ジャン・デュビュッフェは1901年フランス、ル・アーヴル生まれの画家、コレクター、著述家。パリのアカデミー・ジュリアンに約半年在籍したものの、ほぼ独学で絵画を学ぶ。一時画業を断念してワイン事業に従事。42年に画家に転身し、44年にルネ・ドルーアン画廊で初個展を開催。同じ頃、芸術の教育機関で学ばず独自に表現する人、子供や精神病患者の作品の収集を始め、「アール・ブリュット(生の芸術)」の名づけ親としても知られる。これら特定の流派に属さない人々の作品から影響を受けて、頭部や顔のパーツが異様に大きい肖像画、あるいは身体がアンバランスな人物画など、自身は原始的なイメージを思わせる絵画を描く。デュビュッフェの絵画は、砂などを混ぜた厚塗りの絵具に引っかきの痕跡を残した画面が特徴。フランスの抽象絵画の動向のひとつ「アンフォルメル」の代表的な作家のひとりに数えられる。50年代は油彩による女性像や絵肌に着目し