必要な論文が読めない――。学術誌の購読料が高騰し、購読契約を打ち切る大学が出ている。それならばと近年、論文をインターネット上で無料公開する見返りに「掲載料」を取る出版社が増え、研究者から「二重取りだ」と不満が高まっている。 学問の成果は人類の共有財産ともいうべきもの。「出版社はもうけすぎ」との批判も聞かれる。出版社側はどう考えているのか。国際科学誌のトップに君臨する「ネイチャー」発行元の日本法人社長を直撃した。 「研究者サポートが役割」 取材に応じたのは、英国とドイツに拠点を置く学術出版大手「シュプリンガーネイチャー」の日本法人社長、アントワーン・ブーケ氏。東京都港区の同法人オフィスでインタビューすることができた。 「私たち出版社の役割は研究者のサポートだ。研究者が研究し、迅速かつ効果的に出版できるよう支援するサービスを提供している」。穏やかな口調で切り出したブーケ氏はこう続けた。「研究サ