才能というのは物事を続ける力である、ということはよく言われる。実際、めざましい成果を上げて世間から注目されている人は大抵、その成果を上げるまでに膨大な時間とエネルギーをつぎ込んだ人で、そういう人は普通の人ならせいぜい数日で投げ出すところを、一日も欠かさず10年、20年、あるいはそれ以上の年月「努力」を積み重ねてきているのだ。当然、その積み重ねというのはとんでもないものであり、その芸というのは普通の人には想像もつかないレベルにある。膨大な時間が芸のレベルに変換されているのだ。 しかし、才能というのは物事を続ける力、という言い方は、理屈では分かっていても、普段生活をする上で感じる実感とは少し異なっているようにも感じられる。では、なぜ先ほどの表現が現実から少しずれているように感じられるのかというと、それは先ほどの表現が間違っている訳ではないとしても、やや不正確なものであるからだと思う。それでは、