数多くのモダナイゼーション案件をみてきた筆者の経験から、実際に起こり得る問題や葛藤を架空の事件簿として解説する本連載。今回は、20年以上アウトソーサー(委託先企業)にシステムを任せてきた大手小売業A社が、脱メインフレームプロジェクトに取り組んだ事例を紹介する。 A社は1980年代のシステム導入当初からメインフレームを利用してきた。そして1990年代後半。バブル崩壊後の経済低迷や「2000年問題」対応のためのアプリケーション修正、社員採用の抑制などが重なり、A社は苦しい状況に陥っていた。そこで、コスト削減と社員不足解消のために、インフラとアプリケーションについてはメインフレームメーカーが提供するアウトソーシングサービスを利用する契約に切り替えた。 それから20年がたち、2020年に開催予定だった東京オリンピックに向けてクレジットカードのセキュリティーを強化することになった。そのためには、クレ