞記事1でも出ていた。 流石に年収1200万を叩きすぎでは…。年収1200万では年収1200万を再生産できない、という当に切実な悩みのはず。 高確度で年収1200万になるには「医者」「商社」「外資IT」「外資金融」ぐらいしか道は無くて、地頭/運動神経関係無くその選択肢を与えるにはどれだけ教育費が必要になるんだ、という話。 https://t.co/tz0fQQQ6JF — chio (@chio_pkmn2gen) February 3, 2023 このあたりは、大まかに以下のような原因によって発生する。 遺伝だの子供の成長にはある程度のランダムネスがあるので親子の所得水準を見ると平均への回帰が観測される ある程度以上高い所得は相対的地位

    メモ - 「勝ち組を継がせる」という悲しき渇望
    maturi
    maturi 2023/02/05
  • メモ - 自分の信念のために言説ををつまみ食いして事実確認しない社会科学者に存在価値ってあるの?

    世界の「国民番号」制度 先日、以下のようなツイートを見かけた(この方はプロフィールに「社会政策が専門」と書かれている)。 どこの国で納税者番号や社会保障番号を色々情報を紐づけて、それを持ち歩くか?ないよ、絶対ない。 — くま大帝 (@mika_berry) November 9, 2021 wikipadiaで国民識別番号やNational identification numberを調べて頂ければ分かるが、国民識別番号カードの携帯と各種政府・民間サービスへの転用事例には事欠かず、特にその程度が進んでいるのがデンマークやスウェーデンなど北欧諸国である。これは話を聞けば誰でもわかることなので、最近以下のような「答え合わせ」のツイートがされていた。 デンマークの友人「何で日マイナンバーカードに反対するの?こんな便利なものはないじゃない」。結局日という国は、国家と国民の信頼関係が根的に成

    メモ - 自分の信念のために言説ををつまみ食いして事実確認しない社会科学者に存在価値ってあるの?
    maturi
    maturi 2021/12/06
    最低賃金の闇
  • 両立できないものを両方手に入れられないことにモヤモヤする女性たち

    従前から述べている通り、私は女性の意思を可能な限り尊重すると言う立場でものを書いてきており、フェミニズムに関する文献やエッセイも一応ある程度読んではいる。その中で気になっていたのは、「モヤモヤ(する)」という表現が徐々に多くなってきているということである。 この言葉は2010年代のフェミニズムを特徴づけているように思う。従来のフェミニズムは多かれ少なかれ「こうあるべきだ」「このようになるべきだ」というゴールを設定してきたが、この「モヤモヤ」に関してはそうでは無い。現状は不満だが、代替案として上がってくる選択肢はもっと不満なので「こうあるべきだ」とも言えず、結局現状の不満を受け入れざるを得ない状況――あるいは両立不可能な複数の願望を抱え全てをかなえることが出来ないという自覚――を「モヤモヤ」と表現しているようなのである。 両立できないが両方ほしいもの 育児仕事に専念できないのは納得できない

    両立できないものを両方手に入れられないことにモヤモヤする女性たち
  • グローバル化と人口増大がもたらす民主主義の危機

    人口が多くなると政治に意見が届きにくくなる 一般論として、ある決定に関わる人が多くなると、その決定に自分の意見が反映される可能性は下がる。1人で決めるのであれば自分の意見が100%通るが、人数が増えれば決定に含まれる自分の意見は人数分の1に薄まる。それは政治でも同様で、「一票の格差」でも問題になる通り、基的には人口が増えれば一票の価値は薄まって行く。十分な納得を引き出すために、例えば個々の発言時間を保証したりすれば、決定への関与人数が増えるごとに手間や時間も増える。特に政治のような大集団での決定では、そのような発言時間保証をすれば一つのことを決めるのに数年かかるという、非現実的な数字になるだろう。 ダールとタフティ(1973)1によれば、このような議論は直接民主制であった古代ギリシアからあった。例えばプラトン、アリストテレス、アテナイのグラウコンなどが民主制が機能する人数の上限や最適規模

    グローバル化と人口増大がもたらす民主主義の危機
    maturi
    maturi 2020/07/23
    やはりスーパーAIによる独裁体制・愚民支配が最高だな!
  • 不死なれど不老ならず:ディストピアとしての長寿化

    ここのところ年金に関する論争が喧しい。「老後の設計は自助努力で」「老後を年金だけで暮らせないのはおかしい」「若い世代は年金の払い損だ」「政府が目減りさせたに違いない」等々、様々な意見が見られる。年々負担の額は増し、定期的に受給年齢引き上げの議論が沸いてくるので、不満なのはごもっともである。そしてしばしば年金を“悪化”させた犯人探しが行われるが、その犯人については長寿化――長生きするようになったことそのものであり、少子化すらこれに比べれば影響は軽微――であることを説明し、ありうべき対策について考えていきたい。 長寿化が年金に与える影響 長寿化が年金に与える影響をざっくり分析していこう。まず単純に、年金がシンプルな積み立て式で、物価は変動しない(またはインフレ率=利子率である)とした場合を考える。この時、ある人が定年60歳、平均寿命70歳で老後を10年分と見積もって年金を積み立てたものの、定年

    不死なれど不老ならず:ディストピアとしての長寿化
  • コーヒー第三の波は日本にすでにあるとも言えるし、なかったとも言える

    最近「コーヒー第三の波」なるものが話題となっている1 2 3。現地で直接飲んだ人は「日にはない喫茶店」と言い、新聞などで取材した記事では「日に影響を受けている」と言う(実際、Kyoto style iced coffeeという商品を売っている)。両者の物言いは矛盾するようだが、これは両方とも正しいと言える部分がある。そのことについて、思うところ筆に随う。 美味いコーヒーを淹れる最低限の手順 コーヒーの専門家やコーヒーマニアの間で常識と考えられている美味なコーヒーの淹れ方は以下のようなものである。 美味な生豆を用意する 豆の特性に合わせて焙煎し、2日目程度を目安に飲む。それ以降鮮度は落ち続ける。(主に加水分解、次いで酸敗)4 淹れる直前に挽く。豆の状態に比べ10倍以上の速度で鮮度は落ちる(主に香り成分の揮発) 器具の標準的な使い方に従って淹れる 淹れたらすぐ飲む(加水分解と揮発が分単位で

    コーヒー第三の波は日本にすでにあるとも言えるし、なかったとも言える
    maturi
    maturi 2020/07/01
    ブレスケア ”飲んだ後30分ほどは胃の中から良い香りが漂ってくるほどである。”
  • KYの雑記ログ

    個人的にメールや掲示板などでさらっと流しているものを固定するためのログです。ご意見・ご批判は歓迎しております。Twitter@kyslogや匿名質問箱などへどうぞ。メールは''ky アットマーク crossacross.org''までお送りください。雑誌などへ掲載してくださるという方がおられましたら、ぜひご連絡ください。 目次 経済評論 景気/労働/平等 人口動態と経済 日型雇用を誰が殺したのか 日型雇用を誰が殺したのか――10年目の検証 デフレの高齢化原因論:《将来保証》のやり取りで考える長期停滞モデル 介護の賃金が上がらない理由 高齢化対応は少子化対策や移民受入ではなく定年変更が正道 不死なれど不老ならず:ディストピアとしての長寿化 貧困層支援策を格差拡大政策に裏返してしまう「罠」に気をつけよ 人口小国のタックスヘイブン化と人口大国の対処 グローバル化の必然の帰結としての不平等 囚

    KYの雑記ログ
  • 人口小国のタックスヘイブン化と人口大国の対処

    グローバル化と税率競争 1983年ころから、各国の法人税や最高所得税率が下がっていることが指摘されている。時期的に冷戦末期で、グローバル化が進展してきたころであり、国が税率を下げて人やカネを呼び込もうとする税率低下競争(tax competition)が起きたのではないかと考えられている。税率低下競争といっても単に税率が下がるだけならまだ問題は少ないが、その恩恵はいとも簡単に国境を越えられる企業や富裕層に偏って享受され、そう簡単に生活基盤を捨てられない庶民にとってはその恩恵は受けにくい。そのため、税率低下競争は実質的には累進性を緩める競争となって富裕層を利し1、不平等拡大に寄与しているという考えは根強い2。また、税収や累進性の低下により社会保障の持続性が損なわれる可能性を危ぶむ声も強い34。 人口小国がタックスヘイブン化するメカニズム 税率低下競争の中でも、租税回避地(タックスヘイブン)は

    人口小国のタックスヘイブン化と人口大国の対処
    maturi
    maturi 2020/07/01
    人口大国に住むものとしては、「人口小国なのにこんな高福祉を実現しててすごい」などと褒めたたえているばかりでもいられないのである。その財源は我々からかすめ取られた法人税・富裕層の所得税かもしれないのだか
  • 「気圧が下がると頭痛がする」は本当か? - KYの雑記ログ

    この数年、「低気圧が来ると頭痛になる」といった言説がSNS上でまことしやかに囁かれている。特に気圧が関係しているという言説が広まっており、半ば常識として信じている人も多い。「気圧予報を見て頭痛を予測する」と称するアプリも存在し、NHKなどでも「気象病」として紹介されるようになってきた1。最近では気象予報士がそれについてのを書くほどである2。 一方で、気象現象としての低気圧程度の気圧変動を原因とする疾患があるとする見解は、医学領域では否定的といっていい状態である。筆者も論文も探してみたものの、現状は「荒唐無稽な俗説を検証してみた」というような態度のものが多少見つかった程度である。英語Wikipediaでも「あると言っている人はいるが……」という程度の見解であった3。 さて、このような「気圧が下がると頭痛がする」という因果関係は当に存在するのだろうか。俗説、思い込みでも「当たっている」と

    「気圧が下がると頭痛がする」は本当か? - KYの雑記ログ
    maturi
    maturi 2020/07/01
  • デトロイトは、中心自治体から富裕層=労組が逃げて破綻した

    最近デトロイト市が破綻し1、これをもってデトロイトという地域が完全に崩壊したかのように語られることがある。しかし実際にはデトロイトでは堅調にモーターショーが開かれており、財政破たんなどどこ吹く風といった雰囲気である2。この温度差の原因は、デトロイト周辺の人口分布を調べることで理解がしやすくなる。 アメリカの国政調査を見ると、デトロイト市の人口は確かにこの30年減少を続けている。しかしながら、これはデトロイトという街が死んだことを意味しない。行政区分としてのデトロイト市ではなく実際の「街」としてのデトロイト都市圏(Metro Detroit)に着目した場合、人口は減少しておらず、一定である。すなわち、この30年間、デトロイト中心部からデトロイト郊外に向かって人口が流出していたことを示す3。貧乏な人が都市中心に集まるようになると金持ちが郊外に脱出するという現象は、アメリカのちょっと古い都市では

    デトロイトは、中心自治体から富裕層=労組が逃げて破綻した
    maturi
    maturi 2020/06/10
    足による投票って奴だ()
  • 編集用PCモニターの選び方

    早見表 デスクトップPC 2つの文書を同時に開いて編集したいなら → 27インチ4Kがお勧め A4文書1つ分だけを編集するか、カジュアル見る専 → 21インチWQHD(2560*1440)がお勧め Mac使い → カジュアルなら4k-24in、シリアスならおとなしくApple 5kディスプレイを買う ゲーマー → 稿では取り扱わない ノートPC A4文書を快適に編集 → 13~14インチでWQHD(2560×1440)以上がお勧め サブノートや2in1でいい → 10インチFHD前後がお勧め スマートフォン たいていの場合、2k(FHD)があれば十分、UXGA(1600×1200)でも事足りる 画面の広さ PCで編集作業を行う場合、たいていの人はA4判程度≒の見開き程度の情報量を扱っているだろう。A4判の大きさをディスプレイ同様のインチ数で表現すると14.3‬‬インチである。人によって

    編集用PCモニターの選び方
  • 2010年代の世界政治の潮流:左右対立からグローバリズムvs反グローバリズムの時代へ

    この論考は左派内部のロジックをベースとして書いており、この原稿の執筆の約半年後にイギリスの左派の歴史学者ティモシー・ガートン・アッシュが同様の論考を発表しています。 Timothy Garton Ash. Liberal internationalists have to own up: we left too many people behind. 13 October 2016 トランプとサンダースの共通性 米国大統領選に向けて各党候補者の指名投票が始まったが、共和党はトランプ、民主党はサンダースが旋風を起こしている。このうちトランプは過激発言で知られているが、その主張を細かく見ると、再分配重視で保護貿易路線である。この再分配重視・保護貿易路線は、実は民主党で旋風を起こしているサンダースと共通している1。 両者は共和党・民主党の首脳部(エスタブリッシュメント)からは受け入れがたい発言を

    2010年代の世界政治の潮流:左右対立からグローバリズムvs反グローバリズムの時代へ
  • 世界市民指向と多文化共生指向の相克

    この論考は左派内部のロジックをベースとして書いており、この原稿の執筆の約1年後にスロベニアの左派の哲学者スラボイ・ジジェクが同様の論考を発表しています。原文:Slavoj Zizek: In the Wake of Paris Attacks the Left Must Embrace Its Radical Western Roots November 16, 2015、その抄訳ジジェク「パリ襲撃のあとでこそ左翼は自らの根源的な西洋的出自を受け容れなければならない」 2015年に入り、シャルリー・エブド誌の風刺画に端を発する問題が世間をにぎわせている。この問題はフランスの不寛容を表していることがあると言われる一方で、問題となったシャルリー・エブド誌はラジカル左派であり排外主義者のルペンをよく攻撃していた。排外主義者を攻撃する左派がなぜ不寛容やヘイトのような扱いをされたのだろうか?ここには

    世界市民指向と多文化共生指向の相克
    maturi
    maturi 2018/01/22
    「基本的人権を尊重し基本的人権を守らないことを教義とする宗教を認める」ことは自家撞着であり、矛盾なく実現することは原理的に不可能である。何を選んでもどこかに問題が生じるため、原則なき妥協で全てが決定し
  • 貧困層支援策を格差拡大政策に裏返してしまう「罠」に気をつけよ

    近年の格差対策・再分配強化策には2種類のトレンドがある。一つは、等しくとって傾斜配分せよという考え方(均税傾給と名付ける)である。「等しくとる」方法として消費税の強化を主張することが多い。菅直人政権の経済ブレーンだった小野善康が代表的論者として挙げられる。もう一つは、金持からとって等しく生活保障レベルを給付せよという考え方(傾税均給と名付ける)である。この極端な例としては、民進党前原氏のブレーンである井手栄策氏の主張が挙げられる。氏は定率の税(=高所得者のほうが納税の絶対額は多くなる)と均等金額の給付により格差が縮小できるとしている1。 第一の罠――「均税均給」への野合による再分配機能の停止 「均税傾給」型の主張と「傾税均給」型の主張は、それぞれ税か給付のいずれか一方を無差別に均等化すべきと主張している。その利点として、審査が1回になることでコスト低減になり、ごまかしや抜け穴が減るとするこ

    貧困層支援策を格差拡大政策に裏返してしまう「罠」に気をつけよ
  • 日本型雇用を誰が殺したのか――10年目の検証

    型雇用を誰が殺したのかはすでに10年前のエントリになるが、その中で以下のような予測を行った。 そして、この分析は、もう一つの問題を予測する。団塊世代の引退後約10年で、団塊ジュニア世代というもう一つの人口ピークが壮年に差し掛かる(人口ピークが40歳以下にもう一つ存在していて小さな末広がりピラミッドが存在しているからこそ、団塊世代の引退で2005年以降に年齢別賃金水準の上昇と平均賃金の下落が同時に起きたのである)。そのとき、年功序列型の賃金システムが1990年代と同様に温存されていたとしたら、今から10年後、再び就職氷河期とリストラの嵐が吹き荒れる可能性がある。 この予測について、約10年後の今、検証していく。 大外れ~就職氷河期 まず、目下新卒の就職状況は極めて好調であり、「氷河期が来る」という予想は外れていると言っていいでしょう。景況感はまずまず、団塊世代が退職し、中堅社員はむしろ不

  • グローバル化の必然の帰結としての不平等

    スーパースター効果 グローバル化が格差の原因になっているか否かという議論は数多い。私見としては、量はともかく定性的にはいわゆるスーパースター効果1により「知的財産を売っている」「一握りのトップ」が所得を上げやすい環境になっているというのが筆者の私見である。スーパースター効果とは、以下のような効果である。 20世紀初頭までは、音楽や演劇は基的に実演家による生演奏・名演技で提供されており、一度の実演で稼ぐことができるのは劇場の客席数が最大限であった。それだけではそこそこの収入にしかならないため、実演形は何公演もこなして日銭を稼いでいた。この時点での芸能界は、実演家の労働集約的側面が大きく、劇場ごとに中程度の収入のある実演家がいたと大まかに考えてよい。 それが一変するのはラジオやレコード、映画テレビといった伝達メディアの登場である。これらの登場により、1人の実演家が相手にする市場は、一つの劇

    グローバル化の必然の帰結としての不平等
    maturi
    maturi 2017/12/19
    高額報酬を得ているのは、社会人口サイズあってこそだ。社会の大きさから《実力以上》の恩恵を得ている者が社会維持コストを支払うのは、正当化されると思う。が、市場の急速な統合と政治の不十分な統合がそれを阻む
  • 2010年代の世界政治の潮流:左右対立からグローバリズムvs反グローバリズムの時代へ

    この論考は左派内部のロジックをベースとして書いており、この原稿の執筆の約半年後にイギリスの左派の歴史学者ティモシー・ガートン・アッシュが同様の論考を発表しています。 Timothy Garton Ash. Liberal internationalists have to own up: we left too many people behind. 13 October 2016 トランプとサンダースの共通性 米国大統領選に向けて各党候補者の指名投票が始まったが、共和党はトランプ、民主党はサンダースが旋風を起こしている。このうちトランプは過激発言で知られているが、その主張を細かく見ると、再分配重視で保護貿易路線である。この再分配重視・保護貿易路線は、実は民主党で旋風を起こしているサンダースと共通している1。 両者は共和党・民主党の首脳部(エスタブリッシュメント)からは受け入れがたい発言を

    2010年代の世界政治の潮流:左右対立からグローバリズムvs反グローバリズムの時代へ
  • 人口小国のタックスヘイブン化と人口大国の対処

    グローバル化と税率競争 1983年ころから、各国の法人税や最高所得税率が下がっていることが指摘されている。時期的に冷戦末期で、グローバル化が進展してきたころであり、国が税率を下げて人やカネを呼び込もうとする税率低下競争(tax competition)が起きたのではないかと考えられている。税率低下競争といっても単に税率が下がるだけならまだ問題は少ないが、その恩恵はいとも簡単に国境を越えられる企業や富裕層に偏って享受され、そう簡単に生活基盤を捨てられない庶民にとってはその恩恵は受けにくい。そのため、税率低下競争は実質的には累進性を緩める競争となって富裕層を利し1、不平等拡大に寄与しているという考えは根強い2。また、税収や累進性の低下により社会保障の持続性が損なわれる可能性を危ぶむ声も強い34。 人口小国がタックスヘイブン化するメカニズム 税率低下競争の中でも、租税回避地(タックスヘイブン)は

    人口小国のタックスヘイブン化と人口大国の対処
    maturi
    maturi 2016/04/11
    イギリスは元からタックスヘイブンそのものでは