2004年の国立大法人化は日本の科学技術にどのような影響を及ぼしたのか。03年まで国立大学協会会長を務め、法人化の制度設計にも関わった長尾真・元京都大学長(81)に聞いた。 問題は国が競争原理を持ち込んで予算でコントロールするようになったこと ■元京都大学長、長尾真さん(81) --日本の研究現場の疲弊は2004年の国立大学法人化が契機ですか? 時期が同じなので法人化と国立大の運営費交付金削減を結び付ける人が多いが、実は法人化前から大学関係予算、特に人件費は削減する方向だった。むしろ、国の予算が減っていく中、外部資金を自由に獲得できるようにしたのが法人化。それ自体にはきちんとした意味があった。