クシュナー:私が日本と初めて出会ったのは、20代中頃でした。当時は日本経済が絶好調で、日本が世界一とされた時代です。その頃、日本に対しては、ステレオタイプなイメージが米国で広がっていました。「日本人は生魚を食べる」「日本食は、ぬめっとしていて気持ち悪い」といったものです。ほとんどの欧米人にとって、日本食は奇妙な食べ物でした。 25歳のときに初めて日本を訪れ、岩手県の小さな漁村で生活することになりました。私は米国の東海岸で敬虔なユダヤ教徒の家庭で育ちましたから、それまで魚をほとんど食べたことがありませんでした。正直、魚は嫌いで、とにかく気持ち悪かった。生臭いし、イカやタコには奇妙な足がたくさんあるし、グロテスクに見えました。 しかし、ある晩、私の人生を変える出会いがありました。仕事仲間と夜中まで飲み、家に帰る途中、彼らが「ラーメンを食べに行こう」と言ったのです。「ラーメンって何だ?」。私は興