2022.2.16. Wed プーチンを支えるユーラシア主義思想 ―― イワン・イリインとA・ドゥーギン 2000年代初頭以降、ロシアではアレクサンドル・ドゥーギンのユーラシア主義思想が注目されるようになり、2011年にプーチン大統領が「ユーラシア連合構想」を表明したことで、ドゥーギンの思想と発言はますます多くの関心を集めるようになった。ドゥーギンはリベラルな秩序や商業文化の破壊を唱え、むしろ、国家統制型経済や宗教を基盤とする世界観を前提とする伝統的な価値を標榜している。ユーラシア国家(ロシア)は、すべての旧ソビエト諸国、社会主義圏を統合するだけでなく、EU加盟国のすべてを保護国にする必要があると彼は考えている。・・・・ (バーバシン) イワン・イリインは歴史上の偉大な人物ではない。彼は古典的な意味での研究者や哲学者ではなく、扇動主義と陰謀理論を振りかざし、ファシズム志向をもつ国家主義者に
プーチンを支えるイワン・イリインの思想 ―― 反西洋の立場とロシア的価値の再生 アントン・バーバシン インターセクションプロジェクト マネージング・ディレクター ハンナ・ソバーン ハドソン研究所 非常勤フェロー リサーチアソシエーツ Putin's Philosopher ―― Ivan Ilyin and the Ideology of Moscow's Rule Anton Barbashin在モスクワ国際関係研究者で、インターセクションプロジェクトのマネージング・ディレクター。 Hannah Thoburn ハドソン研究所 非常勤フェローで、米フォーリン・ポリシー・イニシアティブのユーラシア分析担当者。 イワン・イリインは歴史上の偉大な人物ではない。彼は古典的な意味での研究者や哲学者ではなく、扇動主義と陰謀理論を振りかざし、ファシズム志向をもつ国家主義者にすぎなかった。「ロシアのよう
トランプ・サンダース効果と次期大統領 ―― アメリカの貿易政策と外交はどう 変化するか リチャード・フォンテーヌ/センターフォーアメリカンセキュリティ会長、ロバート・D・カプラン/センターフォーアメリカンセキュリティ シニアフェロー How Populism Will Change Foreign Policy Richard Fontaine センターフォーアメリカンセキュリティ会長。国務省、国家安全保障会議などを経て現職。 Robert D. Kaplan アメリカの作家、ジャーナリストで、センターフォーアメリカンセキュリティシニアフェロー。専門はアメリカの政治と外交。冷戦後の1994年に冷戦後の特質を「カミング・アナキー(来るべき無秩序)」と 位置づけるエッセーを発表し、世界的に大きな注目を集めた。 ドナルド・トランプとバーニー・サンダースはアメリカ社会のムードとアメリカ人が何を望ん
長期停滞を恐れるな ―― 重要なのはGDPではなく、生活レベルだ Learning to Love Stagnation ―― Growth Isn't Everything―Just Ask Japan 先進国は依然としてデフレから抜け出せずにいる。中国は(投資主導型経済から)消費主導型経済への先の見えない不安定な移行プロセスのさなかにある。しかも、所得格差の危険を警告する声がますます大きくなり、経済の先行きが各国で悲観されている。だが、この見立ては基本的に間違っている。GDP(国内総生産)はデジタルの時代の経済を判断する適切な指標ではないからだ。GDPに議論を依存するあまり、世界的に生活コストが低下していることが無視されている。生活に不可欠な財やサービスの価格が低下すれば、賃金レベルが停滞しても、生活レベルを維持するか、向上させることができる。デフレと低需要は成長を抑え込むかもし
<超高齢社会と社会保障の重圧> 日本ほど急速に高齢化が進んでいる国もない。1985年から現在までに、65歳以上の高齢者が人口に占める割合は10%から25%に増え、2060年までにはその比率は40%に達すると考えられている。しかも、それまでに、日本の人口は現在の1億2800万から1億を下回るレベルへと低下すると予測されている。(訳注 65歳以上の人口が総人口に占める割合によって、7%―14%が高齢化社会 14%―21%が高齢社会、21%以上が超高齢社会と区別されている) 高齢化という人口動態上の変化は比較的最近の出来事だが、すでに日本の財政に大きな重荷を作り出している。2014年には日本が抱える公的債務がGDPの240%に達すること、この対GDP比債務比率がギリシャのそれよりもはるかに高いことは広く知られている。だが、日本が抱える債務の一部が、年金財源の収支ギャップに派生していることはあ
単一通貨を共有しつつも、財政政策を共有していなければ、危機に直面した国は緊縮財政を実施せざるを得なくなる。だがその結果、GDP(国内総生産)はさらに大幅に縮小し、それに応じて債務は増えていく。これがまさに、最近のヨーロッパで起きていることだ。問題はドイツが主導するヨーロッパ当局がデフレの政治学を債務国に強要し、債権国の資産価値を守るために、債務国の有権者が貧困の永続化を支持するのを期待していることだ。どう見ても無理がある。このような環境では、本来は安定している国でも急進左派と急進右派が、われわれが考えているよりも早い段階で急速に台頭してくる。ギリシャの「チプラス現象」がヨーロッパの他の国で再現されるのは、おそらく避けられない。ルビコン川を最初に渡ったのはギリシャだったかもしれない。しかしその経済規模ゆえにゲームチェンジャーになるのは、おそらくスペインだろう。・・・
懐にある以上のカネは使うなという緊縮財政の思想は直感的な説得力をもっている。だが、ユーロ危機後のヨーロッパのケースからも明らかなように、緊縮財政は機能しない。この1世紀を振り返っても、政府支出を減らして成長を呼び込めた歴史的な事例は存在しない。大恐慌期に各国で実施された緊縮財政は状況をさらに悪化させ、最終的に日独を戦争へと駆り立ててしまった。緊縮財政は失業と低成長をもたらし、社会格差を増大させるだけで、それが消費を刺激し、成長を促すことはあり得ない。唯一機能するのは、経済ブームに沸き返る大国を輸出市場にもつ小国が緊縮財政を実施した場合だけだろう。むしろ、政府は民間部門が債務をなくせる環境をつくり、公的支出を維持する必要がある。そうすれば、民間部門が成長するにつれて、税収も増大し、債務や赤字を削減していけるようになる。シュンペーターの言う「創造的破壊」を可能にするのは、「ケインズ主義の浪費」
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