ホームズにルパンに少年探偵団--。幼いころ、童話から一般の小説に移行する入り口となった少年少女向け小説(ジュブナイル)の数々。けれど、これらに代わる新しいジュブナイルはなかなか生まれない。そんな現状に危機感を持ち、ミステリー作家たちが児童向けの小説に挑戦し始めている。【内藤麻里子】 注目されるのは講談社から刊行されている「ミステリーランド」シリーズだ。ミステリー作家が書き下ろしで新作を執筆。03年夏、島田荘司『透明人間の納屋』、殊能将之『子どもの王様』、小野不由美『くらのかみ』の3冊を出したのを皮切りにすでに14冊を刊行した。 企画したのは、新本格ミステリーを誕生させ、古処誠二、舞城王太郎らを世に送ったメフィスト賞を創設した編集者の宇山日出臣さん。「今、本が読まれなくなったという声が多い。かつては怪盗ルパンや名探偵ホームズがあったが、今は読書のとば口の小説がない。僕はメフィスト賞などでミス