変化を計算する微積分は、クルーズコントロールや天気予報、建物の構造、選挙公約の経済効果予測、腫瘍が大きくなる速さの割り出しなど、じつにさまざまな場面で使われている。 微積分では、どんな場合でも変化に注目する。「何の」変化かはあまり関係ない。必要な数学は同じだからだ。ここではなるべく単純な例で説明してみよう。 スピード違反を取り締まる 例えば、スピード違反を取り締まるとしよう。このとき、走行する車の速度はどうすればわかるのだろう。 拙著『公式より大切な「数学」の話をしよう』でも詳しく解説しているが、いちばん簡単なのは、一定の区間を設定して速度を求めることだ。必要な警察官は2人。1人は測定区間の起点に立って車両が通過した時刻を記録し、もう1人は1キロ先の地点で同じように車両が通過した時刻を記録する。 そしてこの2つの時刻から、車両が区間の起点を通過したときの速度を出すわけだが、そのためには車両