■大学について 今回は,ホセ・オルテガ・イ・ガセットによる大学論です. オルテガ 著『大学の使命』. ヤスパースと同様,著者は『大衆の反逆』で有名な保守論者で,その件についてはまた別の機会にしたいと思います. 両者の大学論は比較されることも多いようですが(実際,『大学の使命』の付録として井上先生が論じている),今回は私なりに2人の大学論を解釈してみたいと思います. なかでも,大学教育がどのように為されるべきか?といったことに焦点をあててみましょう. オルテガとヤスパースの大学論で,よく比較されるのは以下のことです. オルテガ = 教養教育,平均人の教育 ヤスパース = 研究教育,エリート教育 実際,本文中にこのような記述があります. オルテガは, 与えることも,要求することもできないものを,与えるふりをし,要求するふりをするがごとき制度は,虚偽の道徳を乱す制度である. それゆえに, われわ