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ブックマーク / www.tkfd.or.jp (79)

  • 2つの「好循環」を考える ―求められるナラティヴの見直し― | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    「賃金と物価の好循環」は実現しても期待外れ 「賃金と物価の好循環」が叫ばれて久しいが、賃金と物価の動きを実際のデータで確かめると、消費者物価指数(生鮮品を除く)の前年比が2年以上にわたって日銀が目標とする2%を上回っているだけでなく、所定内給与(共通事業所ベース)の前年比も昨年7月からの9カ月間を平均すると2%を上回っている。これらを踏まえると、賃金と物価の好循環はほぼ達成されたと言ってよいだろう。しかし、多くの国民がこれに満足している様子は全くない。賃金は上がっても、インフレ率が予想以上に高止まった結果、実質賃金は2年以上低下を続けているのだから当然である。確かに、今年の春闘の賃上げ率は5%程度に達するとみられるため、今年後半には実質賃金もプラスに転じる可能性は高い。しかし、個人消費はコロナ禍で大きく落ち込み、その後の物価高でも減少した後だけに(図表1)、実質賃金がプラスに転じて個人消

    2つの「好循環」を考える ―求められるナラティヴの見直し― | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2024/06/02
    答えは簡単です。日本国民の多くがこれからは物価も上がるし給料も上がるので、もっとお金を使おうという気分になる政策をうつだけでいいのです。それだけで日本の景気はずっとよくなります(クルーグマン)
  • 遅い金融政策正常化の副作用 | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    金融市場では、この春にもマイナス金利が解除されるとの見方が一般的になっている。日銀は昨年(2023年)中に7月と10月の2度にわたって長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の弾力化を進めてきたが、これは大規模金融緩和の副作用除去を主眼とするものだった。一方、金融政策の丸とも言うべき短期市場金利をマイナスからプラス(恐らく0.0~0.1%)に引き上げるならば、これは格的な金融政策の正常化が始まることを意味する。 しかし、日銀は引き締め方向への政策変更に対して依然として極めて慎重であり、今年(2024年)の春闘で昨年を上回る賃上げが実現するのを見届けるまでは動かない姿勢のようである。植田和男総裁は、就任以前から「早過ぎる利上げのリスクは遅過ぎよりも大きい」と語っていたから、その通りに政策のかじ取りを進めるつもりなのだろう。筆者も、こうした意図的な「出遅れ」(behind the cu

    遅い金融政策正常化の副作用 | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2024/03/25
  • マイナス金利解除とその後の金融政策を考える | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    4月のマイナス金利解除が標準シナリオに 金融市場では、一部に昨年12月か今年1月にもマイナス金利解除との見方があったが、結局、日銀が動くことはなかった。その一方で、1月の「展望レポート」に「2%の物価目標に向けた見通しが実現する確度が高まってきている」旨の記述が加えられたこともあり、市場関係者の間では今春のマイナス金利解除が標準シナリオとなってきた。これは、従来からの筆者の見立てと一致するものである。フォワード・ガイダンスを重視する植田総裁は、現在の「必要があれば、躊躇(ちゅうちょ)なく追加的な金融緩和措置を講ずる」という、次回の政策変更は追加的な金融緩和だとする現行のフォワード・ガイダンスを3月の金融政策決定会合で変更した上で、26年度までの物価見通しを示す4月の会合でマイナス金利解除に踏み切る可能性が高い[1]。 消費者物価の上昇率だけなら、既に20ヶ月余り2%超が続いている[2]。そ

    マイナス金利解除とその後の金融政策を考える | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2024/02/07
    前年比2桁近くに達した欧米と比べれば、控えめなものだったし、エネルギー価格の低下などもあって、日本のインフレ率もピークアウトしつつある。日銀の慎重姿勢で()のコストはさほど大きくなかったと判断される[
  • 円安が止まらない理由 | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    金利差だけでは説明できない円安の進行 円安がなかなか止まらない。2023年11月に入り米国長期金利の低下から米ドルが下落したため、一時の1ドル=150円台からは若干修正されたものの、稿執筆時点でも1ドル=140円台後半と極端な円安に変化はない。実質実効レートを使って為替相場の長期的な推移をみると(図表1)、現状は50年以上前の1ドル=360円だった固定相場時代以来の円安水準にあることが分かる。 この円安に内外金利差が大きく影響していることは改めて言うまでもない。しかし、2022年に一時150円台だった為替相場が同年12月のYCC(イールドカーブ・コントロール)修正をきっかけに、2023年1月には120円台後半まで戻していた。その後、7月、10月とYCCの修正が繰り返され、市場がマイナス金利の解除まで含めた金融政策正常化を強く意識し始めた現状での円安を、内外金利差だけで説明することは難しい

    円安が止まらない理由 | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2023/12/17
    日本の産業界が円高是正を強く求めた結果が「異次元緩和」という名の円安政策だったが、その後の10年余りで競争力の立て直しが進むことはなく、
  • 植田日銀が挑む金融政策正常化の課題 ―インフレ動学の不安定化という試練― | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    Review 経済・財政、環境・資源・エネルギー 植田日銀が挑む金融政策正常化の課題 ―インフレ動学の不安定化という試練― October 17, 2023 経済政策 財政政策 金融政策 消費者物価の上昇率2%超が続く中で、日銀が金融政策の正常化をどのように進めるかに注目が集まっている。植田総裁の誕生から半年余り、この間に日銀が下した金融政策に関する決定の主なものは2つ、4月に1年から1年半をかけて過去25年間の金融政策に関して多角的レビューを行うと決めたことと、7月に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の弾力化を決定したことであった。このうち前者については、今後日銀のスタッフらによる研究成果が公表されていくほか、内外の研究者を集めたワークショップなどが開催される予定だという[1]。いかにも学者出身の総裁のイニシアティブという印象を与える。 しかし、より多くの人々の関心を引

    植田日銀が挑む金融政策正常化の課題 ―インフレ動学の不安定化という試練― | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2023/10/18
  • 訪日外国人関連統計を考える~政策目標にできる精度なのか〈政策データウォッチ(5)〉 | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    論考 マクロ経済・経済政策 訪日外国人関連統計を考える~政策目標にできる精度なのか〈政策データウォッチ(5)〉 January 29, 2019 経済政策 EBPM リアルタイムデータ 東京財団政策研究所「リアルタイムデータ等研究会」座長 神奈川大学経済学部 教授 飯塚 信夫 はじめに 2019年1月16日、観光庁は2018年に日に訪れた外国人の消費額(以下、訪日外国人消費額)が4兆5064億円と過去最高になったと発表した。同日、日政府観光局(JNTO)が発表した日に訪れた外国人の数である訪日外客数も3119万1900人と過去最高である。政府は、2020年に訪日外客数を4000万人とし、消費額を8兆円にする目標を打ち立てているが、消費額については達成が難しいのではないかという声も出ている。 こうした訪日外客数や消費額は、訪日外国人の動向の実勢を当に表しているといえるのであろうか。結

    訪日外国人関連統計を考える~政策目標にできる精度なのか〈政策データウォッチ(5)〉 | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2023/10/03
    「訪日外国人消費動向調査」による1人当たり消費額の精度も高くはない。かねて批判を受けることが多い、総務省の「家計調査」よりも精度が低いのである。
  • 世界金融危機以降の経済政策思想を振り返る(3) 新たな危機と綻ぶコンセンサス | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    Review 経済・財政、環境・資源・エネルギー 世界金融危機以降の経済政策思想を振り返る(3) 新たな危機と綻ぶコンセンサス September 13, 2023 経済政策 財政政策 金融政策 歴史 気候変動 R-2023-040-3 前稿「世界金融危機以降の経済政策思想を振り返る(2):コロナ危機下でのコンセンサスの模索」[1]では、コロナ危機の下で経済思想がどのような変貌を遂げたのかをみてきた。この時期、米中対立に大きな変化はみられなかったが、①2020年春の金融危機への対応(ドル資金供給の枠組み強化など)、②欧州復興基金創設という欧州財政統合に向けた動き、③新興国へのワクチン供給のためのCOVAXの試み、④脱炭素に向けた国際協調の高まり、⑤法人税の最低税率設定やデジタル課税など税制の国際協調の進展など、経済政策に関して多くの国際協調の試みが行われたのが大きな特徴だった。その背景とし

    世界金融危機以降の経済政策思想を振り返る(3) 新たな危機と綻ぶコンセンサス | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2023/09/16
    もう一つ注目すべき動きは、産業政策の再評価の流れが強まっていることである。()その背景には、脱炭素や医療など外部性の大きい産業が経済に占める重要性の高まりを指摘することができるだろう。
  • 日本企業は変われるのか? | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    30年振りの大幅な賃上げ 今年に入って、日企業に関する前向きのニュースを耳にすることが多くなった。その最たるものは、予想を大きく上回る賃上げ機運の高まりだろう。7月5日に公表された連合による最終集計の賃上げ率は3.58%と、第二次安倍政権下の「官製春闘期」のピーク(15年、2.38%)だけでなく、今年1月時点のエコノミスト予想(ESPフォーキャスト調査の特別調査)の2.85%をも大きく上回る結果となった[1]。3%台後半の賃上げは1993年以来30年振りであり、1.8%前後の定期昇給分を除いても2%に近いベースアップの実現となる[2]。また、春頃には「中小企業は大企業のような賃上げに応じることはできない」との見方が多かったが、連合調べによれば300人未満の中小企業でも、大企業よりやや低めとは言え、賃上げ率は3.23%に達している。 今年の賃上げ劇の大きな特徴は、労働組合が強気の賃上げ要求

    日本企業は変われるのか? | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2023/07/13
    "少し前には常識的だった「今年度後半には消費者物価上昇率が1%台に低下する」という日銀の予想も、今ではかなり疑わしくなっている"
  • 15%グローバルミニマム税の事務負担を考える | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    はじめに わが国は令和5(2023)年度改正で巨大多国籍企業(売上7.5億ユーロ超・1,000億円)に対する15%のグローバルミニマム税(所得合算ルール)を立法した。韓国2022年12月に世界で初めてとなる立法を行ったほか、ドイツ、イギリス等も法案を用意している。一方、米国では、バイデン政権が昨年8月に国内法改正に失敗しており、当面OECD合意に沿った制度導入の具体的な見通しはない。しかし、EUやグローバルサウス諸国は法案準備を進めているなど、グローバルミニマム税導入国(特に国内ミニマム税導入国)は今後一気に広がりそうだ。 OECDにおいても、2022年12月から2023年2月にかけて「情報義務ルール」や「執行ガイダンス」などA4用紙で200頁を優に超える文書を精力的に発表しており、各国が制度を運用する上で必要なルールも揃いつつある。明るい展望だが、これらに併せてルールの複雑さも明らかに

    15%グローバルミニマム税の事務負担を考える | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
  • 賃上げを促す2つの力 ―構造的人手不足に向かう日本経済― | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    Review 経済・財政、環境・資源・エネルギー 賃上げを促す2つの力 ―構造的人手不足に向かう日経済― February 6, 2023 金融政策 財政政策 経済政策 「金融危機の呪縛」の解凍 年明けとともに賃上げ機運が大きく高まってきた印象がある。周知のように、岸田文雄首相は年頭の記者会見で「物価上昇率を上回る賃上げ」を求めたが、印象的だったのは、これに対する経済界のリーダー達の反応が予想以上に前向きだったことだ。政府が賃上げを求めるのはアベノミクスの時期にもみられたが、当時の民間の反応は冷めたもので結果的に「官製春闘」などと揶揄される結果となった。これに対し今回は、自社の賃上げ幅に言及する経営者が少なくなかった点が大きな変化である。 その背景にある要因の1つは、もちろん予想を大幅に上回る物価上昇である。昨年12月の消費者物価指数(除く生鮮品)の前年同月比は+4.0%と約41年振り

    賃上げを促す2つの力 ―構造的人手不足に向かう日本経済― | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2023/05/19
    アベノミクスは、生産性が停滞したまま、労働参加率上昇で成長の()「労働動員型」成長だった。()生産性が停滞したままで労働供給の制約が強まれば{2%インフレが持続しても}成長率はさらに低下してしまう恐れ
  • 不確実性高まるインフレ動学 | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    予想を上回る物価上昇が続く 日銀が量的・質的金融緩和(QQE)と呼ばれる大規模金融緩和を始めて9年間、コアCPI(生鮮品を除く消費者物価指数)の上昇率は平均して僅かにゼロを上回り、「デフレではない状態」は実現したものの、目標とする2%には遠く及ばない状況が続いていた。ところが、今年4月にこれまで指数を大きく押し下げていた携帯電話料金のマイナス寄与が大幅に縮小すると、同前年比は2%を上回り、その後半年あまり2%超が続くに至った。 とくに10月のコアCPIの前年比は、9月の+3.0%から一気に0.6%ポイントも上昇率を高め、+3.6%と40年振りの高さとなった。日銀が重視する生鮮品とエネルギーを除いたベースでみても、3月までは前年比でマイナス(3月-0.7%)だったものが足もとでは+2.5%となっている。もちろん、これでも欧米と比べるとかなり低め(10月の米国CPI前年比は+7.7%、

    不確実性高まるインフレ動学 | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2023/05/19
    やったぞアベノミクス ”原油相場のピークは今年3月だったことを考えると、今回の物価上昇率上振れは輸入物価の川下への価格転嫁が従来以上に進捗していると理解すべき”
  • 米国利上げと日本の金融政策-YCC弾力化の可能性- | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    米FRBは利上げサイクルをスタート 3月15~16日の公開市場委員会(FOMC)で米国連邦準備制度理事会(FRB)は0.25%の利上げを決定して、コロナ・ショックから2年間続いたゼロ金利政策に終止符を打ち、利上げサイクルのスタートを切った。しかし、2月の消費者物価の前年比が40年振りの+8%に近づき、FRBが重視するPCE(個人消費支出)デフレーター(コア)も+5%台になってしまったことを考えると、behind the curveに陥った感を免れない。その背景には3つの誤算、ないし失敗があったと考えられる。この点は今年1月の欄でも指摘したことだが、ここでもう一度再確認しておこう[1]。 まず第1の誤算は、供給障害に伴うインフレ圧力を過小評価したことだろう。米国では、昨年の早春頃からサマーズ元財務長官らがインフレのリスクに警鐘を鳴らしてきたが、この時にサマーズらが懸念したのは過大な財政刺激

    米国利上げと日本の金融政策-YCC弾力化の可能性- | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2023/05/19
    2022 まぁまぁ分析通りに進んでいて〜ろた
  • 「異次元緩和」10年を振り返る(下) | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    政策修正の模索:量的緩和拡大とマイナス金利 稿(上)では、13年4月に開始されたQQE(異次元緩和)が金融市場中心に一定の成果を挙げたものの、日銀が目指した2%インフレの実現には力不足だったことを確認した。このため、消費者物価上昇率がピークアウトした14年半ばから16年初頭にかけて試みられたのは、金融緩和をより強化する方向への政策修正の模索であった。 最初に試みられたのは、QQEⅡとも呼ばれた14年10月の量的緩和の強化である。具体的には、①日銀が保有する長期国債保有額の年間増加額を50兆円から80兆円に拡大し、②購入する長期国債の平均残存期間を7年程度から7~10年程度へ延長するものだった。恐らく日銀は、原油価格の下落などから消費者物価の上昇率がさらに低下することを心配して、急いで対応する必要があると考えたのだろうが、筆者はそのニュースを聞いた途端に「馬鹿げた対応だ」と思った。 その理

    「異次元緩和」10年を振り返る(下) | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2023/05/19
    YCC導入時にはマネタリーベースを継続的に増やすことを約束するオーバーシュート型コミットメントも同時に導入されているが、これはリフレ派政策委員を納得させるために設けられた「量的緩和のしっぽ」
  • 「異次元緩和」10年を振り返る(上) | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    このレビューのポイント 今年4月、日銀の黒田東彦前総裁が過去最長の10年の任期を終えて退任した。この間に黒田氏が展開した金融政策、いわゆる「異次元緩和」に対しては好悪双方の評価があるが、この10年間が日銀の、そして日の金融経済の歴史に大きな足跡を残したことは間違いない。稿では、「異次元緩和」の10年間を実験的政策とその修正の歴史という観点から振り返ってみたい。 20世紀末のある国際会議での会話 筆者は「異次元緩和」をそのスタート当時から「実験的金融政策」と呼んできたのだが、なぜそう考えるかを理解してもらうには次のエピソードから始めるのが適当だと思う[1]。それはもう20年以上前、多分1998年か99年頃(場所は国際決済銀行(BIS)だったか欧州中央銀行 (ECB)だったか)のことである。当時、日は既にほぼゼロ金利の下で、金融危機に伴う大きな負の経済的ショックに直面しており、量的緩和と

    「異次元緩和」10年を振り返る(上) | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2023/05/19
    "当時の黒田氏は、現在とは違って賃金の役割も重視していなかったようだ(14年の講演では「物価が上がって賃金が上がらないということは、普通はない」などと発言している)。"
  • 遅れる景気回復、続く潜在成長率の低迷 ―求められる成長戦略は何か― | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    Review 経済・財政、環境・資源・エネルギー 遅れる景気回復、続く潜在成長率の低迷 ―求められる成長戦略は何か― September 7, 2022 経済政策 金融政策 財政政策 遅れる日の景気回復 日の景気回復の遅れが目立っている。8月中旬に4~6月のGDP統計第一次速報が公表された。その際、4~6月の実質GDP成長率が年率+2.2%となっただけでなく、1~3月の実質成長率もマイナスからプラスに改定されたため、「3四半期連続のプラス成長」、「コロナ前の水準を回復」などと報道された。しかし、正直なところ筆者はこれに違和感を禁じ得なかった。と言うのも、ここでは「コロナ前」を消費増税の影響でGDPが大きく低下した19年10~12月としているためで、ごく自然にコロナ前=20年1~3月とすれば、4~6月の実質GDPはこれをまだ0.3%下回っている。さらに、消費増税前のピークであった19年4

    遅れる景気回復、続く潜在成長率の低迷 ―求められる成長戦略は何か― | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2023/02/18
    ありがとうアベノミクス ”日銀が推計する潜在成長率(図表2)①14年頃には約1%まで上昇し、その後再び低下、ほぼゼロまで落ちた(戦後2番目の長さのアベノミクス景気は潜在成長率押上げには全く寄与していない)
  •  政府・日銀アコードの見直しに向けて ―「3本の矢」を再考する― | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    Review 経済・財政、環境・資源・エネルギー 政府・日銀アコードの見直しに向けて ―「3の矢」を再考する― November 4, 2022 経済政策 財政政策 金融政策 崩壊したリフレ論者の論理 日銀の黒田総裁は、最近の記者会見などで「賃金の上昇を伴う形で物価目標を安定的・持続的に実現するため、金融緩和を継続する」という発言を繰り返している。つまり、円安等で消費者物価の上昇率が3%超になっても、なかなか賃金が上昇しない現状では、2%の物価上昇が持続するとは期待しにくいという認識である。筆者もこの判断自体は正しいと思うが、同時に指摘しなければならないのは、10年近く前に異次元緩和(QQE: Quantitative and Qualitative Monetary Easing)を開始した頃、同総裁が「物価が上がって賃金が上がらないことはあり得ない」と断言していたことだ。そして、この

     政府・日銀アコードの見直しに向けて ―「3本の矢」を再考する― | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2022/11/06
    ”日銀は金融緩和政策そのものを転換すべきではないというのが筆者の立場だ。” 目標を2%から引き下げたりしてはいけないよ、と
  • ジワリ上がり始めた日本の物価 | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    消費者物価上昇率は2%超に 日の物価がジワリと上がり始めたようだ。周知のように、消費者物価(除く生鮮品、以下同じ)の前年比は3月の+0.8%から4月は+2.1%と大きく跳ね上がった(図表1)。もちろん、この跳ね上がりは大部分が携帯電話料金引下げの影響縮小によるものであり、エネルギー価格上昇の影響を除いた前年比は+0.8%に止まるなど、日の物価上昇は欧米が経験しつつある深刻なインフレと比較できるものではない。とは言え、日銀がこの9年余り大胆な金融緩和を続けてきても、物価上昇率のピークが(消費増税の影響を除いてみると)13年4月の+1.5%だったことを考えると、2%目標をあっさり上回ってしまったのは、 ちょっとした事件ではあった。 (図表1)消費者(除く生鮮品)前年比の内訳 出所)ニッセイ基礎研究所「消費者物価(全国22年4月)」 先行きについても、ガソリン価格は政府が補助金を使って抑

    ジワリ上がり始めた日本の物価 | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2022/08/04
    過去30年以上賃金が殆ど上がらない環境の下、「皆も我慢しているのだから、企業も値上げを我慢すべきだ」という「ノルム」が存在したのだろう。 そこに変化が生じ始めたとすると、一つ考えられる理
  • 2%目標達成の後:長過ぎた「実験」の帰結 | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    消費者物価上昇率は2%超が続く 日銀が「異次元緩和」を開始して10年目に入った今年4月、消費者物価(除く生鮮品)の前年比はエネルギーや料品の値上がり等を背景に初めて目標の2%を上回った[1]。過去20年余り、日のインフレ率が2%を超えたのは、同じくエネルギー、糧の国際市況が高騰した08年の6~8月の3ヶ月間だけであり、しかもこの時は直後に世界を襲ったリーマン・ショックの影響から、たちまちデフレに舞い戻ってしまった。これに対し今回は、既に6月まで3ヶ月2%超が続いているだけでなく、円安の影響などから今秋に掛けてインフレ率はさらに高まっていくと予想されている。物価指数の動きからみる限り、金融危機の直後98年から始まった格的な日のデフレが終焉に最も近づいていると言うことができよう。 しかし今、異次元緩和開始の1年後、14年の春頃にみられた「デフレ脱却」期待(この頃のインフレ率ピークは

    2%目標達成の後:長過ぎた「実験」の帰結 | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2022/08/04
    政治家が{MMT}に縋るのを慨嘆するコラム。田中秀臣先生と同意見だ
  • 政府の税収見通しの精度 | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    はじめに 財務省は7月5日、2021年度の国の一般会計の決算概要を公表した。一般会計税収(印紙収入を含む、以下同)は67兆円と2年連続で過去最高額を更新した。 2021年7月に公表された2020年度の一般会計決算では、コロナ禍の景気後退で名目GDP成長率がマイナス3.9%(第1次年次推計段階)と比較的大きなマイナスになったにも関わらず、一般会計税収が過去最高の60.8兆円(前年比4.1%増)になったことが話題を呼んだ。消費税率引き上げに加えて、所得税、法人税の税収が底堅かったことが要因である。星野(2021)および星野(2022)はその背景を分析しているが、コロナ危機下で税収増となったのは「①政府のコロナ対策による経済下支え、②年度末にかけて急上昇した株価等の金融環境改善、③情報通信業や小売業などコロナ禍がプラスにはたらいた企業の存在(K字経済[1])、④フリーランス・ギグワーカー・副業

    政府の税収見通しの精度 | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
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    maturi 2022/07/08
  • 戦間期から現代への架橋――歴史から得るべき教訓とは | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

    ウィンストン・チャーチルと書斎、1939年2月25日。第二次世界大戦が勃発する約半年前の写真(写真提供:Getty Images) R-2021-094 「ナチスを助長した保守派が彼らを権力から引きずり降ろす機会がありながら、それを見逃したのはなぜか」「それはデモクラシーを守ることと自分の権力維持を天秤にかけて、後者を取ったということ。この教訓は絶対に忘れてはなりません」――各報告後の質疑応答で明らかにされた人類が忘れてはならない戦間期欧州の歴史の教訓とは。 ※稿は、2022年3月9日に開催されたウェビナー「歴史から考えるポピュリズム―戦間期ヨーロッパの経験から」で報告した内容の一部である。 【登壇者】 ゲストスピーカー 水島治郎(千葉大学教授) 歴史分析プログラム ポピュリズム国際歴史比較研究会プログラムメンバー 細谷雄一(東京財団政策研究所研究主幹/慶應義塾大学教授) 高橋義彦(北海

    戦間期から現代への架橋――歴史から得るべき教訓とは | 研究プログラム | 東京財団政策研究所
    maturi
    maturi 2022/04/29
    「ナチスを助長した保守派が彼らを権力から引きずり降ろす機会がありながら、見逃したのはなぜか」「デモクラシーを守ることと自分の権力維持を天秤にかけて、後者を取ったということ。この教訓は忘れてはなりません