安倍晋三首相(当時)の演説中にヤジを飛ばした男女二人を警察が排除したことの是非を問う訴訟で、札幌高裁は一人に「警察は表現の自由を侵害した」と認めた一方、もう一人の訴えは退けた。ヤジも言論だ。市民から政権批判の自由を奪ってはならない。 「安倍辞めろ」「増税反対」。二〇一九年夏、安倍首相の街頭演説中、二人は声を上げた。北海道警は二人の肩や腕をつかみ、演説場所から移動させて排除した。 増税に反対したり、首相の辞任を求める声を市民が路上で上げることも、民主主義社会では大事な表現行為だ。特に街頭演説という空間は首相が一般市民と接し得る貴重な場でもあり、市民の言論を奪う行為こそ排除に値する。