今の音楽シーンのトレンドはずばり、「音楽が音楽だけでは存在しなくなった」ということだろう。ボカロPであり、小説家でもあるじんの『カゲロウプロジェクト』がその代表例と言えるが、音楽と小説、さらにはアニメや漫画などがトータルでひとつの世界観を生み出し、若い世代を中心に大きな支持を獲得している。そしてそれは、YouTubeおよびニコニコ動画が普及し、音楽と映像が不可分になったときからの、当然の帰結とも言えよう。同人サークルとしてスタートし、ウェブで連載していた漫画を単行本として、そして各話に連動していた楽曲をアルバムとして発表した『シアロア』で2012年にメジャーデビューした感傷ベクトルもまた、そんな時代の寵児であった。しかし、目立った動きがなかったこの2年間は、「音楽が音楽だけでは存在しない」という価値観が、ものすごい勢いで一般化して行ったことに対しての戸惑いの期間だったのである。 思索のとき
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