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ブックマーク / www.shinchosha.co.jp (27)

  • 『ぼけますから、よろしくお願いします。』 信友直子 | 新潮社

    ある事象を長期にわたって取材した結果を表現物として発表する手段に、映像のドキュメンタリーと活字によるノンフィクションがある。両者の大きな違いは、カメラがあるか、ないか、だ。映像のドキュメンタリーは、カメラが回っていなければ「なかったこと」と同じである。一方、活字の場合、その瞬間の直接的な記録がなくても、取材メモや記憶によって再現することができる。 どちらがその事象を、受け手により深いものとして伝えられるのか。カメラの制約がないぶん、活字の方がより細やかに、取材した内容を伝えることができるだろう。だが映像が持っている情報量もあなどれない。例えば取材対象者の表情。「目は口ほどに物を言う」の諺にもある通り、ある人のインタビューを映像として使用しても、活字にしても内容は同じだが、それがどんな表情によって発せられるのかで、受け手の印象はまったく異なる。映像業界に身を置く者としては、優れた活字ノンフィ

    『ぼけますから、よろしくお願いします。』 信友直子 | 新潮社
    mayumiura
    mayumiura 2022/04/12
    読了。この母娘、夫婦、父娘の、信頼と尊重の関係はそれ自体が記録に値するレベル。その前提あっての認知症共闘記。日本の介護のプロの頼もしい役割とスキルの高さも印象的。そして信友さんの言語化力すばらしい。
  • 『瀬戸内寂聴全集 〔第一巻〕〈短篇1〉』 瀬戸内寂聴 | 新潮社

    初期短篇の素晴らしさ/「死と別れ」すなわち「孤独」を書く/はみ出した女たち/「不良」文学へ 二○○一年一月から「瀬戸内寂聴全集」(全二十巻)の刊行が始まる。中短篇・長篇小説・随筆を、それぞれ原則として編年体で編集し、全収録作品に著者による加筆修正が行われている。さらに各巻に、著者自身による書下ろしの解説を収録。二十一世紀の読者に向けて、著者自らが精選した決定版全集となる。 ●初期短篇の素晴らしさ 瀬戸内 私はね、まだ全く世にも出ていない、同人誌にも載るか載らないかという時から、同人雑誌の友だちと全集の話ばっかりしていたんですよ。早く全集を出したいって。ろくにべるものもなく、水飲んでいてもいつかは自分たちではひとかどの小説家になるって信じていたんでしょうね(笑)。だから、今度ようやく全集を出してもらえることになってうれしくて……。 久世 今回の全集ではまず一巻の短篇群がいいですよね。僕はデ

    『瀬戸内寂聴全集 〔第一巻〕〈短篇1〉』 瀬戸内寂聴 | 新潮社
    mayumiura
    mayumiura 2021/11/13
    瀬戸内寂聴さんと久世光彦さんの対談「生きることは、書くことだった」、2001年。
  • 『古くてあたらしい仕事』 島田潤一郎 | 新潮社

    年に三冊、二五〇〇部のを作れば、ぼくと家族は暮らせますよ、という話を島田さんから直接うかがった時に、とても感動したことをよく覚えている。わたしとしては訊きにくい話題だったのだけれども、島田さんはあっさりと答えてくれた。事業の話は、ネットで語られていることはもちろん、対面でもあまりに個人の固有の生き方や方法論の話でありすぎて、他の人への応用が利きにくいのかなと思い始めていた矢先のことだった。要するに模倣しにくくて、普遍性を探しにくい。事業主個人のエネルギーの物語に収束してしまうことが多い。それはそれでおもしろければいい(というか事実ならおもしろくさえなくてもいい)かもしれないけれども、わたしはどこかで、もっと自分やほかの同年代の人たちに当てはめて考えやすい具体的な話を探していた。そこに気負いなく具体例を提示してくれたのが島田さんだった。 このでも、島田さんはとても具体的に、自分はどういう

    『古くてあたらしい仕事』 島田潤一郎 | 新潮社
    mayumiura
    mayumiura 2021/08/30
    読了。この夏にも話した「やめられないことを、誰かのために、分相応に」という私自身の働き方を、いっそう支えてもらえるような本でした。そっち行っていいんだよな。もっとずんずん行けばいいんだな、と。
  • 大貫卓也/企画・デザイン 『マイブック―2021年の記録―』 | 新潮社

    mayumiura
    mayumiura 2021/01/17
    文庫サイズの手帳、新潮社さんからはマイブック。
  • 矢部太郎『大家さんと僕』累計135万部突破!! 日本中が泣いて笑った、手塚治虫文化賞短編賞受賞の傑作ほっこりマンガ。

    2024/06/26発売 定価781円(税込) 判型 文庫 都内にある木造2階建て一軒家。1階に大家のおばあさんが住み、2階で芸人の「僕」が間借り生活中。上品な大家さんの挨拶は「ごきげんよう」、好きなものは伊勢丹とNHKと羽生選手。誕生日にはおはぎにロウソクでお祝いをし、強風の日には飛ばされないよう支え合ってランチへ……。日中がほっこり泣いて笑った、手塚治虫文化賞短編賞受賞の大ヒット日常マンガ。文庫特典:カラーイラスト8P & 瀬尾まいこさんの解説収録! 第22回手塚治虫文化賞短編賞(朝日新聞社主催) 購入はこちら シリーズ紹介 シリーズ累計部数135万部突破! 大家さんと僕 これから 2024/07/29発売 定価880円(税込) 判型 文庫 季節はめぐり、初めての単行が大ヒットとなった僕は、トホホな芸人から一躍時の人に。忙しい毎日を送る一方、大家さんとの楽しい日々には少しの翳りが見

    矢部太郎『大家さんと僕』累計135万部突破!! 日本中が泣いて笑った、手塚治虫文化賞短編賞受賞の傑作ほっこりマンガ。
    mayumiura
    mayumiura 2018/06/21
  • 村上春樹 Haruki Murakami 新潮社公式サイト

    あなたがこの物語を読み終える時、 すべてがこれまでと違って見えるだろう。 まるで、どこかでレールが切り替わったように…

    村上春樹 Haruki Murakami 新潮社公式サイト
    mayumiura
    mayumiura 2017/01/11
    新潮社さん、張り切りすぎww(まあわからないでもない
  • 考える人

    mayumiura
    mayumiura 2016/01/28
    “柴田元幸さんの字幕翻訳への挑戦”
  • 考える人

    他の出版社の雑誌を見ていて、これは絶対に自分ではできないと、これはもうほとんどすべての雑誌についてそう思うのですが、どういう人がこの雑誌を考え出して、何を譲らぬようにしながらこれをつくっているんだろう、と想像したくなるものは数えるほどしかありません。私にとってそのような雑誌の筆頭にあがるのが、マガジンハウスの「クウネル」でした。 「クウネル」があみだした新しい編集スタイルは、その後いろいろな雑誌がとりこんでいったので、ひょっとすると「他の雑誌も同じようなことやってるじゃないですか?」と言い出す人が出て来かねないのですが、とんでもございません。 「クウネル」流としか言いようのない写真選び、写真の添え物ではありえないしっかりとしたテキスト、そしてそもそもそのような写真とテキストをみちびきだす記事の、「クウネル」でしか設定しえないテーマ──どれをとってもちょっとやそっとでは真似のできない背筋

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    mayumiura 2016/01/22
    “どういう人がこの雑誌を考え出して、何を譲らぬようにしながらこれをつくっているんだろう、と想像したくなるものは数えるほど//そのような雑誌の筆頭にあがるのが、マガジンハウスの「クウネル」でした。”
  • 『オルフェオ』 リチャード・パワーズ、木原善彦/訳 | 新潮社

    リチャード・パワーズを読むことは、何かに似ていると思っていた。 僕がパワーズに最初に出会ったのは、英米文学翻訳者の柴田元幸先生の大学院のゼミの授業でだった。『舞踏会へ向かう三人の農夫』を原書で読んだ。そこに何が描かれているのかをよりよく理解するには、第一次世界大戦についての歴史的な知識が必要となり、読むことはすなわち、舞台となる時代の社会史や文化史を学ぶことにもなった。 パワーズを読むのはなかなか骨が折れる。それでも、科学と芸術についての該博な教養に支えられたこの「知」の作家を人が読まずにはいられないのは、彼の作品に人間の「魂」が感じられるからだ。パワーズが来日した折に一度会ったことがある。圧倒的な知性に驚嘆させられたが、周囲の人への思いやりに溢れた謙虚なたたずまいにも心を打たれた。知の巨人である彼は、柴田先生がどこかで書かれていたと思うが、何よりも「情」の人なのだ。 作『オルフェオ』の

    『オルフェオ』 リチャード・パワーズ、木原善彦/訳 | 新潮社
    mayumiura
    mayumiura 2016/01/03
    “マーラーからメシアンを経てライヒに至る音楽の歩みと、一人の芸術家の半生の物語が響き合う、危険で美しい音楽小説。”
  • 辻邦生全集(全20巻) | 全集・著作集 | 新潮社

    辻邦生ツジ・クニオ (1925-1999)東京生れ。1957(昭和32)年から1961年までフランスに留学。1963年、長篇『廻廊にて』を上梓し、近代文学賞を受賞。この後、芸術選奨新人賞を得た1968年の『安土往還記』や1972年に毎日芸術賞を受けた『背教者ユリアヌス』等、独自の歴史小説を次々と発表。1995(平成7)年には『西行花伝』により谷崎潤一郎賞受賞。他の作品に『嵯峨野明月記』『春の戴冠』等。

    辻邦生全集(全20巻) | 全集・著作集 | 新潮社
    mayumiura
    mayumiura 2013/09/02
    全20巻。"辻邦生の遺した豊饒な物語世界――その全容を明らかにする初の本格的全集"
  • 『司馬遼太郎が語る 第三集 草原からのメッセージ』 司馬遼太郎/講演 | 新潮社

    (1923-1996)大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を一新する話題作を続々と発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。1993(平成5)年には文化勲章を受章。“司馬史観”とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼をあつめるなか、1971年開始の『街道をゆく』などの連載半ばにして急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

    『司馬遼太郎が語る 第三集 草原からのメッセージ』 司馬遼太郎/講演 | 新潮社
    mayumiura
    mayumiura 2013/06/29
    今日聴いてた講演で、司馬先生「文明は合理的なもの、文化は不合理なもの」と喝破。だから、文明はたやすく伝播し、文化の継承は難しいのだと。米国で日本人を育てようと日々奮闘している身として、深く納得。
  • http://www.shinchosha.co.jp/geishin/2012_08/img/index_pickup02_02.jpg

    mayumiura
    mayumiura 2012/07/25
    ひょ〜〜〜〜〜ドロドロドロ…。松井冬子さんのお美しさに背筋が凍りました…まさに涼を呼ぶ美人。"幽霊画の特集をするならば、表紙絵は松井冬子さん以外にありえない。"
  • 最新号立ち読み|芸術新潮|新潮社

    【解説】宮下規久朗[みやした・きくろう 美術史家・神戸大学大学院人文学研究科准教授] 【撮影】筒口直弘[誌] ヴェネツィアと聞いて誰もが思い浮かべるのは、ゴンドラが行き交う水上都市の情景、サン・マルコ広場の華やぎ、エキゾチックなカーニヴァルなどでしょう。けれど、今特集でお届けするのは、そうしたお馴染みのヴェネツィアではありません。 この町のもうひとつの顔、それは美術です。おびただしい数の聖堂や貴族の館には、あるいはティツィアーノやジョヴァンニ・ベッリーニの祭壇画が聳え、あるいはティントレット、ヴェロネーゼ、ティエポロらの壁画や天井画がひしめいています。 西洋絵画のスタンダードとして、各地の美術館を飾る巨匠たちの作品はしかし、ふるさとヴェネツィアでひと味違った見え方をします。それは絵が来の場に設置されていることから生まれる、イリュージョンの効果。絵画の二次元のイメージが、三次元の

    mayumiura
    mayumiura 2011/10/25
    芸術新潮11月号の大特集は「ヴェネツィア」。旅行ガイドではなく美術品案内がメインとか。買わねば!
  • 水口文乃 『知覧からの手紙』 | 新潮社

    mayumiura
    mayumiura 2011/08/08
    知覧からの手紙:まえがき
  • [追悼・児玉清]特設ページ「ありがとう、児玉さん」|トピックス|新潮社

    俳優で、18年にわたるNHK「週刊ブックレビュー」の司会者や書評家としても活躍された児玉清さんがご逝去されました。これまで多くのを世に紹介された児玉さんを偲び、作家との対談や解説されたなどを紹介します。 稀代のの目利きが遺した名エッセイ。児玉清『寝ても覚めてもの虫』

    mayumiura
    mayumiura 2011/06/17
    新潮社さん、ありがとうございます。
  • 「苦役列車」西村賢太 :立ち読み|新潮|新潮社

    「苦役列車」西村賢太 一 曩時北町貫多の一日は、目が覚めるとまず廊下の突き当たりにある、年百年中糞臭い共同後架へと立ってゆくことから始まるのだった。 しかし、パンパンに朝勃ちした硬い竿に指で無理矢理角度をつけ、腰を引いて便器に大量の尿を放ったのちには、そのまま傍らの流し台で思いきりよく顔でも洗ってしまえばよいものを、彼はそこを素通りにして自室に戻ると、敷布団代わりのタオルケットの上に再び身を倒して腹這いとなる。 そしてたて続けにハイライトをふかしつつ、さて今日は仕事にゆこうかゆくまいか、その朝もまたひとしきり、自らの胸と相談をするのであった。 その貫多は十日ばかり前に十九歳となっていたが、未だ相も変わらず日雇いの港湾人足仕事で生計を立てていた。 中学を出て以来、このときまで全く進歩もなく日当の五千五百円のみにすがって生きる、不様なその日暮しの生活を経(た)てていた。 無論、貫

    mayumiura
    mayumiura 2011/02/15
  • 『凍』 沢木耕太郎 | 新潮社

    世界的クライマー、山野井泰史・妙子夫の、ヒマラヤの難峰ギャチュンカン(七九五二メートル)への挑戦を描いたノンフィクションである。 まず、クライミング・バムと呼ばれる若者達の生き方に惹かれる。「バム」とは、浮浪者、流れ者を意味する。アルバイトのような仕事で金を貯め、金の続く限りクライミングをし、なくなればまたアルバイトをしてさらにクライミングへと向かう。そのように自分の生き方を純化し、その目的の全てを山(壁)に登るという行為に集中させる人間達。当然のことながら、命の危険に曝される。雪崩、高山病からくる頭痛、目眩、マイナス四十度を超える凍え、指の切断を余儀なくされるほどの凍傷、一瞬の不覚。しかし彼らは身体を鍛え続け、憑かれたように山に登り、登頂を果たすとまた次の山へと向かう。 なぜ彼らは山に登るのか。泰史氏の場合、幼い頃から危険に対する「ある感覚」があったと書かれている。「(ゆっくりと走る貨

    『凍』 沢木耕太郎 | 新潮社
  • 考える人

    「書く」ことは、「聴く」こと。 次号「考える人」2007年夏号の特集は、「続・クラシック音楽さえあれば」です。「クラシック音楽さえあれば」といったとき、真っ先に思い浮かぶ人のひとりが吉田秀和さんでした。 じつは、しばらく前から編集部では(なんのご了解もなしに勝手にということですが)、吉田秀和さんにお話をうかがいたいという願いをもっていました。 1946年に音楽誌でモーツァルトについての文章を書きはじめて以来、60年以上にわたってつづけてこられた批評の仕事についてはもちろん、高校時代に中原中也からフランス語を習ったこと、小林秀雄、大岡昇平との交遊、小澤征爾や中村紘子がその一期生だった「子供のための音楽教室」の創設(1948年)に戦後まもなくから尽力したことなどをめぐって、まだまだ活字化されていない興味深いお話もたくさんあるのではないか、と考えたからです。 聞き手は、堀江敏幸さ

  • 考える人

  • 新潮