来年度から新しい財政健全化計画が始まるとは到底思えぬ内容だ。 政府は来年度予算の編成にあたって、各省庁が財務省に予算を要求する基準を決めた。編成の方向性を示す重要なスタートラインである。 来年10月には消費増税も予定している。国民に負担を求めるからには無駄の排除を徹底する必要がある。それなのに今回の基準は、財政規律を緩みっぱなしにしている。 象徴的なのは、歳出総額の上限を示さなかったことだ。現政権が発足してから6年連続である。 基準は本来、予算膨張に歯止めをかけるものだ。過去には天井を意味する「シーリング」と呼ばれ、健全化に一定の役割を果たしてきた。 だが安倍晋三首相は痛みを伴う歳出抑制を素通りし経済成長による税収増に頼ってきた。結局税収が伸び悩んで借金漬けは変わらず、健全化計画の見直しを余儀なくされた。 大事なのは歳出抑制である。それがはっきりしただけに、基準の重要性も増しているはずだ。
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