『さよなら世界の終わり』 映画化もされた小説『君は月夜に光り輝く』の著者・佐野徹夜の最新刊『さよなら世界の終わり』が新潮文庫nexから発売された。死にかけると未来が見える主人公が、死にかけると幽霊が見える少女、死にかけると他人が洗脳できる少年とともに、くそったれな現実をなんとか生きていく様を描いた、ずっしり来る小説だ。 本作は最新刊ながら、これまで発表された作品のなかでもっとも古い、デビュー以前の投稿作品(はじめて書き上げた作品)を改稿したものだという。『君月』の印象から「泣ける恋愛小説」の書き手とみなされやすい佐野徹夜に、その原点たる本作に込めたものを訊いた。(飯田一史) 「これでライトノベルの賞が獲れる」と信じていた Zoomでインタビューに応える佐野徹夜 ――8年前に書いたバージョンと今回世に出たものでは大きく違うのでしょうか? 佐野:最初書いたときは、自分が好きなちょっと変わったラ