私は子供のころ、もうこれ以上はないというくらい「きのこ」派であった。 「たけのこ」を選ぶ人間がいるなどということは、どうかんがえてもありえないと、かたくなな思いをロビンマスクのよろいくらいの硬さで抱いていた。 「きのこ」のすばらしさに比べてあの「たけのこ」のどうしようもなさといったら! 子供のころの私は、出会うたびに必ずといっていいほど「きのこ」に賛美のまなざしを浴びせ、そして目の端でするどく「たけのこ」に向かって侮蔑のまなざしを向け、自らの判断の正しさと「きのこ」のすばらしさをただひたすらに噛みしめていた。 だが、いつのころからだろうか? かつての硬度6な思いとは打って変わり、私は今や完全に「たけのこ」派になっている。 いったい何が私を転向させてしまったのだろうか? かつては忌々しいまでの思いを抱いていたあの口当たりのスカスカ感が、今ではチョコと合いまった程よいしっとり感として称えられて