年々、軍事的脅威をあからさまに見せつけている中国は、一方では世界第2位のDGPの経済力と世界中の企業の垂涎の的である巨大市場を背景として、世界経済への見えない支配力を強めている。それはもはや経済を「兵器化」させたものと言え、本書ではさまざまな領域におけるその実態を詳細にレポートするものである。 権威主義的エコノミック・ステイトクラフトという脅威 著者はキーワードとして「エコノミック・ステイトクラフト」を用いる。これは「国家が政治的目的を達成するため、軍事的手段ではなく経済的手段 を使って他国に影響力を行使すること」と定義され、世界の多様な場面に見られる行為である。が、問題はその主体が「権威主義政府」である「中国共産党」だということだ。 ――――――― ▽中国の権威主義的エコノミック・ステイトクラフトは、「政治最優先」を意図し、その意図を隠そうともしない。…国内外の経済活動に対する国家統制を