東日本巨大地震が発生した3月11日の午後、筆者は東京赤坂の高層ビルで、中国関連の戦略会議をしていた。前日の夜、北京から東京に帰って来ていた。伊豆半島という自然災害が比較的多い地域の出身であるが、1984年に生まれて以来、大きな地震を経験したことはなかった。2003年に北京に拠点を移した後も、自ら大地震を経験したことはなかった。 揺れた当初は、「あっ、地震だ」という反応くらいしか感じなかった。筆者も日本人だ。小さな揺れには慣れている。だが、だんだん大きくなってくると、焦り始めた。モノが落ちてきたり、電気が揺れたり、初めての経験であった。新しいビルの高い位置にいたから、余計に揺れたのかもしれない。 エレベーターが動かなくなった。電話がつながらなくなった。地下鉄が止まった。タクシーは捕まらず、道路は封鎖されたも同然だった。東京で働く人たちが、群れをなして徒歩で帰宅した。職場で一夜を明かしたヒトも