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ブックマーク / healthpolicyhealthecon.com (22)

  • オバマケアによって低所得者の医療費自己負担額は減ったのか?

    国際的な医学雑誌であるBMJに、2020年2月5日付で、Cedars-Sinai Medical Centerの五反田紘志先生との共同研究の結果が掲載されました。この論文は、オバマケアにより、低所得者向けの公的医療保険であるメディケイド(アメリカの連邦政府と州政府が共に財源を提供している)の取得基準が緩和されたことで、低所得者層の医療費自己負担額がどのように変化したのか、について検証したものです。オバマケアによってメディケイド拡大の詳細については、以前のブログをご参照下さい。 過去の研究で、2014年のオバマケアによってメディケイド拡大によって、低所得者層におけるメディケイド保持者が増え、無保険者が減った、と報告されていました。一般に、無保険の状態で医療サービスを受けると、高額な医療費を全て自分で払わなければならないですが、メディケイドを保持していれば、自己負担なしで(あるいは少額の自己負

    オバマケアによって低所得者の医療費自己負担額は減ったのか?
  • 医療費が高い県ほど、心肺停止患者が生存する確率が高い

    では医療費の地域格差の議論の中で、医療費は安ければ安いほど良いという論調になっている気がしていますが、これは間違いだと思います。 実際に私達の研究グループが2015年に行った研究によると、日において医療費の安い県では心肺停止患者が生存する確率が低いという結果が得られています。日の47都道府県を県民一人当たりの医療費で3つのグループに分けて解析したところ、低医療費の県では他のグループの県と比べて、院外心肺停止の患者の予後が統計学的に有意に悪いという関係が認められました。 日では以前から、県によって医療費が大きくばらついていることが問題となっており、県ごとに医療費の目標値を設定することが検討されております。しかし、医療費の高い県が、他の県と比べて医療の質が良いのか、むしろ低いのかに関してはほとんど分かっていませんでした。また、医療費のばらつきに比べて、県ごとの医療の質のばらつきは研究

    医療費が高い県ほど、心肺停止患者が生存する確率が高い
    maturi
    maturi 2019/06/30
    よし、岩手を4県に分けよう(※岩手県の面積は四国とだいたい同じ)
  • 「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」 – 医療政策学×医療経済学 なぜ「野菜を食べると健康になる」という本は売れないが「野菜は食べるな」という本はベストセラーに

    なぜ「野菜をべると健康になる」というは売れないが「野菜はべるな」というはベストセラーになりうるのか? このたび初の単著を出版させて頂くことになりました。タイトルは「世界一シンプルで科学的に証明された究極の事」(東洋経済新報社)、発売日は4月13日になります。 このは「エビデンスに基づく当に健康になれる事の」です。今までの研究結果をまとめて、がんや脳梗塞になるリスクを下げるために有効な事について説明しています。事とダイエットの関係に関して何が分かっているのかも説明しています。内容としては私がブログに掲載した事に関する記事(科学的根拠に基づく当に体に良い事、白米と健康の関係に関して分かっていること)を元に、日々の事に関して知っておくべきエビデンスをカバーしたものになります。 日は「野菜をべると健康になる」というは全く売れないが、「野菜はべるな」というはベ

    「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」 – 医療政策学×医療経済学 なぜ「野菜を食べると健康になる」という本は売れないが「野菜は食べるな」という本はベストセラーに
    maturi
    maturi 2018/03/29
  • 若い医師の方が担当患者の死亡率が低い

    私たちの最新の論文が5月16日付のBMJ(英国医師会雑誌)に掲載されました。私たちは2011~2014年に内科疾患で入院した65歳以上の患者において、担当医の年齢が患者のアウトカム(死亡率、再入院率、医療費)にどのような影響を与えるのか検証しました。 過去の研究において、年齢が上の医師と若い医師では診療パターンが異なることが示唆されていました。約60つの研究を統合したシステマティック・レビューによると、高齢の医師のほうが若い医師と比べて、医学的知識が少なく、ガイドラインどおりの治療を行わないことが報告されています。しかし、医師の年齢と患者の死亡率などのアウトカムに影響があるかどうかに関しては分かっていませんでした。そこで、私たちは今回、医師の年齢と患者のアウトカムの関係を解析しました。 専門科の違う医師を比較するのを防ぐため、担当医が①ホスピタリスト(入院患者のみを治療する内科医師)と②一

    若い医師の方が担当患者の死亡率が低い
    maturi
    maturi 2017/12/29
    ドクターキリコ(手塚治虫脳
  • 『「原因と結果」の経済学』の無料公開!

    今年の初めに教育経済学者の中室牧子氏と共著で『「原因と結果」の経済学』というをダイヤモンド社から出版させて頂き、多くの反響がありました。 大学の経済学部の学生からは、このを読むことで経済学の入門書が言っていることの内容が理解できるようになったという嬉しいコメントを複数頂きました。また多くの経済学部で学部向けの授業やゼミで使って頂いているとのご連絡も頂いております(ありがとうございます!)。メディア関係者やビジネスマンからの反響も大きくて驚いております。 そもそもは日テレビや新聞で「スマホを見ていると学力が下がる」などの相関関係があたかも因果関係のように解釈、説明されていることに危惧して執筆したです。一人でも多くの人に読んで頂きたい内容だと私たちは考えているため、このたび書の前半部分を無料公開することにいたしました。これがきっかけになり、一人でも多くの日人が「因果関係と相関関係

    『「原因と結果」の経済学』の無料公開!
  • 日経新聞 経済教室「医療費抑制に新たな視点」(2017年5月12日朝刊)

    日経新聞の「経済教室」(2017年5月12日朝刊)に日の医療に関して寄稿させて頂きました。頂いたお題は「医療費抑制に新たな視点」でした。「医療経済学」と聞くと日では費用対効果分析のことをイメージする人が多いようですが、欧米ではこの記事に書いたように、国の医療政策をデザインするためのツールとして用いられます。日の医療および医療費の議論でしばしば見落とされているポイントを中心に書きました。お時間がありましたらぜひご一読いただけると幸いです。

    日経新聞 経済教室「医療費抑制に新たな視点」(2017年5月12日朝刊)
  • 「原因と結果」の経済学

    「学力の経済学」でもおなじみの中室牧子さんと二人三脚で書いてきたである「原因と結果の経済学」がいよいよ発売になりました。徹底的に分かりやすくなるように2年間かけて何度も書き直した渾身の一冊です。 アメリカでは「相関関係と因果関係の正しい見分け方(=因果推論)」を大学の学部で習うので、会議や日常会話でも自然に出てくるのですが、日ではテレビや新聞でもきちんと「見分けられていない」ことがしばしばあり、その結果として間違った情報が広まっているという問題意識から書いたです。 2年前のある日、中室さんから連絡があり、日テレビや新聞ではこんなひどいことがあたかも因果関係のように説明されているのでどうにかしたいと言われました。ちょうど私も同じようなことを考えていたので、意気投合して因果推論のを書くことになりました。 私はハーバード大学の経済学部、統計学部、公衆衛生大学院(疫学&生物統計学)の3

    「原因と結果」の経済学
  • 統計学における因果推論(ルービンの因果モデル)

    (ドナルド・ルービン教授と筆者。筆者撮影) 因果関係を理解したり、証明したりするには考え方の体系的な枠組み(フレームワーク)が必要です。ある2つの事象が因果関係にあると主張するのは勝手かもしれませんが、それが事実なのか、それとも”言い張っているだけ”なのかを判断するためには、それを評価するためのルールが必要になります。どんな条件を満たせば因果関係にあると証明することができて、何が足りないと因果関係を述べることができないのか、を理解しましょう。学問の分野によって考え方はまちまちです。ここでは、専門分野に関わらず普遍的な因果推論(因果関係にあるということを証明する方法)の考え方を理解するために、(1)統計学(ルービン)、(2)心理学(キャンベル)、(3)疫学(パール)の3つの分野における因果推論を順番に説明し、必要に応じて対比させていきたいと思います。今回はその中でも(1)統計学における因果推

    統計学における因果推論(ルービンの因果モデル)
    maturi
    maturi 2017/01/31
    ルービンの因果モデルの最も重要なコンセプトはPotential outcome(潜在的アウトカム)経済学や疫学におけるCounterfactual|観察されなかった方のアウトカム|ルービン「因果推論とは根本的に“欠損データ”の問題である」と
  • 女性医師の方が、男性医師よりも患者の死亡率・再入院率が低い

    (写真:Day Donaldson/クリエイティブ・コモンズ表示 2.0 一般) 私たちが行った最新の研究によると、女性医師の方が男性医師よりも患者の死亡率や再入院率が低いことが明らかになりました。この研究は2016年12月19日のJAMA Internal Medicine誌(オンライン版)に掲載されました。この研究はワシントンポスト紙、ウォールストリートジャーナル、CNN、Fox News、ハーバードビジネスレビューにも取り上げられました。 今回は私の研究を紹介させて頂きます。私たちのチームは、2011~2014年にアメリカの急性期病院に入院した65歳以上の高齢者、およそ130万入院分のデータを解析しました。患者のデータはメディケア(高齢者向けの公的保険)のレセプトデータを、医師の情報に関してはDoximityと呼ばれる医師向けのソーシャルネットワーキングサービスを提供している会社が複

    女性医師の方が、男性医師よりも患者の死亡率・再入院率が低い
    maturi
    maturi 2016/12/20
    過去の研究において、女性医師の方がガイドライン遵守率が高く、患者とより良好なコミュニケーションを取り、より専門家にコンサルテーションすることなどが報告されています。このように男性医師と女性医師の間での
  • トランプ大統領誕生で、オバマケアはどう変わるのか?

    (写真:Gage Skidmore/クリエイティブ・コモンズ表示 2.0 一般) 2016年11月8日にアメリカ大統領選挙が行われ、ヒラリー・クリントンを破りドナルド・トランプが勝利しました。トランプは大統領になった「第一日目」にオバマケアを撤廃すると明言していましたが、トランプが大統領になることでアメリカの医療はどのような影響をうけるのでしょうか?ハーバード公衆衛生大学院のアシシュ・ジャ教授は、「おそらく宣言通りトランプはオバマケアを撤廃するだろう。」と言っています。一方で、著名な医療政策学者であるドナルド・バーウィック氏は、「オバマケアを撤廃したら2,000万人もの無保険者が生まれる。そんなことは政治的に可能とは思えない。」とコメントしています。ハーバード大学の教授陣の間でもこのように意見が割れていることからも分かるように、不確定要素が多いというのが現状です。では、トランプが大統領にな

    トランプ大統領誕生で、オバマケアはどう変わるのか?
    maturi
    maturi 2016/11/11
  • 「富の格差」が健康に悪いのか?それとも「貧困」が悪いのか?

    ※Chetty, 2016のデータから筆者が計算。データに含まれる郡(County)のデータの単純平均を取っているため実際の値とは異なる可能性がある。 図2.4つの都市の比較 (出典:Chetty, 2016を一部改変) 3.格差は富裕層の健康にのみ悪影響がある Chettyらはさらに地域ごとの特徴と、その地域の寿命の相関も評価しました。その結果、貧困層の寿命が短い一番の原因は、喫煙、肥満、運動不足といった「健康行動」であることが分かりました。その一方で、地域の医療へのアクセス、空気汚染、社会のつながり(Social cohesion)、労働市場の状況などは、地域住民の寿命との(統計学的に有意な)相関は認められませんでした。 ここで興味深いのが地域の収入の格差(Gini係数)と寿命の関係です。図3は収入下位25%の貧困層のデータです。横軸は相関係数(ピアソンの相関係数)を表しているので、右

    「富の格差」が健康に悪いのか?それとも「貧困」が悪いのか?
    maturi
    maturi 2016/10/16
    「お金持ちを減らす形で格差を減らす」というのでは誰も幸せにはならない。目くじらを立てて富裕層と貧困層の対立構造を作るよりも、貧困層をいかに社会全体でサポートして引き上げていくのかを皆で一緒に考えていく
  • 社会の格差は、住民の健康に悪影響を与える

    世界には社会的格差の大きい国もあれば小さい国もあります。2014年には世界のトップ1%の超富裕層が富の48%を、残りの99%が52%を所有していたと言われています(Oxfam, 2015)。このような大きすぎる格差が、2011年から数年間にわたって発生した「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」運動にもつながっていると考えられますし、2013年に出版されたトマ・ピケティの「21世紀の資」のベストセラーにも影響を与えていると思います。最近のアメリカ大統領選でもヒラリー・クリントン候補はしきりにトップ1%が過剰な富を独占しているのは不公平であると主張しています。どれくらいの格差なら許容されて、どれくらいなら問題なのかというのは最終的には価値観の問題であり、正解はありません。しかし、格差がどれくらい健康に悪影響を与えるかという点に関しては数多くの研究が行われています。ち

    社会の格差は、住民の健康に悪影響を与える
    maturi
    maturi 2016/10/06
  • 「医療経済学」の4つの起源

    ハーバード大学の医療経済学者デビッド・カトラーによると、医療経済学には大きく分けて4つの起源(Four strands of health economics)があります。医療経済学の全体像をつかむために、まずこれを説明させて頂きたいと思います。下記のリストの中の括弧内の名前はその領域の基盤となるような偉大な貢献をした人達の名前になります。 医療経済学の4つの起源 医療保険の理論(Kenneth Arrow, Rothschild/Stiglitz)・・・医療保険がどのように働き、人々の行動に影響を与えるかの理論です。 実証的分析 – 医療サービスの需要(Martin Feldstein, Joseph Newhouse)・・・実際のデータを用いたり、社会実験を通じて、現実の世界で医療サービスに対する需要がどのようなことによって規定されるかを検証しました。 健康の規定因子(Robert F

    「医療経済学」の4つの起源
    maturi
    maturi 2016/10/01
    健康資本・健康は消費されるものである一方投資すべき資本だという概念、健康は「健康的でいられる時間」を延ばすことで生涯収入を増やしたり幸せに暮らすことにつながるストックであると定義されました。
  • モラルハザード(Moral hazard)とゼックハウザーのジレンマ

    モラルハザード(経済学用語)と「モラルの問題」がしばしば混乱して用いられているように感じます。モラルハザードとは保険などで守られており当の価格に直面していていないため(自分の財布から全額支払わなくて良いので)、人々の行動が変わり、来必要としているサービスよりも多くの量のサービスを希望してしまう現象のことを指します。モラルと言うと「悪いこと」というニュアンスがあるような印象がありますが、モラルハザードは別に良いことでも悪いことでもなく、価格とサービスの価値とがかい離しているために生じる現象に過ぎません。酔っぱらって救急車を呼んで病院に行きスタッフに暴言を吐くのは、「モラルの問題」であり、モラルハザードではありません。 以前のブログでもお書きしたように、医療保険に市場原理を適用してもうまくいかない理由は2つあり、それは①モラルハザード(Moral hazard)と②逆選択(Adverse

    モラルハザード(Moral hazard)とゼックハウザーのジレンマ
    maturi
    maturi 2016/10/01
    ゼックハウザーのジレンマ:医療保険はモラル・ハザードと(経済学的な)リスク回避(Risk protection)の2つの相反する目的を達成する必要がある言うジレンマ|医療経済学的には、健康な時と病気の時の限界効用(Marginal
  • 逆選択(Adverse selection)とリスク選択(Risk selection) | 医療政策学×医療経済学

    前にこのブログでも書きましたが医療保険で市場原理が通用しないのは、モラル・ハザードと逆選択の2つが主な原因です。前回、モラル・ハザードに関してご説明しましたので、今回は逆選択に関してご説明します。逆選択とリスク選択は一枚のコインの裏表であると考えることができるので、まずはこの2つを一緒にお話して、そのあとに逆選択にフォーカスしてもう少し詳しくご説明しようと思います。 (1)逆選択とリスク選択は一枚のコイン(選択 Selection)の裏表 逆選択(Adverse selction)とは、ある保険料において、不健康な人(高リスク群)の方が健康な人(低リスク群)よりもよりカバーの手厚い医療保険を購入すると言う現象のことを指します*。これは医療保険の購入者は自分の健康に関する将来のリスクをある程度理解していますが(不摂生な生活をしている、運動をしていない等の情報)、それと比べると保険会社(=保険

    逆選択(Adverse selection)とリスク選択(Risk selection) | 医療政策学×医療経済学
    maturi
    maturi 2016/10/01
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  • なぜ医療に市場原理は通用しないのか?

    このテーマは日における医療の議論でも繰り返し出てきているので説明しておきたいと思います。医療経済学では、医療には市場原理は通用しないことが分かっています。市場原理を導入してもそれほど効率が良くなるわけではなく、社会全体のUtility = Social welfare (国民全体の幸福度みたいな感じでとらえて頂ければ良いと思います)は向上しないことが分かっています。ある意味、医療経済学は医療における市場の失敗(Market failure)を学ぶ学問だと言っても良いかもしれません。日でも過去にも何回も医療に市場原理を導入しようと言う試みがあったと思いますが、医療経済学的にはあまり良い政策ではないと思われます。アメリカのオバマケアでは、民間保険会社と民間医療機関が強大な力を持っていたため社会保険制度や政府による公的医療保険制度を導入することは政治的に不可能であったため、その代わりに「規制

    なぜ医療に市場原理は通用しないのか?
    maturi
    maturi 2016/10/01
    「規制された市場(Regulated market)」USA and 「管理された競争原理(Managed competition)」 UK  |同じようなシステム(Managed competition)  |外部不経済
  • 回帰分析②:線形回帰が使えないときに用いる高度な回帰分析方法

    生物統計を学んでいる人の中には、「結果変数が連続変数の時には線形回帰、二項変数(0と1など2つの値しか取らないもの)のときにはロジスティック回帰分析を使うべき」のように1対1対応のお作法のような形で教わった人も多いと思います。一方で、計量経済学で回帰分析を習った人の中には、「最小二乗法(Ordinary Least Square; OLS, 線形回帰)はありとあらゆる場合に使えるベストな方法であるので、結果となる変数の分布に拘わらずOLSを使える」(ちなみに結果変数が二項変数のときにOLSを用いることをLinear probability modelと呼びます)と教わった人もいるでしょう。初心者向けの統計学や計量経済学を読むとこのような説明がされているものが多い印象があります。このような教え方をすれば確かに手っ取り早く手が動かせるようになる(統計解析ソフトウェアを使って解析がはじめられ

    回帰分析②:線形回帰が使えないときに用いる高度な回帰分析方法
  • 人の命は地球よりも重いのか?健康の格差はどうして問題なのか?

    (写真:Rubén Moreno Montolíu/クリエイティブ・コモンズ表示 2.0 一般) 平等(横並びに同じこと)と公平(公正でありフェアであること)の違い、ロールズがどのようにして公平な社会のルールを設定するべきだと考えていたかなどを以前のブログ(前半、後半)で書きました。確かにロールズの思考実験(原初状態と無知のベール)は様々なステークホルダーが意思決定に関わっているときに公平な制度設計をするのに有用だと思います。しかし、ロールズは健康に特別な価値を感じていたわけではないと言われています。医療機関に従事している人や健康に不安のある人は、当然のように人の命は地球よりも重いと考えていると思われます。日人は特に健康に対する意識の高い国民ですので、健康を特別視することに違和感はないと思います。日語には「命あっての物種(ものだね)」ということわざすらあります。しかし、世の中には健康よ

    人の命は地球よりも重いのか?健康の格差はどうして問題なのか?
  • アメリカの医療制度は自由市場主義的なシステムから反自由市場主義的なシステムに向かっている | 医療政策学×医療経済学

    (写真:Anna/クリエイティブ・コモンズ表示 2.0 一般) 日語で書かれているアメリカの医療に関する記事を拝見していると、アメリカの医療制度はしばしば誤解されていると感じます。おそらくその中でも最も大きな誤解は、アメリカの医療制度はどんどんと自由市場主義に向かっているというものです。アメリカの医療制度は確かに歴史的に自由市場主義的でしたが、2010年のオバマケア以降、実はどんどんと反自由市場主義的(どちらかというと社会主義的)な方向に向かっています。この動きはおそらく止まることなく、近い将来、アメリカの医療制度は「規制された市場(Regulated market)」に落ち着くことになると考えられています。 アメリカの医療制度が歴史的に自由市場主義なのは、医療サービスを自由市場で取引させると他のサービスと同様に、安い価格で質の高いサービスが受けられるようになると(昔は)信じられていたか

    アメリカの医療制度は自由市場主義的なシステムから反自由市場主義的なシステムに向かっている | 医療政策学×医療経済学
    maturi
    maturi 2015/09/22
    エビデンス
  • 「生活保護の支給額が高すぎる」という議論に違和感

    (写真:Pakutaso) 日でしばしば話題になっている「生活保護の支給額が高すぎる」という議論に違和感を感じています。この問題に関しては、しばしば生活保護の支給額と最低賃金や年金を比較したり、不正受給の話が持ち出されるのですが、いずれも議論の方向性がおかしいと思っています。 (1)生活保護 vs. 最低賃金 生活保護の目的は富の再分配ですので、富める者が貧しいものをサポートする仕組みです。最低賃金よりも高いか安いかは重要ではなく、貧しい人に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障できるかという基準で支給額を決めるべきです。たとえば、生活保護の支給額は横浜市で標準3人世帯でおよそ15万円みたいですが、これは確かに最低限必要なレベルだと思います。これより安かったら人間らしい暮らしはできないのではないでしょうか?もし最低賃金の方が生活保護よりも安いというのであれば、生活保護の支給額を下げるので

    「生活保護の支給額が高すぎる」という議論に違和感
    maturi
    maturi 2015/08/31