人類は、自らが生み出した「人工知能」に「参りました」と頭を下げるしかないのか。2012年に故・米長邦雄・永世棋聖の「衝撃の敗北」から始まったプロ棋士vsコンピュータソフトの電王戦。昨年の第2回大会でも1勝3敗1持将棋(引き分け)と惨敗し、今年の第3回大会では1勝4敗と形勢は悪くなるばかりだ。 しかし、ただ一人、コンピュータ将棋の「進撃」を喜ぶかのような男がいた。不世出の天才棋士、羽生善治三冠(43、王位・王座・棋聖)である。作家の大崎善生氏が、その“喜び”の意味を解説する。 この記事はうなりましたね。オセロが解明され、チェスが解明され、さてコンピュータの次のターゲットは、将棋。その将棋における人間対コンピュータの対決でも、いま人間側の負けが込んできてるわけです。しかしそこでただひとりコンピュータの勝利を喜んでいる将棋指しがいるという。それが羽生だというのです。 96年に史上初の七冠を制覇し