商船三井のタンカーを襲ったとして、海賊対処法違反罪に問われた自称ソマリア人の2被告に今月1日、実刑判決を言い渡した東京地裁の裁判員裁判。1万キロを股にかけ“来日”した海賊が、日本の法廷で初めて、当地の実情を訴えた。 「パイレーツ・オブ・カリビアン(カリブの海賊)」の華やかなイメージとは対照的な、貧困の現実-。商船三井のタンカーを襲ったとして、海賊対処法違反罪に問われた自称ソマリア人の2被告に今月1日、実刑判決を言い渡した東京地裁の裁判員裁判。1万キロを股にかけ“来日”した海賊が、日本の法廷で初めて、当地の実情を訴えた。(時吉達也) 横10センチ、縦5センチ。被告の胸に広がる縫合の跡が、法廷の大型モニターに映し出される。「内戦で、本当に大勢の親戚(しんせき)、仲間を失った。あまりに多すぎて、数えることもできない」。裁判員らは被告の証言に耳を傾けながら、撮影された生々しい銃痕に見入った。 中央