筑波大付属視覚特別支援学校(東京都文京区)の中学1年の生物の授業に通い始めて半年がたった今年3月下旬の日曜日、私は東京・新宿御苑にいた。例年よりも早くサクラが満開を迎え、大勢の人でにぎわう公園では、この授業を作った教師らが考案して始まった「ネイチュア・フィーリング」という自然観察会が開かれていた。 観察会は月1回のペースで開かれているという。入り口付近の集合場所には、既に参加者15人ほどが集まっていた。白杖(はくじょう)を持った視覚障害者が半数ほど、残りは目に障害のない人たちだった。冒頭、スタッフが「五感を研ぎ澄まして、今日もいつも通り、のんびりゆっくり観察したいと思います」と簡単なあいさつ。特に詳しい説明もないまま「じゃあ行きましょうか」と苑内に入っていったので、最初はスタッフと参加者の区別がつかなかった。 初めに向かったのはサクラの木。まず手が届く高さの枝を触る。ゆっくりと先端に向けて
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