ブックマーク / thinkeroid.hateblo.jp (10)

  • 渡辺佑基『進化の法則は北極のサメが知っていた』を読んだことと相分離について最近考えたこと - 殺シ屋鬼司令II

    進化の法則は北極のサメが知っていた (河出新書) 作者: 渡辺佑基出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2019/03/01メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 正直なところ、感想をどう表現したらいいのか今も決めあぐねたまま書評を書き始めている。フィールドワークのかバイオロギングのかと思いながら読み始めたら、名高い『ゾウの時間ネズミの時間』をアップデートするような理論も登場する。 ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学 (中公新書) 作者: 川達雄出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/11/01メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る フィールドワーク・紀行と理論、どちらに重点を置いて紹介したらいいのか、ためらっている。紀行と理論がこのでは相互に絡み合っているからである。どちらも面白いのだがどちらかに偏ってしまうと十全にこのを紹介で

  • 村上春樹『アンダーグラウンド』『約束された場所で』を読んだ - 殺シ屋鬼司令II

    ことしの3月は地下鉄サリン事件から20年であるということもあって、村上春樹の『アンダーグラウンド』と『約束された場所で』をたてつづけに読んだ。 アンダーグラウンド (講談社文庫) 作者: 村上春樹出版社/メーカー: 講談社発売日: 1999/02/03メディア: 文庫購入: 13人 クリック: 69回この商品を含むブログ (217件) を見る約束された場所で (underground2) 作者: 村上春樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2001/07/01メディア: 文庫購入: 14人 クリック: 73回この商品を含むブログ (131件) を見る どちらも長い長いあいだ積ん読になっていた。買ったものの読み進まなかった。そのほかの村上春樹のはかなり踏破したけれど、この2冊は険しかった。インタビューごとにテンションがリセットされる。なによりテーマが重たい。 そして節目の年ということがあ

    村上春樹『アンダーグラウンド』『約束された場所で』を読んだ - 殺シ屋鬼司令II
  • 査読システムと増えた捏造 - 殺シ屋鬼司令II

    いま所属している研究所では研究不正にかかわる講習をうけることが研究者全員に義務付けられている。これはNSFという機関からお金をもらっている機関はすべてそうみたいである。 私の受けたその講習では主に画像処理のかんがえかたとImageJ(というかそのバリエーションのFIJI)というレタッチソフトの使い方を中心に説明を受けた。フリーソフトだから利用者も多いからである。 とりわけ興味を引いたのは、研究画像の不正というのはやはり増えている傾向らしい。それはImageJやPhotoshopを始めとするレタッチ画像処理ソフト*1を利用した、研究画像データのデジタル処理が全面化した時期と相即するのだという。疑わしいと報告され研究画像のうち、1993-1994には4.1%が調査の結果認定されていたのが、2007-2008には68%に増加している、と。 この傾向はたくさんの要因が絡んでいるだろうが、なんといっ

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  • オープンアクセスのことは嫌いにならないでください! - 殺シ屋鬼司令II

    今週のScience誌に出ていた、論文ではないがTopics記事と、それを紹介したブログエントリが話題になっており、読んだ。 バイオ系研究室PC管理担当のメモ むしろ、日ごろダイレクトメールで送られてくるCall for papersから強烈なアヤシサを感じていたHindawiグループが「まとも」ということが、現場の研究者としてはちょっとしたおどろきだったとおもう。 以前に少しだけ論じた、知識の生態系を考える上でも極めて重要な事例であろう。 オープンアクセス誌を問題とする際、主たる論点は ほとんど充分な査読の行われないスパム的OA誌があること Sci RepがNatureの姉妹誌として見掛け上不当に高く評価されてプレスリリース・新聞掲載されること PLoS ONEが何か凄い雑誌のようにプレスリリースされて新聞に出ること である。 「玉石混交」を「無査読」と「瑣末」という意味で混合してはなら

    オープンアクセスのことは嫌いにならないでください! - 殺シ屋鬼司令II
  • 機関リポジトリと私アンドソーオン! - 殺シ屋鬼司令II

    機関リポジトリという機構の存在を知ったのは10年前だったと思う。大学図書館の機関紙に紹介されていた。 ウェブが全面化する中で図書館の意義も問われるなかで、知識産出制度である大学のアウトプットが高額の購読料を積まないとアクセス不可能であるということに対する1つの応答として、学内から投稿・公刊された論文を大学図書館が一括してオープンアクセス化していこうという取り組みだ。 で、10年が経ち、私も当事者となった。論文を機関リポジトリに登録する案内が来たのである。 京都大学のKURENAIというシステムで、それは先日PLOS ONEに公刊した論文の所属機関を京大にしてあったからである。 いよいよ自分も機関リポジトリに登録するのか、と思い、はたと気がついた。 PLOS ONEはもとよりオープンアクセスなのである。 リポジトリからの案内には、オープンアクセスであるから特段の交渉は雑誌編集部とは必要ないか

    機関リポジトリと私アンドソーオン! - 殺シ屋鬼司令II
    min2-fly
    min2-fly 2013/07/02
    OA誌掲載論文でも、複数のソースで公開されているものの方がサーチエンジンでのビジビリティが上がる等の調査結果も出ているので、登録されるが吉かと。アクセス数の泣き別れは・・・
  • 大学図書館は知識の生態系の全体像を伝えなさい! - 殺シ屋鬼司令II

    大学図書館でレポートの書き方を教えるというのはどこから出てくる話なのか? - 発声練習 大学図書館の論文データベース講習のようなものを10年前に受講し、また開催の手伝いのようなものも行った。それは自館で購読してるものに関して宣伝の意味も含め紹介した。購読しているというのはWeb of Science(現Web of Knowledgeか)のようなサービスだ。確かにこれは、検索キーの入力など含めてクセがあり、日常で利用する機会の多いGoogle/Yahooが、いくつかのキーワードを、考えなしに放り込むだけでリストアップしてくれるのとは違う。 でも無料のPubMedGoogle Scholarの利用は等閑視・頬かむり・ほとんど言及しなかったのを見ていて私は不満だった。 大学図書館は、知識の生態系の全貌を学生に伝えてもらいたいと思う。 購読データベース・論文・蔵書という大学図書館機構の持つ強力

    大学図書館は知識の生態系の全体像を伝えなさい! - 殺シ屋鬼司令II
  • 2009年秋、事業仕分けとは何だったのか - 殺シ屋鬼司令II

    長い茶番の後、昨年12月に自民党によって政権正常化が行われてもなお、民主党が政権を簒奪して行った「国政での事業仕分け」のことを未だに私は忘れてはいない。 多くの人がきっと忘れていると思う。 無理もない。 その後、もっと酷いことがあったからだ。 でも私は何度でもあの時のことを思い出している。 「事業仕分け」の設計思想 今にして思えばなのだが、私はあの熱狂の渦を眺めながら、時に悪態を吐きながら、なにか理解のできないことが存在していると思った。ひとがしきりに言うことばとは違う何かがその問題の根源になっていると。 私は科学者の側にあって眺めていた。私は基的に「科学」という制度が人間にとって不可欠なものであるということを或る意味で「信仰」していたし、いまも変わらずそうであることを、告白する。 けれど、仮に「事業仕分け」という制度が正しいならば? というより、そもそもどういう設計思想で組み立てられて

    2009年秋、事業仕分けとは何だったのか - 殺シ屋鬼司令II
  • 生物学論文の付録情報(サプリメント) - 殺シ屋鬼司令II

    PLOS ONEで(動画とかローXLSみたいな準生データじゃないかぎり)サプリメントに実験データや各種の記述を分載することの意義に決して納得しているというわけではない。さすがに実験ノートをサプリメントに生ガチ出し (http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0025290.s001 PDF注意) は面白すぎるが。 この考え方に影響を与えているのはとりもなおさず最初に論文を書いた時の共同研究者P氏の「基的には文に入れたい」という方針だった。その時の論文は長大なlinkage mappingの手順が含まれていて、それは確かに重要な実験ではあった。それは彼が長年進めていた実験であり(私は、競合だったのだ、そして、私がひょっこりと現れてポッと決定的なデータを出してしまったのだ)思い入れが小さいはずはないことも当然理解され、ただその結果として論文、特にMeth

    生物学論文の付録情報(サプリメント) - 殺シ屋鬼司令II
  • インパクト・ファクターの素顔を極限までさらけ出すために - 殺シ屋鬼司令II

    数週間前から、学術雑誌のインパクト・ファクターというものを研究者の業績評価の指標として使うことに対する疑念が持ち上がっている。 半年前に読んだエントリを、思い出した。 未来をつくる索引-ガーフィールドとCitation Indexの挑戦 読書猿Classic: between / beyond readers 私は研究者として、SCIから(投稿した論文誌において集合的・間接的にという意味では)分析される側であり、かつ利用する側ということがあるために、やっぱりレーダーバーグがあやまたずその価値をガーフィールド論文を一読して看破したことには強く感銘を受ける(齋藤孝三色ボールペン的に言えば緑線ビシビシ)。 つまり時間的に先行する古い文献から、より新しい論文を知ることができる。〈これまで〉ではなく、〈その後、どうなったか〉という疑問に答えてくれる検索ツール! 遺伝学者は興奮した。そして待った。 未

    インパクト・ファクターの素顔を極限までさらけ出すために - 殺シ屋鬼司令II
  • 禁書にすべき本とその読み方 - 殺シ屋鬼司令II

    3ヶ月ほど前にこうした発言を目にした。 よく「推薦図書」のアンケートが来るけれど、「禁書リスト」のアンケートって来ないですよ。こっちの方が絶対に高校生を読書に向かって動機づけると思うけど。「どうして人々はこのを禁書にしたがるのか?」って考えますからね。考えないか・・・— 内田樹 (@levinassien) March 4, 2013 高校生の読書への動機付けというのはどうでもいいのだけれど、或る種のは確かに「注意深く」読む必要があり、そうしたものはやはり「禁書」と呼ばれるにふさわしいとおもう。 そういう意味で、内田氏の発言の意図とは離れた所で、私もまた「禁書」という語の力を恃んで以下のことを書き進めようと考えている。 私が案じているのはどうも「禁書」に変なロマンティシズム、淫猥なような、反抗のポーズのような……を感じてしまって噴き上がってしまって、のぼせてしまっているようなことがある

    禁書にすべき本とその読み方 - 殺シ屋鬼司令II
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