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ブックマーク / book.asahi.com (62)

  • 「暴君」書評 無法で無能な統治者は自滅する|好書好日

    暴君 シェイクスピアの政治学 (岩波新書 新赤版) 著者:河合祥一郎 出版社:岩波書店 ジャンル:新書・選書・ブックレット 暴君 シェイクスピアの政治学 [著]スティーブン・グリーンブラット 「混乱の時代に頭角を現し、最も卑しい能に訴え、同時代人の深い不安を利用する人物」、それが暴君だ。「統治者としてふさわしくない指導者、危険なまでに衝動的で、邪悪なまでに狡猾(こうかつ)で、真実を踏みにじるような人物」であるにもかかわらず、国全体がそのような暴君の手に落ちてしまう。暴君はあからさまな嘘(うそ)をつくが、いくら反論されても押し通し、最後は人々もそれを受け入れてしまう。ナルシシストである暴君は法を憎み、法を破ることに喜びを感じる。 これは現代の話ではない。『マクベス』や『リア王』、『ジュリアス・シーザー』などの作品に登場する暴君たちの描写を分析する、シェイクスピア研究の世界的権威の著作の一節

    「暴君」書評 無法で無能な統治者は自滅する|好書好日
    mayumiura
    mayumiura 2020/11/15
    まさに。私も昨日は《マクベス》幕切れの勝利の合唱三昧でした!“「混乱の時代に頭角を現し、最も卑しい本能に訴え、同時代人の深い不安を利用する人物」、それが暴君だ。//今こそシェイクスピアを読み直すべきかも
  • 谷原書店|好書好日

    俳優・谷原章介さんが、「谷原書店」というあたらしい屋さんをはじめました。店長として月替わりでイチオシのを紹介していきます。お客様から季節にあったのレビューを募集する「みんなの逸冊レビュー」企画も開催。谷原書店へのご来店をお待ちしています!(月1更新)

    谷原書店|好書好日
    mayumiura
    mayumiura 2020/08/17
    エプロン姿の谷原店長のカレンダーか写真集が出るのを真剣に待っているのですが!!【定期】
  • 追悼・ウォーラーステイン 世界システム論を提唱、資本主義批判を貫いた(山下範久・立命館大学教授)|好書好日

    イマニュエル・ウォーラーステインが逝去した。世界システム論を提唱し、人文学・社会科学に広範な影響を与えた彼の仕事を三つの著作で振り返る。 まず主著中の主著は『近代世界システム』、特にその第1巻である。アフリカを専門とする政治社会学者としてすでに米国のアフリカ学会を代表する研究者であった彼が、44歳で「世界システム論」という新しい学を切り開いた記念碑的著作である。同書は当時の社会科学が閉じ込められていた三つの前提を覆すものであった。 地球規模の理論 一つは一国的アプローチ。彼は「社会」といえば暗黙に国民国家が前提となる発想を批判し、社会科学は「史的システム」を単位として再構築されなければならないと主張した。 二つめは冷戦的思考。当時は国内問題でも国際関係でも、あらゆることが資主義と共産主義の対立として捉えられがちであった。ウォーラーステインはそれを偽の二分法だと批判し、私たちが生きている資

    追悼・ウォーラーステイン 世界システム論を提唱、資本主義批判を貫いた(山下範久・立命館大学教授)|好書好日
    mayumiura
    mayumiura 2020/07/26
    2019年10月。
  • 芸術と日常 小説家・磯﨑憲一郎|好書好日

    横尾忠則 黒い空洞 2014年 作家蔵 人生の実感、率直な言葉に NHKの連続テレビ小説「半分、青い。」を観(み)ていて、どうしても覚えてしまう違和感、という表現では足りない、ほとんど憤りにも近い感情の、一番の理由は、芸術が日常生活を脅かすものとして描かれていることだろう。漫画家を目指すヒロインは、故郷を捨てて上京する、そのヒロインが結婚した夫は、映画監督になる夢を諦め切れずに子を捨てる、夫が師事する先輩は、自らの成功のために脚を横取りしてしまう……漫画映画、そして恐らく小説の世界も同様に、生き馬の目を抜くような、エゴ剝(む)き出しの競争なのだろうと想像している人も少なくないとは思うが、しかし現実は逆なのだ。故郷や家族、友人、身の回りの日常を大切にできる人間でなければ、芸術家には成れない、よしんばデビューはできたとしても、その仕事を長く続けることはできない。次々に新たな展開を繰り出し

    芸術と日常 小説家・磯﨑憲一郎|好書好日
    mayumiura
    mayumiura 2019/12/09
    “芸術は自己実現ではない、芸術によって実現し、輝くのはあなたではなく、世界、外界の側なのだ。”
  • ジョナサン・フランゼ「フリーダム」書評 壊れゆく家族で〈不自由さ〉描く|好書好日

    フリーダム [著]ジョナサン・フランゼン 小説は何のために読まれるのか? 娯楽? 暇つぶし? 自分が主役の自由な世界をせっせと拡張すべく、スマホの画面の上を滑らせるのに忙しい指先には潰すだけの暇すらないのだから、現代のアメリカの地方都市に暮らす一家を描く800ページ近いこんな分厚いは読んでられない? ウォルター・バーグランドはミネソタの田舎町出身。家が貧しかったため苦学を重ね、大学時代に出会い結婚したを愛する良き夫だ。アウトローのミュージシャンの親友を持つ一方で、生真面目で堅物な彼は、世の中をよりリベラルで公正な社会に変えたいというやや青臭い理想に忠実に自然保護協会で働いている。パティは対照的に、ニューヨーク州のリベラルなインテリの富裕家庭出身。バスケット部で活躍し、虚言癖の友人につきまとわれて困ったことはあるが、経済的な苦労は知らない。結婚後は家庭に入り、男女二人の子供を育てる専業

    ジョナサン・フランゼ「フリーダム」書評 壊れゆく家族で〈不自由さ〉描く|好書好日
    mayumiura
    mayumiura 2019/07/14
  • 熱量こそ礎 小説家・磯崎憲一郎|好書好日

    横尾忠則 De Chirico misses Böcklin and Nietzsche 2014年 国立国際美術館蔵 二十世紀の小説を読みなさい けっきょく人間は過去でできている、欄を担当したこの二年間、ときおり、しかし繰り返し付き纏(まと)われたのは、自分でも意外なことに、まだ物書きになるとは思っていなかった、なろうとさえ考えていなかった二十代の終わりから三十代の初め、たまたま新聞を開いて目に留まったコラムとして読んだ、大江健三郎氏による「文芸時評」(一九九二年四月~九四年三月紙に掲載)や、宮台真司氏による「ウオッチ論潮」(一九九六年四月~九七年三月同)の記憶だった。純文学とエンターテインメントの境界が曖昧(あいまい)になったという通説に対する反論、その一方での日の純文学の向かう将来への危惧、世界を拒絶しつつ汚濁にまみれて生きるブルセラ少女という新しい実存の提示……必ずしも深く共

    熱量こそ礎 小説家・磯崎憲一郎|好書好日
    mayumiura
    mayumiura 2019/07/14
  • 働く人だけが「社会人」なのか 山崎ナオコーラさんが小説「趣味で腹いっぱい」で問いかけるもの|好書好日

    文:篠藤ゆり 写真:岡田晃奈 山崎ナオコーラ(やまざき・なおこーら) 1978年、福岡県生まれ。國學院大學文学部日文学科卒業。2004年、会社員をしながら書いた「人のセックスを笑うな」で第41回文藝賞を受賞し、作家活動を開始。主な著書に小説『浮世でランチ』『カツラ美容室別室』『美しい距離』(島清恋愛文学賞受賞)『偽姉妹』、エッセイ集『指先からソーダ』『かわいい夫』『母ではなくて、親になる』などがある。 ――『趣味で腹いっぱい』というタイトルは、小説を構想している時にパッと浮かんできたのですか? 最初から“趣味”の話にしようと決めていたので、趣味という言葉がつくタイトルをいろいろ考えて、このタイトルにしました。今、日は超高齢化社会で、働くことが生活のメインである人が減っていきますよね。だからたぶんこの先、“趣味”の価値が高騰していくと思うんです。それに高齢の方ではなくても、病気や障害で働

    働く人だけが「社会人」なのか 山崎ナオコーラさんが小説「趣味で腹いっぱい」で問いかけるもの|好書好日
    mayumiura
    mayumiura 2019/04/24
    「趣味で腹いっぱい」まるで私のことのようだ(笑)これは読む。
  • 朝日新聞「平成の30冊」2位「わたしを離さないで」 カズオ・イシグロさんコメント|好書好日

    カズオ・イシグロさん=2017年12月、ストックホルム 今回、朝日新聞社の選定によるベストリストに、私の『わたしを離さないで』が含まれ、すばらしい諸作家の作品に伍する高い地位を与えられたことを、とてもうれしく思っています。この小説は、私が作家人生の早い時期に二度書こうと試みて二度とも挫折した、いわくつきの作品です。どちらのときも、どう書き進めてよいか考えあぐねて放り出しました。しかし、世紀が替わったころ、私の周辺で文学的な気候変動が起こったように思います。具体的には、SFや幻想小説からの影響に対して文学がもっとオープンになったということです。この変化には、村上春樹氏ら日の偉大な諸作家や、アニメに漫画といった日文化の力が少なからず関与していたでしょう。そしてそのおかげで、私はずっと書きたくて書けずにいたこの物語を最後まで書きとおす方法を見いだせました。これは暗く悲しい物語ですが、人間の

    朝日新聞「平成の30冊」2位「わたしを離さないで」 カズオ・イシグロさんコメント|好書好日
    mayumiura
    mayumiura 2019/03/08
    英語原文と、土屋政雄氏による翻訳併記で。
  • 朝日新聞「平成の30冊」 村上春樹さんインタビュー 平成を映し、時代と歩む|好書好日

    ――平成という時代を象徴する作品として『1Q84』と『ねじまき鳥クロニクル』が、多くの識者の支持を得ました。 平成が始まってまもなく、1991年1月にプリンストン大学の客員研究員として招聘され、渡米しました。ちょうど湾岸戦争が始まって米国は重い雰囲気の中で、『ねじまき鳥クロニクル』を書き始めました。仕切り直しという気持ちが強かったですね。 昭和の末に『ノルウェイの森』(87年)が思いもよらずベストセラーになって、ストレスフルだった。日を離れ日人にも会わず、こもりっきりで、集中して書けた。『ねじまき鳥』は僕にとっても象徴的で意欲的な小説。一番大事なのは『壁抜け』です。主人公が井戸の底でひとりずっと考えていて、別の世界に通じる。深層意識の中に入って行き、出入り口を見つける。『ねじまき鳥』で初めて出てきた『壁抜け』は、小説的な想像力を解き放ち、物語の起爆装置になりました。 ――暴力や根源的な

    朝日新聞「平成の30冊」 村上春樹さんインタビュー 平成を映し、時代と歩む|好書好日
    mayumiura
    mayumiura 2019/03/08
  • ドナルド・キーンさんしのぶ声 小澤征爾さん・野村万作さんら|好書好日

    はっきりもの言う、偉大な日の理解者 24日に96歳で亡くなった日文学研究者のドナルド・キーンさん。幅広い世界から悼む声が寄せられた。 音楽好きのキーンさん。指揮者の小澤征爾さんの楽屋をしばしば訪れ、音楽談議を楽しんだ。小澤さんは「キーンさんのことをおもうと涙が出ちゃう。偉大な日の理解者だ。亡くなったときいて当に涙がでちゃった……」とのコメントを出した。能楽師狂言方、野村万作さんは「ご自身が狂言『千鳥』を演じた時、驚くほど大きく立派な声だったのを覚えています。音楽にも詳しく、狂言芸と囃子(はやし)の関係を見事にとらえ、鋭く評価でき、しかもはっきりものを言う方でした」と惜しんだ。 染織家の志村ふくみさんは家族を通じてコメントを寄せた。石牟礼(いしむれ)道子さんが原作で、志村さんが衣装監修を手がけた新作能「沖宮」が昨年秋に上演されたとき、キーンさんも賛同者の一人だった。「国を超えて深い親

    ドナルド・キーンさんしのぶ声 小澤征爾さん・野村万作さんら|好書好日
    mayumiura
    mayumiura 2019/03/05
    “染織家の志村ふくみさんは家族を通じてコメントを寄せた。”
  • 36歳未婚彼女なしの僕が考える「本当にいい男の条件」 松浦弥太郎「僕の好きな男のタイプ」書評|好書好日

    文:ウイ 先日、久しぶりに会った女友達がおどろくほど美人になっていました。 少し痩せて、肌もきれいで、何よりも色気が増していました。 「えらい美人になったね!!」と聞いたところ「最近よく言われるけど、変わったことは…彼氏ができたことくらいかな!てへっ!」という答えが。 (なにが「てへっ」だ。彼氏いない歴4年だったくせに)と石を投げつけながらも(やっぱり不思議だな)と感じます。まちがいなく女性は恋愛で美しくなります。女性ホルモンの影響なのか、こればっかりはうまく説明ができませんが、たとえその恋愛が終わったとしても、女性は恋愛で美しくなるようにできているようです。そして恋によって美しくなった女性は、たとえその恋が終わっても他の男性からアプローチを受けやすく、また新たな恋愛をし、また美しくなり、その恋が終わったとしてもさらに美しくなり(以下、無限ループ) ただし、気をつけなければいけないのは、そ

    36歳未婚彼女なしの僕が考える「本当にいい男の条件」 松浦弥太郎「僕の好きな男のタイプ」書評|好書好日
    mayumiura
    mayumiura 2019/03/03
  • 30代の独身男性が考える「本当にいい女の条件」 下村一喜「美女の正体」書評|好書好日

    文:ウイ 不定期ですが、月に1回くらいのペースで僕の家でいわゆる「飲み会」があります。「独身であること(バツ可)」「恋人がいないこと」「酒が飲めること」さえクリアしていれば性別年齢国籍宗教は問わないという目も当てられない参加資格なのですが、だいたいいつも8人くらいの男女から4~5人が集まります。たまに恋人ができて不参加になるメンバーもいるのですが、別れると「ただいま」と帰ってくる。もう4年くらい続いている会なのですが、その参加条件から分かる通り、決していわゆるホームパーティーのような上品なものではなく、山賊が村を襲った後に「ガハハッ」とだらしなく笑いながら密造酒を瓶から直接飲み、仕留めた猪や鹿を焚き火で焼いてうような雰囲気です。たまに言い争いの喧嘩にもなります。 先日集まった5人が、たまたま30代の男だけでした。おでんの練り物を生魚の状態から作ったり、アンコウを捌いたり料理を楽しみ、独身

    30代の独身男性が考える「本当にいい女の条件」 下村一喜「美女の正体」書評|好書好日
    mayumiura
    mayumiura 2019/03/03
    “「長年一緒にいると、やっぱ中身なんだよね。美人でも、そうじゃなくても慣れる。//でもそれはしょうがないの。そうすると、やっぱり安心感が一番必要なんだよね」”
  • 子どもたちのための101年の生涯 「没後10年 石井桃子展─本を読むよろこび─」|好書好日

    文:志賀佳織 昭和初期から101歳で亡くなる2008年まで、編集者として、翻訳家として、そして作家として活躍し、日の児童文学の世界に多大な功績を残した石井桃子。没後10年にあたる今年、改めてその仕事の軌跡や人物像に迫る回顧展が7月21日から、神奈川県横浜市の神奈川近代文学館で開催される。翻訳の代表作『クマのプーさん』や創作『ノンちゃん雲に乗る』など、幼い頃、誰もが一度は親しんだ、懐かしい作品の世界を改めて感じられるとともに、元祖「モガ」であった石井の横顔にも触れられるという展。きっと現代に生きる私たちにも共感できるところがたくさんあって、興味深いに違いない。 『クマのプーさん』『ピーターラビットのおはなし』『ちいさいおうち』『ちいさなうさこちゃん』・・・・・・。私たちが、今、当たり前のように手にしているこうした外国の優れた児童文学を発掘して翻訳し、紹介してきたのが石井桃子だ。それだけで

    子どもたちのための101年の生涯 「没後10年 石井桃子展─本を読むよろこび─」|好書好日
    mayumiura
    mayumiura 2018/07/23
    “没後10年 石井桃子展─本を読むよろこび─ 会期:2018(平成30)年7月21日~9月24日 会場:神奈川近代文学館(神奈川県横浜市中区山手町110)”
  • 藤巻亮太の旅是好日 音楽に行き詰まった僕を救ってくれたカラ・パタールの旅|好書好日

    今年で38歳になるが、この連載を始めるにあたり、一番最初に紹介したいと思ったは、30代の僕に大きな影響を与えてくれた方の著書だ。アルピニスト野口健さんの『落ちこぼれてエベレスト』である。 健さんとは雑誌の対談で出会い、そこから親交を深めている。時は2010年に遡るが、30歳の僕は20代を駆け抜けたバンドと音楽活動に行き詰まっていて、もはや何に悩んでいるのかさえ分からない、仏教用語的には「無明」の状態だった。そんなタイミングで彼は僕をネパールのヒマラヤ山脈、カラ・パタールという山(標高5545m)のトレッキングに連れ出してくれた。 エベレスト街道で一番大きな街のひとつ、ナムチェ・バザール(標高3440m) ルクラという山間の村にセスナ機で降り立ってから約2週間の行程で、初めて目にする圧倒的な大自然の中を村から村へひたすら歩く。最初は植生も豊かだが、標高が上がり、森林限界を越えると岩と雪と空

    藤巻亮太の旅是好日 音楽に行き詰まった僕を救ってくれたカラ・パタールの旅|好書好日
    mayumiura
    mayumiura 2018/07/23
    “30代の僕に大きな影響を与えてくれた方の著書だ。アルピニスト野口健さんの『落ちこぼれてエベレスト』//そして何より野口健さんを大きく変えたものも、植村直己さんの『青春を山に賭けて』という本なのである。”
  • 「クラフツマン―作ることは考えることである」書評 ものと「対話」する手仕事再評価|好書好日

    ISBN: 9784480864451 発売⽇: 2016/07/25 サイズ: 20cm/544,19p クラフツマン―作ることは考えることである [著]リチャード・セネット 著者セネットが学生時代に出会った哲学者ハンナ・アレントは、人間のあり方として、「労働する動物」と「工作人(ホモ・ファーベル)」とを区別した。機械的な労働に従事することと、ものを考えることとは別だとしたのである。書は、もの作りと思考とは表裏一体とし、アレント的な図式への反撃を試みる。 著者はまず、手仕事的なもの作り(クラフツマンシップ)の衰退史を詳細にたどる。中世のギルド組織では、技術の集団的な伝承がなされていたが、バイオリンのストラディバリウスのような、傑出した個人の技量は継承不能となる。 18世紀フランスの「百科全書」は、実は手仕事を精神労働と等価と見なす「クラフツマンシップのバイブル」でもあったが、言語で技術

    「クラフツマン―作ることは考えることである」書評 ものと「対話」する手仕事再評価|好書好日
    mayumiura
    mayumiura 2017/06/11
    “もの作りの可能性を追求することが公共空間の再興にもつながるというのが本書の主張である。”
  • 本の記事 : 村上春樹作品の英訳者ジェイ・ルービンさんが小説 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    村上春樹さんの小説の英訳者として知られる翻訳家ジェイ・ルービンさんが、小説『日々の光』(新潮社、柴田元幸・平塚隼介訳)を出した。春樹風の小説?と手に取った人はきっと、そんな思いをすぐに忘れて没頭するだろう。米国と日を舞台に人間や宗教のあり方を問う、厳しくもあたたかい物語だ。 第2次大戦前のシアトル、日米開戦後のアイダホ、戦後復興期の日と時空を行き来しながら物語は進む。中心になるのは、戦時下の米国で日系人が集められた強制収容所にかかわるストーリーだ。 牧師のトム、息子のビリー、教会で2人に出会いトムのになった光子。開戦で日への感情が悪化する中、トムは光子のもとを去り、ビリーと光子は収容所で過酷な日々を送る。 ルービンさんは収容所について、大学院生の頃に知ったという。「とても腹が立った。自分の国の政府に対しても、キリスト教の信者を名乗りながら、10万人以上をひどい目に遭わせた人々に対し

    本の記事 : 村上春樹作品の英訳者ジェイ・ルービンさんが小説 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
    mayumiura
    mayumiura 2015/09/08
    “書き始めたのは30年前。でも当時、米国の負の歴史を描いたこの小説を本にしようという出版社はなかった。ところが今回、改めて発表の道を探ったところ、シアトルの出版社が応じたという。”
  • コラム別に読む : 一〇三歳になってわかったこと 篠田桃紅さん | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■老いを創造する若々しさ 1913(大正2)年に生まれ、数えで103歳になる今も毛筆と墨で作品に向かう美術家が、歳月を経てたどり着いた境地をつづった。しかし、それは「老成」とか「悟り」とは別の、もっと若々しい思想にあふれている。 「生きている限り、前とは別のものができる。この歳(とし)になってできることはある。昨日と今日は違うんですから」 正月には一家で書き初めをする「お行儀のいい家庭」で育つが、24歳で家を出て以来、ずっと一人。 「私ははじめっから、この線はもう少しお手より長く引きたいというところがあった。決まりの通りにすることが性に合わなかったから、わがままだと言われてきた」 しかし、その「わがまま」を貫き通すことで創作の道が開けた。 「お手通りにすることくらい朝飯前ですが、それではつまらない。お手をまねするのは複製を作ること。アートでは、まねしたものは偽物です」 人生においても

    コラム別に読む : 一〇三歳になってわかったこと 篠田桃紅さん | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
    mayumiura
    mayumiura 2015/06/08
    “「お手本通りにすることくらい朝飯前ですが、それではつまらない。お手本をまねするのは複製を作ること。アートでは、まねしたものは偽物です」”
  • コラム別に読む : 考証要集—秘伝!NHK時代考証資料 大森洋平さん - 加来由子 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■江戸に鍋焼きうどんOKか? 鍋焼きうどんは江戸時代劇に出してはいけない? 「こんにちは」は何時代のドラマからOKか? NHKの内部だけで使われていた資料だが、「面白い」と外に漏れ伝わり、このたび文庫化された。出典豊富なミニ歴史うんちく事典の趣。 著者はNHK職員。番組制作に携わった後、希望して1999年から時代考証ひとすじ。「ドラマはフィクションなので、史実と違うのをダメと指摘するのではなく、なるべく史的に正しい形にするために意見具申します。登場人物がどんな場所でどんな格好で、どう行動するかの枠を規定する手助けをするんです。その枠がいい加減だと見るに値しない番組になってしまうので」という。 外部の時代考証の専門家もドラマにかかわる。その専門家の守備範囲外に生じた疑問に大森さんは答える。日々、映画から所作や言葉遣いを収集し、昔を知る人々へ取材を重ね、各番組に具申した考証メモはA4で1万

    コラム別に読む : 考証要集—秘伝!NHK時代考証資料 大森洋平さん - 加来由子 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
    mayumiura
    mayumiura 2014/03/17
    “平安時代の人はキスをしたのか”
  • asahi.com(朝日新聞社):異なる「自分」を肯定 平野啓一郎氏「分人主義」 - ひと・流行・話題 - BOOK

    異なる「自分」を肯定 平野啓一郎氏「分人主義」2009年8月19日 作家の平野啓一郎氏が、2030年代のアメリカを舞台にしたSF長編『ドーン』(講談社)で「分人主義」というあり方を提言している。ネット社会で人間が多面的な顔を持つ状況を踏まえ、監視社会が加速した未来における人間関係を示唆する着眼だ。 「分人(dividual)」とは、状況や相手により異なる「自分」になるという概念。「キャラの使い分け」とは違う。「その場限りの仮面」の裏に「当の自分」があるわけではないからだ。「多重人格」とも異なり、相手と協同して「自分」が成り立つ。 平野氏は「閉ざされた共同体では一人の個人で通用したが、都市化やネット社会化で人はバラバラな顔を持ち、場に応じて自己を調整する能力が求められる。人格が変わることはネガティブに思われてきたが、肯定した方が楽になる」と語る。 物語は、人類初の火星着陸を果たした宇宙ロケ

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    mayumiura 2012/10/24
    後ろめたがらない八方美人、みたいなもの?
  • asahi.com(朝日新聞社):数字と踊るエリ 娘の自閉症をこえて 矢幡洋さん - 著者に会いたい - BOOK

    数字と踊るエリ 娘の自閉症をこえて 矢幡洋さん[文]鈴木繁 [写真]石野明子[掲載]2010年5月8日矢幡洋(よう)さん=石野明子撮影著者:矢幡 洋  出版社:講談社 価格:¥ 1,680 ■父娘だから上れた長い坂道 臨床心理士の肩書を持つライターとして40冊の著書がある。その中には自閉症についてのも。けれど、小学校5年生になる一人娘が「中程度の自閉症」であることは、これまで触れてこなかった。 「父として『療育』の方に全精力を注いでいましたからね。やっと、これなら普通学級で卒業まで行けるだろうという確信が持て、娘の障害を客観的に見られるようになった」 も臨床心理士だが、小学校入学直前に児童精神科医に診せるまで2人は自閉症を考えなかったという。 「明るいし、記憶力もいい、関心に偏りはあるけれど、それはこの子の個性なんだと思い込もうとしていた。現実が見えてなかった」 しかし、そこからは違っ

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    mayumiura 2011/07/11
    "小学校5年生になる一人娘が「中程度の自閉症」/「この前、娘が『どうしても、同じことを繰り返し言っちゃうんだよ』と訴えたんです。ここまで自分を客観視できるようになったか、と驚きました」"