2014年03月27日19:00 カテゴリ本 資本過剰が格差を拡大する 資本家と労働者の所得格差はマルクス以来の問題だが、新古典派経済学には所得分配の理論がない。しいていえば限界生産力説というナイーブな理論があるが、これは資源配分の理論であり、アメリカなどで深刻化している極端な格差の問題を解くことはできない。 本書は『21世紀の資本論』という壮大なタイトル通り、マルクスのテーマに数量経済史の手法で挑み、国富や所得分配についての膨大なデータを集めて理論的に説明しようとするものだ。その結論は単純で、著者が資本主義の第一法則と呼ぶのは、次の式である。 α=r×βここでαは資本分配率(資本収益/所得)、rは資本収益率、βは資本/所得比率である。これは会計的な恒等式だが、所得分配が資本収益率で決まることを示している。αは歴史的に次の図のような「U字型カーブ」を描いている。20世紀初めにはアメリカの所