最近、雑誌などの論説で自由民主主義諸国の相対的地位の低下を論じる論考をよく見かけます。 近年、中国やインド、ロシアといった新興諸国の経済が急激に成長したこと、そして米国や欧州、日本などのいわゆる先進自由民主主義諸国の経済があまり好調ではなく世界に占める相対的地位が没落しつつあることが、こういう論考の生じる原因でしょう。 近い将来、自由民主主義諸国は、支配的な地位を世界で占めることができなくなってしまうのではないかという懸念が表明されることが多いのです。 たとえば、『フォーリン・アフェアーズ・リポート』誌の2018年6月号に掲載されているヤシャ・モンク氏とロベルト・ステファン・フォア氏の共著の論説「欧米経済の衰退と民主的世紀の終わり」(原題”The End of Democratic Century: Autocracy’s Global Ascendance” (「民主主義の世紀の終わり: