正月休みに段ボール箱に入れて押入れに放り込んだままになっていた古い写真を整理した。すっかり色褪せ、セピア調になってしまったもの、縁の白い部分がビーチで僕に熱い視線を飛ばしてきたギャルの焼けた肌を想わせる小麦色に染まりはじめているもの、すべて、僕の家族の記録。一枚一枚取り出し、年代ごとにアルバムにいれていくうちにあることに気付いた。僕と弟、そして両親、四人で撮ったスナップが見当たらないのだ。 最後の一枚をアルバムに滑り込ませたあと、ちょうど洗濯物を干しに母がやってきたので僕は訊ねてみた。「四人で撮った写真が一枚もないんだけど?」ベランダで洗濯物を干しながら母は「お父さんは撮るほうが好きだったからね。写真のなかで皆笑ってるでしょ。お父さんの姿は写ってないけど、写真のなかにいるのと一緒なんだよ。一緒に笑っているの」と言って誰も見たがらないベージュのおばちゃんパンツを一番人目につきやすいところに引