「左卜全さん、有島一郎さん、由利徹さん、三崎千恵子さん、そして戦後は森繁久彌さんら芸能界で大活躍された名優さんたちが大勢出演されていました。『ムーラン・ルージュ新宿座』は、私の青春そのものでしたね」 9月17日、新宿の映画館「ケイズシネマ」で行われた映画「ムーランルージュの青春」の舞台挨拶。マイクを握った主人公の1人で、同座のトップスターだった明日待子さんは、満面の笑みを浮かべてこう話した。 御歳91。映画出演は、「鉄路の薔薇」(1949年)以来、62年ぶりだ。 会場はシルバー世代が目立ち、さながら戦前世代の同窓会。早大生時代に大ファンだったという野末陳平氏も「日本唯一のムーラン・ルージュ評論家」として舞台に上がっていた。 現在は、北海道札幌市内で正派五條流宗家家元、五條珠淑として今も舞台に立ち、後進の育成に励んでいる。 ムーラン・ルージュ新宿座は、1931年12月31日に、現在のJR新宿