本稿は学術情報流通の重要な媒体である学術雑誌の歴史と,その質担保の重要な仕組みである査読制度の発展について述べたものである。学術雑誌,より一般には科学を歴史的に検討することの意義を科学史研究の観点から説明したうえで,現時点における比較的最近の研究に基づいて学術雑誌の歴史と査読制度の発展を概観し,最後に学術雑誌にかかわる現在の課題のいくつかと,それらの問題を乗り越える可能性について論じた。とくに最近出版されたAileen Fyfeらによるロイヤル・ソサイエティにおける学術出版についての大部の研究書の紹介に大きな重点を置いた。