VARを推奨する計量経済学者として有名なクリストファー・シムズ(プリンストンのHP)が、ゼロ金利制約下における金融・財政政策について小論を書いた。 Economist's Viewで全文が紹介されているほか、サムナーも自分と意見を同じくするものとして取り上げている。 以下はその第1節の前半と第5節の後半の拙訳。 I.ゼロ金利下限を扱った通常のニューケインジアンモデルが強く意味するところ 金融政策は、少なくとも2008年秋に至る数十年間の間は、金利政策と考えられてきた。ニューケインジアンの政策モデルは間違いなくそのように扱ってきた。ゼロ金利下限(zero lower bound=ZLB)では、政策当局者がさらに緩和的な姿勢を取ろうとする限り、金利は動かなくなる。表面上は、これは金融政策が麻痺状態にあることを意味するように見える。しかし、本書に収録されているようなニューケインジアンモデルでは、