タグ

ブックマーク / delete-all.hatenablog.com (13)

  • 泣きっ面にガンダム - Everything You’ve Ever Dreamed

    正月休みに段ボール箱に入れて押入れに放り込んだままになっていた古い写真を整理した。すっかり色褪せ、セピア調になってしまったもの、縁の白い部分がビーチで僕に熱い視線を飛ばしてきたギャルの焼けた肌を想わせる小麦色に染まりはじめているもの、すべて、僕の家族の記録。一枚一枚取り出し、年代ごとにアルバムにいれていくうちにあることに気付いた。僕と弟、そして両親、四人で撮ったスナップが見当たらないのだ。 最後の一枚をアルバムに滑り込ませたあと、ちょうど洗濯物を干しに母がやってきたので僕は訊ねてみた。「四人で撮った写真が一枚もないんだけど?」ベランダで洗濯物を干しながら母は「お父さんは撮るほうが好きだったからね。写真のなかで皆笑ってるでしょ。お父さんの姿は写ってないけど、写真のなかにいるのと一緒なんだよ。一緒に笑っているの」と言って誰も見たがらないベージュのおばちゃんパンツを一番人目につきやすいところに引

    泣きっ面にガンダム - Everything You’ve Ever Dreamed
    mereco
    mereco 2009/01/08
    今度帰ったら父ちゃんの写真を撮ろうと思いました
  • ドラえもんオッサン - Everything You’ve Ever Dreamed

    今月最強クラスの憂の馬鹿野郎がヒュプノス様に飛び蹴りを喰らわせてどこかにすっ飛ばしたらしく僕は眠れないまま朝を迎えた。明け方の暗闇を斜めに切る雷雨。雷鳴と稲光の競演。雨音を背景にカーテンで織り成される光と影のショーを僕は万年床の上に体育座りでブリーフを震わせながら眺めていた。我が家には雨戸を閉めたり鍵をかけたりといった習慣がないのでお天気ショーはひょっとしたら隣人よりも近い距離にいる。虫や雀が飛び込んでくるのもしばしばで、さすがに今はもう喜んだりすることはなくなったけれど子供のころは闖入者のたびに弟と二人で大喜びしたものだ。カブトムシは僕ら兄弟にとってクロマティ級のスーパースターだった。「兄ちゃんカブトムシだー」「ぷうぷぷそれコクワガタだよバーカ」 小学生のとき僕ら兄弟はドラえもんが大好きで、父親に頼みこみ、部屋に二つ並んだ押し入れの上段に布団を運びこんで寝ていた。ある晩、弟が僕の頭上に

    ドラえもんオッサン - Everything You’ve Ever Dreamed
    mereco
    mereco 2008/09/23
    種くれるんならドラえもんじゃなくてトトロを名乗ればいいのに…
  • すべての言葉はサヨナラじゃないぜ - Everything You’ve Ever Dreamed

    風景、音楽、匂い、そして言葉。出会ったときにはとるにたりないようなものが後になってみると頭にひっかかって離れないようなことがある。断片。欠片。前後の文脈や意味は失われ、独立してしまっている記憶だ。僕の場合、「車に潰され、タイヤが三角形に変形してしまった三輪車」であったり、「大学の美術サークルでよく見掛けた女の子の妙に赤いリップ」だったりする。今、僕の頭をかすめて離れようとしないのは君のあの言葉だ。東京、冬の夜。どこかの駅の構内で言われた言葉。時を経るごとに酸化して、変容して、僕を締め付けている。呪いのように。 総務のマヤちゃんと映画を観に行った。突然だった。昼前に連絡が来て、午後には映画館のチケット売り場前で待ち合わせをしていた。七夕≒浴衣という僕の淡い期待はあっけなく裏切られ、胸の部分に英語の文字がプリントされたオレンジ色のTシャツと膝下までしか丈のないジーンズにサンダルという姿でマヤち

    すべての言葉はサヨナラじゃないぜ - Everything You’ve Ever Dreamed
    mereco
    mereco 2008/07/07
    この前美容師さんに「『花より男子FINAL』とかめっちゃ観に行きたいですよねー」って言われて困った…(でもケチだからもし行ったらガン見する!)
  • オッサン・クルージング・ラヴ - Everything You’ve Ever Dreamed

    この春から最寄りの駅まで自転車を使って通勤している。バス代の節約と健康のために。朝7時半ちょうどに赤いママチャリにまたがる生活。朝の空気が体の外側を流れていく感覚は思いのほか、心地よいものだ。女の子の横を過ぎるときにはストールする寸前まで徐行。二人乗りのアベックのうしろに貼り付いてスリップストリーム。あぁ朝がこんなに楽しいなんて。 先々週だろうか。奴が現れたのは。僕の娯楽を侵略する悪い奴。白いママチャリを駈るオッサン。推定五十才。圧倒的なスピードで僕をぶっちぎっていく。抜いた瞬間にジリジリっと錆びたベルを鳴らす。最初は気にしなかったのだけれど、毎朝、追い抜かれていたら世界中のどんな平和主義者だって自転車に油をさすだろう? 奴のスピードの秘密は独特のフォルムと地の利にある。フォルム。奴は前頭部が禿げている。毛髪は後頭部に縞模様を描く程度に遺すだけ。空気抵抗は限りなく少ない。地の利。奴は丘の住

    オッサン・クルージング・ラヴ - Everything You’ve Ever Dreamed
    mereco
    mereco 2008/06/08
    バスストップがバストトップに見えたでござるの巻
  • エマージェンシー!オッサンをなんとかして! - Everything You’ve Ever Dreamed

    地元の青年会は季刊紙を春、夏、秋、冬と年四回発行している。僕は青年会書記代理という要職に就いているので、こないだの日曜の午後はその季刊紙の「夏の号」打ち合わせに参加していた。夏。もう夏なのだ。そういえば暑い。僕がぼうっとしているうちに空気は初夏特有のカラっとした熱を帯びていた。 公民館のいくつかある中会議室の一室を貸し切り、折り畳み式の長テーブルを4つ正方形のカタチに組み合わせ、パイプ椅子を並べ、即席の会議場を仕立てた。メンバーは会長オッサン、会計オッサン、書記オッサン、お祭り部長オッサンと謎のオッサン1号、2号とオッサンV3と僕の8名しかいないので、普段は週末の社交ダンスの練習場にも使われる広さを持つ会場は少々大袈裟かもしれない、なんて思いながらパイプ椅子を並べていた。 恐るべし。全員が着席した瞬間にこれだけのスペースがオッサン特有の臭いで充たされるのだから。オッサン恐るべし。何もいわず

    エマージェンシー!オッサンをなんとかして! - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 甲殻のガールフレンド - Everything you've ever Dreamed

    奇蹟なんてそう滅多に起きるものじゃないなんてことは僕にだってわかっている。たとえば大事故のニュース。生存者の見込み無し。「無し」。わかってる。そんなことは。でもさ、そんなとき、一人でも、一人でいいから救われて欲しいと思う。暗いニュースを見るたび、そんな奇蹟が起きるのを僕は信じてやまない。 昼、天津丼をべていた。卵にとじられた蟹の欠片を箸で持ち上げ、口に運ぶ。味の染みたご飯をかきこむ。そんな事の最中に、ふと、蟹を飼おうと思った。川原にいる地味な奴や、アメリカからやってきた海老っぽい面をした奴じゃなくて、ズワイかタラバ。個人で飼育できる生き物なのかどうかは知らないけれど。そして卵から孵った子ガニ達を海へ放つんだ。 挨拶に毛が生えたようなメールを送ることなく消している。送り先のアドレスと電話番号を自棄になって消してしまったせいで送れないのだ。お酒が入るとそんなことを忘れてしまう。いざ送信しよ

    甲殻のガールフレンド - Everything you've ever Dreamed
    mereco
    mereco 2008/05/18
    甲殻機動隊だ!
  • 会社ってキモティー! - Everything You’ve Ever Dreamed

    会議があった。月次定例営業会議。面子は僕を含めて総勢8名。会議室に勢揃いした顔ぶれを眺めて暗い気分になった。この面子で会議を行い、話がまとまった例がない。各々が人の話を聞こうとせず、勝手に話すからだ。明確な議題がなく、論点が曖昧になっている側面があるにしても。 会議が始まるとすぐに脱線の連続になった。予想通りの展開。流れる時間、押し寄せる眠気。僕は眠気に対抗するため、それぞれの主張にメモを取りながら耳を傾けることにした。ウンウンとわざとらしく頷きながら。 「逆にいえば…」僕は発言者の苗字に続けて「逆」と書いて丸で囲い、発言の要旨をメモした。「裏を返せば」「裏」と書いて苗字と要旨をメモ。「裏」を丸。意見が裏返ったという意味の矢印を横に添えた。視覚に訴えると理解しやすいからね…。 「逆に…」「裏を返せば…」「逆に…」「裏を…」「所謂」「要するに…」「極論いうと…」「逆に…」「裏を…」「いわゆる

    会社ってキモティー! - Everything You’ve Ever Dreamed
    mereco
    mereco 2008/04/19
    「逆に考えると」「要するに」って言いたがる人って、主導権を握りたい気持ちが空回りして話は要領を得ないことが多いですよね…気をつける!
  • 俺は側室をつくるぞジョジョー!! - Everything You’ve Ever Dreamed

    呆けているうちにひと月あまりが過ぎてしまった。我に返り、自室の机の上をみると郵便物が山のようになっていた。紙の山は、過ぎてしまった時間を「ほらご覧、これだけの時間がキミの頭の上を通り過ぎてしまったのだよ」と頼んでもいないのにあらためて突きつけてくれる。 僕は、頂上から切り崩すように、ひとつひとつの郵便物を手に取り、目を通していった。山の大半は年末商戦向けの派手な色をしたフォントと煽動的な数字ばかりのDM、残りは請求書や引落し明細だった。それらはもう過ぎてしまった時間の遺物といえた。僕宛ての手紙はひとつもなかった。ただの一通も。 そのうち、紙の山から一枚の年賀状がでてきた。見慣れた絵柄。当たり前だ。僕が年が明けたあとに慌てて出した年賀状だからだ。一年に一度しか働く機会を与えられない不憫なプリンターから一枚一枚吐き出されるのを眺めていたのだから、その絵柄を見間違えるはずもない。 裏をみると「あ

    俺は側室をつくるぞジョジョー!! - Everything You’ve Ever Dreamed
    mereco
    mereco 2008/02/14
    マヤちゃんは「幕府を開きたいのですが」を読んでいる重度のはてなダイアラー
  • オッパイを救って世界を幸せにしよう- Everything You’ve Ever Dreamed

    世界が幸せになる方法を僕なりに考えている。 乳房のことを考えている。たとえば、居酒屋の呼び出しブザーを押すとき。たとえば、山々や月といった、自然の風景を眺めるとき。僕はそこに乳房の影をみてしまう。そうだ。僕は四六時中乳房のことを考えている。朝起きて、眠るまで。休むことなく、乳房について考えている。そのうち、僕自身が乳房になってしまうのではないか。そんな錯覚にとらわれる。僕の頭部が乳首、首から下が乳房といった具合に。僕は壊れ始めているのかもしれない。 クリスマス。電車の中。正面に座った女性。目撃。物理法則に反抗して持ち上げられ、強引に寄せられた乳房。偽りの谷間。僕は悲しくなる。乳房になった僕は息苦しくなる。窒息しそうになる。鎖と縄で締め付けられたかのような苦しみ。鞭で打たれる痛み。古の奴隷の気持ちがわかるような気がする。これは圧政だ。ブラジャーによる乳房への。 そんなもの外しちゃおうぜ。無理

    オッパイを救って世界を幸せにしよう- Everything You’ve Ever Dreamed
    mereco
    mereco 2007/12/27
    オッパイをワイヤーで持ち上げれば「偽装だ」「オッパイかわいそう」と糾弾し、オッパイを甘やかして腹肉に同化すれば「垂れ乳より貧乳のほうがマシ」と嘯く…この国は終わりだ!
  • 1人でディズニーランドに行ったよ (Everything You’ve Ever Dreamed)

    一人で東京ディズニーランドに行ってきた。前にTDLに行ったのは、遥か昔、高校生のころ。あの頃のTDLのスターといえば、キャプテン・イーオーだった。時は移ろって、マイケル・ジャクソンはネバーランドへと帰還し、ジャック・スパロウなるパイレーツがスターになったけれど、TDLは日の代表的なレジャー施設として君臨し続けている。大衆の欲望と消費の集積場。そこに単身で乗り込む。いかにもハードボイルドな、僕らしい休日の過ごし方ではないか。とにかく、だ。平日の昼間だから空いているだろうと高をくくって、僕は出かけた。 TDLに着くや否や、僕は打ちのめされた。どこを見ても人、人、人。人の山。アトラクションはどれも100分待ち。ハードボイルドの余裕なし。人ごみは、ハロウィンのイベント期間だからなのかもしれない。この、数万の人の海のなか、単身で来ている男は、恐らく僕だけではないだろうか。身軽さを生かして、次々と、

    1人でディズニーランドに行ったよ (Everything You’ve Ever Dreamed)
    mereco
    mereco 2007/09/20
    ムチャ・リブレ
  • プレゼント - Everything you've ever Dreamed

    風邪と下降気味な気分で部屋に篭っていた。そのせいで、日中はまったく気が付かなかったのだけれど、先程、台所でこんなものをみつけた。 母の仕業だ。字体から、これを作っているときの彼女のノリノリ感がビシビシ伝わってくる。「お家」からはガサガサと大きな音が。中を見ると、 小学生のアイドル、カブトムシが!確かにカブトムシは男子の夢そのものだけど、大人の男にカブトムシってどうなのかしらん。とはいえ僕は、30代の男をカブトムシで励まそうとする、母の大きな、そしてズレている愛に心を打たれた。母からみれば、僕なんていつまでたっても、夏休みに、公園や山で、半ズボンをはいて虫を追いかけている子供なのだろうな。

    プレゼント - Everything you've ever Dreamed
    mereco
    mereco 2007/07/22
    ほしいなー
  • Everything You’ve Ever Dreamed - 悲劇か喜劇か

    「疲れた」 その一言に尽きる一日だった。僕は品関係の仕事をしているので、試をする機会がけっこうあったりする。頻度でいうと一ヶ月に2〜3回といったところだろうか。今日も上司や同僚と僕の会社で提供しているメニューを試した。一通りのメニューをべた後、悲劇の幕は上司のこんな発言から切って落とされた。 「この味噌汁はなんだ?こんな味噌の味がしないものを提供しているのか?すぐに見直せ!!馬鹿野郎!俺はなあ、料理を知っている。お前らと違って舌が肥えているから舌をつけた瞬間に味がわかるんだよ」 僕はこのコトバを聞いたとき、どう対処していいかわからなかった。たぶん、いや確実に口を大きく開けた間抜け面を晒していたに違いない。どうやら、人間は許容範囲を超えた恐怖に遭遇するとどういう顔をしていいかわからなくなる生き物らしい。恐怖の源は上司の言う味噌汁が「味噌汁」ではなく「コンソメスープ」であったことにある

    Everything You’ve Ever Dreamed - 悲劇か喜劇か
    mereco
    mereco 2007/06/10
    これはかわいそう…
  • コトバ - Everything you've ever Dreamed

    部屋で沈んでいても仕方ないので過去を振り返ることにした。 物心ついたときにはピアノを弾いていた。三歳の僕が鍵盤の前で笑っている写真がアルバムにあるので、そのころから鍵盤を叩いていたことになる。僕の先生は、どこかの音大をリタイアした人だった。致命的に集中力の持続が出来ない、決定的に練習が嫌いだった僕をあの手この手で鍵盤の前に座らせることに成功していた。僕の抵抗は彼女の前では意味を為さなかった。たとえばこうだ。「よしふみクン(仮名6歳)の好きなものは?」「オッパイ!」「じゃあ鍵盤を先生のオッパイだと思って触れてごらんなさい」「先生のオッパイヤダー」「それならこの前レッスンで会ったマリナお姉さんのオッパイだと思って触るの」「触るー。黒いトコロはオッパイの先っちょだあ」 先生は大好きなお姉さんのオッパイだと思って力を抜いて鍵盤にふれなさい、とだけ仰ってソファに座り紅茶を飲みながら僕のピアノをいつも

    コトバ - Everything you've ever Dreamed
    mereco
    mereco 2007/03/09
    とってもすてきです
  • 1